【保存版】折板屋根とは?工場・倉庫で欠かせないメンテナンス方法と特徴を解説
更新日 : 2025年03月05日
更新日 : 2025年03月05日

工場や倉庫の屋根に広く使用されている折板屋根は、その耐久性を維持するために定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
万が一、折板屋根が劣化して雨漏りが発生すると、工場内の設備や倉庫の保管品が被害を受ける可能性があります。「今のところ問題はなさそうだけど、そろそろ点検しておいた方がいいかも…」とお考えの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、折板屋根の基本的な特徴や利点・欠点に加え、特に重要な錆対策としての塗装メンテナンスについて詳しく解説します。

折板屋根は、金属板を波形や山形に折り曲げた形状の屋根材で、大規模な建築物に適しています。
軽量でありながら強度に優れ、一度に広範囲をカバーできるため、工場や倉庫、体育館などの屋根によく採用されています。
実際、学生時代に体育館の屋根として目にしたことがある方も多いかもしれません。折板屋根は耐久性が高く、さまざまな施設で使用される信頼性の高い屋根材なのです。

折板屋根の種類:長尺屋根と短尺屋根
折板屋根はサイズによって「長尺屋根」と「短尺屋根」の2種類に分類されます。

長尺屋根
長尺屋根は、非常に長い金属板を使用し、縦方向の継ぎ目を極力減らした設計になっています。これにより防水性が高まり、大規模な建物の屋根として最適です。
主に工場や倉庫などの広い屋根に採用されています。
短尺屋根
短尺屋根は比較的コンパクトなサイズの折板屋根で、カーポートや小規模な施設などに使用されることが多いタイプです。
折板屋根の主流素材:ガルバリウム鋼板
現在、折板屋根の素材として主流となっているのが「ガルバリウム鋼板」です。
従来のトタン(亜鉛メッキ鋼板)に比べて約4倍の耐食性を持ち、錆びにくいのが大きな特徴です。そのため、屋根材としてだけでなく外壁材としても広く利用されています。
また、大型建築物の屋根は一度のリフォームや張り替えに多額の費用がかかるため、耐久性の高い素材を選ぶことが重要です。
ガルバリウム鋼板を用いた折板屋根は、適切なメンテナンスを行えば30年以上、場合によっては40年近く持たせることも可能で、長期的なコスト削減にもつながります。

曲げ加工による強度と遮音性

折板屋根の特徴である台形状の波型構造は、平坦な金属板に比べて強度を大幅に向上させる役割を持っています。
金属素材であっても、この形状によって外部からの衝撃に対する耐性が高まり、頑丈な屋根として機能します。
さらに、この独特な凹凸形状は、屋根に降り注ぐ雨の衝撃を分散させることで、雨音の低減にも寄与しています。
ただし、工場や倉庫などの大型施設では、屋根の下地材を設けずに直接施工されることが多いため、特に金属製の屋根材の場合は雨音が室内に響きやすいという点を認識しておく必要があります。



雨漏りしにくい構造
長尺の金属屋根材を使用することで、屋根の流れ方向に対して継ぎ目がほとんど発生せず、一体感のある仕上がりになります。
そのため、屋根材の接合部からの雨水の侵入リスクが低く、高い防水性を備えています。

工期が短く、施工がスムーズ
折板屋根は下地となる野地板を設置せずに、専用の金具を使って直接取り付けることが可能です。
このシンプルな施工方法により、工事期間が短縮されるだけでなく、使用する資材も少なく済むため、コストパフォーマンスにも優れています。

デザインの自由度が高い
金属屋根材は湾曲加工が可能なため、ドーム型などの特殊な形状にも対応できます。
そのため、デザイン性が求められる建築物にも採用しやすいという利点があります。


断熱性能が低い
金属は熱を通しやすいため、夏は屋内が高温になりやすく、冬は冷え込みやすいという欠点があります。
しかし、断熱材の設置や遮熱塗料の塗布などによって、ある程度の改善が可能です。

搬入・設置スペースの確保が必要
折板屋根は長尺の金属板を使用するため、現場での搬入や設置作業には十分なスペースが求められます。
特に大型施設ではクレーンを用いるケースが多く、周辺環境によっては施工方法に制約が生じることもあります。

