工場や倉庫の屋根修理・改修はカバー工法でお得に!カバー工法が選ばれる理由や葺き替えとの違いを解説
更新日 : 2024年03月14日
更新日 : 2024年03月14日
多年にわたって操業し続け、老朽化している工場や倉庫では、特に屋根の亀裂や雨漏りに関する相談が増えています。
現在、工場屋根を改修する際に最も一般的な方法は、屋根カバー工法です。
・工場や倉庫の定期的な修理を検討している方
・工場や倉庫の屋根からの雨漏りでお悩みの方
資産価値を保つため、そして安全な環境での生産性を確保するためにも、工場屋根に関する問題は専門業者に相談してください。屋根カバー工法の利点や、葺き替え(張替え)との違いについても説明いたします。
丈夫でがっしりとした佇まいの工場や倉庫。何十年経っても昔と変わらずに稼働しているケースも多々あります。一見すると何も問題ないように見えても、実は屋根が劣化しているということも珍しくありません。少しずつ劣化していることに気付かず、いつしか大きな被害を生んでしまうこともあり得ます。
台風時期、強風に耐えられず剥がれる屋根の被害をニュースでよく見聞きすると思います。私たちも、屋根に劣化がありながらも応急処置で凌いできた工場を数多く目にしてきました。
しかし、その場しのぎの処置を続けるうち、「屋根が落ちた」「剥がれた」「雨漏りした」と生産ラインにも影響を及ぼす破損が突然起こることもあります。定期的に点検し、少しでも劣化があれば、修理や改修をしましょう。
一般的な住宅と違い、工場や倉庫の屋根に求められるのは耐久性や機能性、そしてコストパフォーマンス。工場や倉庫の場合、「スタイリッシュにしたい」「洗練されたデザインに」など、見た目重視で屋根材を考えることはあまりないでしょう。
そういった背景もあり、工場屋根や倉庫屋根の修理・改修にはカバー工法が多く選ばれます。
屋根カバー工法とはどんな工事?
重ね葺きとも言われる屋根カバー工法は、既存屋根の上に新しい屋根材を被せる工法で、一般住宅の屋根リフォームでもよく用いられます。今の屋根に「少し破損がある」「雨漏りしているようだ」という不具合があっても、多少であればカバー工法によって対応できます。
どんな屋根にカバー工法ができるの?
スレート波板屋根(大波・小波)
金属波板屋根
金属折板屋根
金属瓦棒葺き、立平葺き屋根
カバー工法は工場でよく見られるスレート波板屋根や金属屋根など、多くの屋根材で対応できる工事方法です。「うちの工場の屋根はカバー工法で工事ができるのかな?」など、対応可能な屋根材についてお知りになりたい方はお問い合わせください。
コストを抑えられる工事だから(特にアスベスト含有の場合)
「古い屋根をそのままで施工できる」ので、既存屋根の解体作業はほぼ不要です。解体をともなう屋根工事の場合、解体の作業費や廃材処分費もかかるため、この工程がないのはコストカットにつながります。
一般住宅と違い、工場や倉庫の屋根は面積が広いですよね。撤去のコストがなくなれば、数百万円単位で予算を削ることも可能です。カバー工法は少しでも予算をおさえた工事がしたいときにメリットが大きいと言えるでしょう。
特に、「既存屋根がアスベスト含有のスレート屋根」のケースはカバー工法をおすすめします。
2004年よりも後に建てられた工場の屋根は、健康被害のあるアスベスト入りのスレート波板は使われていません。ただ、それ以前に建てられた建物にはアスベスト入りの屋根材が使用されている可能性があるので、解体の際は注意が必要です。屋根メンテナンスを検討されている工場のなかには、築20年、30年を超えるものも珍しくありません。屋根材にアスベストが含まれている場合、解体・撤去する際に「アスベスト処分費用」がかかってしまうのです。カバー工法の場合、既存屋根の撤去が不要なので費用もかかりません。