定期的な塗装メンテナンスが必要
金属製の屋根は長期間の使用により錆が発生する可能性があるため、耐久性を維持するためには定期的な塗装が欠かせません。
錆を放置すると腐食が進み、雨漏りなどの重大なトラブルにつながるため、計画的なメンテナンスが重要です。
折板屋根の具体的なメンテナンス方法については、記事の後半で詳しく解説します。


折板屋根は、屋根材の接合方法や構造の違いによって、大きく3つのタイプに分類されます。
それぞれの仕様に応じてメンテナンスの要点が異なるため、自分の建物に使用されている折板屋根の種類を把握しておくことが重要です。
はぜ締めタイプ

このタイプは、金属板の端部を折り返して互いにかみ合わせることで固定する工法です。
ボルトを使用せず、金属板に穴を開ける必要がないため、雨水の侵入リスクを最小限に抑えられるのが大きな利点です。
また、継ぎ目部分がしっかりと密閉されるため、高い防水性を誇ります。
ただし、他の方式に比べると強風に対する耐性がやや低いため、風圧が強くかかる地域では注意が必要です。

重ねタイプ

重ねタイプでは、金属板を重ね合わせた部分をボルトでしっかりと固定する構造を採用しています。
この方式は特に耐風性に優れ、強風が吹きやすい地域や海沿いの建物で多く使用されています。
しかし、ボルト部分が露出するため、経年劣化により錆が発生しやすくなります。
錆びたボルトは雨水の浸入を招く可能性があるため、定期的な防錆処理やボルトの点検が欠かせません。

嵌合タイプ

嵌合式は専用のキャップを使用して金属板同士を固定するタイプの工法です。
この方式では、ボルトがキャップに覆われているため、屋根表面がフラットで美観に優れ、さらに防水性も高いという特徴があります。
しかし、施工には専門的な技術を要するため、他のタイプと比較するとコストが高くなる傾向があります。
広範囲の施工を検討する際は、予算とのバランスを考慮する必要があります。


折板屋根の耐用年数
折板屋根の寿命は使用される素材や維持管理の頻度によって変わりますが、一般的には約30~35年が目安とされています。
ガルバリウム鋼板を用いた折板屋根であれば、適切なメンテナンスを行うことで耐久年数をさらに延ばすことが可能です。

折板屋根のメンテナンス方法
目的は錆への対策と対処

金属製の折板屋根において、錆の発生は避けられない課題です。
勾配が緩やかなため、雨水や落ち葉が溜まりやすく、腐食の原因となることがあります。
錆が進行すると、屋根材に穴が開き雨漏りを引き起こします。
そのため、「錆を未然に防ぐこと」と「発生した場合に早期対応すること」がメンテナンスの要となります。


特に、工場や倉庫では雨漏りによる機器や保管品の損害リスクがあるため、事前に適切なメンテナンスを行うことでコスト削減やリスク回避につながります。
では、どのようなメンテナンス方法があるのでしょうか?具体的に見ていきましょう!
屋根塗装での錆対策が重要

定期的な塗装は、折板屋根の寿命を延ばすうえで非常に有効です。
ガルバリウム鋼板は比較的耐久性に優れていますが、完全に錆を防げるわけではありません。表面の傷や経年劣化により、錆が発生することがあります。
また、ボルトキャップや固定具からの「もらい錆」にも注意が必要です。


塗装を施すことで、紫外線や湿気から屋根を保護し、防錆効果を高めることができます。
以下のような症状が現れたら、屋根塗装を検討しましょう。
▼折板屋根の塗装が必要な目安

塗膜の浮きや剥離

色の変化や退色

白い粉が浮き出る(チョーキング現象)

金属部分の錆び発生

塗装前には「ケレン作業」を行い、既存の錆を除去します。
その後、防錆効果のある下塗り塗料を使用することで、さらなる錆の進行を抑えることができます。

もし雨漏りが発生したら?

雨漏りが発生した場合、状況に応じて「屋根カバー工法」または「葺き替え工事」を選択する必要があります。
▼屋根カバー工法
既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる方法で、断熱性や防水性を向上させることができます。比較的コストを抑えられるため、経済的な改修方法のひとつです。

▼屋根葺き替え工事
屋根材の劣化が進行している場合は、既存の屋根を撤去し、新しい屋根材に交換する方法が適しています。
根本的な改修となるため、長期的な耐久性を確保できます。

これらの工法は、屋根の状態や予算に応じて適切に選択することが重要です。
雨漏りの被害を最小限に抑えるためにも、異常を感じたら早めに専門業者に相談し、点検と見積もりを依頼しましょう。

折板屋根の塗装を行う際、正確な面積を算出することは、見積もり費用に大きく影響を与える要素の一つです。
屋根の塗装面積を明確に把握することで、必要な塗料の量を適切に見積もることができ、それに基づいた工事費用の算出が可能になります。
ここでは、基本的な計算方法と注意点について詳しく解説していきます。
工場の屋根に断熱塗料を使用するメリット

折板屋根の表面積を求めるためには、屋根の「縦の長さ」と「横の長さ」を測定する必要があります。しかし、折板屋根には波型の山と谷があるため、単純な直線距離だけではなく、折れ曲がった部分を加味した長さで計算する必要があります。
たとえば、一つの谷の幅が200mmであっても、折れ曲がった部分を含めると実際には約288mmとなる場合があります。
この横方向の長さを正確に求めるためには、以下の計算式を使用します。
折板屋根の横方向の長さ = 屋根の横の長さ × 係数
ここで重要なのは、折板屋根の種類や形状によって、この「係数」が異なることです。
例えば、高さ88mmの「88タイプ」と呼ばれる折板屋根の場合、一般的に使用される係数は1.44となります。
この係数を適用せずに計算すると、見積もり金額に大きな差が生じる可能性があるため、業者によって算出方法が異なることを考慮し、複数の見積もりを比較することが重要です。
最終的に、折板屋根の塗装面積は次の式で求めることができます。
折板屋根の面積 = 縦方向の長さ × 係数を掛け合わせた横方向の長さ
また、三平方の定理を活用した算出方法などもあるため、より詳細な解説については専門ページをご参照ください。

工場・倉庫の屋根に断熱塗料を使用するメリット

金属製の折板屋根は熱を吸収しやすく、夏場には室内の温度が上昇しやすいという特徴があります。
この問題を解決するために有効な手段が断熱塗料を使用した塗装です。

断熱塗料には熱の伝達を抑える機能があり、外部からの熱が室内へ伝わるのを防ぐ効果があります。そのため、夏は屋外の熱を遮断し、冬は暖房で温めた空気が外へ逃げにくくなるため、室温の維持に大きく貢献します。
また、断熱塗料の中には、赤外線を反射する遮熱機能を備えたものもあり、屋根材の温度上昇を抑えることで、さらに効果的な温度管理が可能になります。

断熱塗料を使用する4つのメリット

屋内の温度上昇を防ぎ、より快適な環境を維持できる

空調効率が向上し、冷暖房費を削減できる

作業環境が改善され、従業員の負担を軽減できる

エネルギー消費量の削減により、CO2排出量の低減につながる
断熱塗料を活用した塗装は、快適性・経済性・環境配慮の観点からも非常に有効な選択肢です。
特に、工場や倉庫のような大規模な施設では、その効果を最大限に発揮しやすいため、導入を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
まとめ
●折板屋根は鋼板を規則的に折り曲げた形状の金属屋根であり、軽量かつ耐久性に優れ、主に工場や倉庫などの大規模な建築物に適した屋根材です。●折板屋根には錆対策が不可欠!金属屋根であるため、定期的なメンテナンスを行い、錆の発生を抑えることが重要です。
●代表的なタイプとして「はぜ締めタイプ」「重ねタイプ」「嵌合タイプ」の3種類が存在します。
●折板屋根の形状に関わらず、適切な計算方法を用いることで正確な塗装面積を求めることができます。
●ガルバリウム鋼板は耐食性が高いものの、長寿命化のためには定期的な塗装が推奨されます。
●雨漏りが見つかった場合は、早急に屋根カバー工法や葺き替えを検討し、被害の拡大を防ぐことが大切です。
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