(ただし、将来的に建物の解体を行う際は、そのタイミングで処分費用が掛かることになります。)
令和4年4月1日からは、建築物等の解体・改修工事を行うとき、大気汚染防止法に基づいた「石綿(アスベスト)含有建材有無の事前調査の実施」と「都道府県等への調査結果の報告」が施工業者に義務付けられました。街の屋根やさんでは事前調査・報告を基準に沿って実施しています。
工期を短縮できる
工場や倉庫は大きな建物ですから、屋根リフォームには長い工事期間が必要です。葺き替え工事(古い屋根を撤去してから新しい屋根を取り付ける工事)を選んだ場合、既存屋根の解体・撤去だけでもかなりの期間を要します。しかし、解体が不要なカバー工法なら解体・撤去作業の工程を省略できるため、工期の短縮が可能です。
また、工期短縮はコスト面のメリットもありますが、工事中の車両や作業員出入りに伴う不便なども抑えられます。
工場を稼働したままでも施工できる
解体をともなう葺き替え工事の場合、その間、工場の稼働をストップさせなくてはなりません。屋根の修理は大切なことであるものの、工事が完了するまで何日も生産ラインをストップするのは現実的ではないですよね。屋根カバー工法を選べば、通常通りの稼働をしていても工事に支障がありません。しかしながら、搬入・搬出や工事の際にはホコリが落ちるなどの不便をおかけする可能性もあるのでご了承いただければと思います。気になる点は事前にご相談ください。「屋根リフォームをしたいけれど工場を稼働できないのではないだろうか…?」という事情で屋根メンテナンスを思いとどまっていた方は、ぜひお問い合わせください。
二重の屋根になることのメリット
工場や倉庫の屋根は、「屋根+下地」という一般的な住宅屋根とは違い、下地材がないケースが多いです。屋根1枚なので雨のときに雨音が響くという問題点を抱えていることもあるでしょう。
現在の屋根の上に新しい屋根、“二重の屋根”になるのが屋根カバー工事です。防音性が高まって響いていた雨音も低減されるでしょう。また、断熱性の向上に期待できる点もメリットになります。
屋根の修理や改修には、古い屋根を撤去して新たな屋根を設置する「葺き替え」という方法もあります。葺き替えとカバー工法の大きな違いは、費用と工事日数です。 いったん古い屋根材を撤去する必要があるため、屋根葺き替えの方が「処分費用が高い」「作業日数が長い」という違いがあります。
「カバー工法」と「葺き替え」のどちらも、新しい屋根になる点は同じです。ただ、古く傷んだ屋根を撤去して新しい屋根を作り直す改修と考えると、葺き替えの方が良い方法に思えるかもしれません。しかし、ここまでお伝えしてきたように工場や倉庫などの大規模な工事ではかなり高額な費用がかかります。多くの場合、カバー工法で十分に対応可能なため、カバー工法をおすすめします。
しかし、なかには「葺き替え」が必要という状況もあります。「今ある屋根の大部分が剥がれている」「鉄骨が腐食してしまい、カバーする屋根材の重みに耐えられない」などのケースでは、建物の強度にもかかわるため「葺き替え」をご案内しています。
部分的な張替えができるケースもある
屋根全体の強度が弱まっておらず、部分的にしか破損していない場合は部分的な張替えができることもあります。カバー工法の方がいいか、コストをおさえるために部分的な張替えにするかなど、予算的なご希望もぜひお聞かせいただければと思います。予算に合わせて最適なプランをご案内します。
工場や倉庫屋根でカバー工事を行う時は、ガルバリウム鋼板を用いることが多いです。その理由をご説明します。
軽量だから
屋根材には様々な種類がありますが、一番軽い素材が金属です。二重の屋根になるカバー工法の場合、単純に考えて「古い屋根の重さ+新しい屋根の重さ」になります。構造への影響も考えると、軽量の屋根材で少しでも負担を軽減することが大事です。
耐久性が高いから
アルミニウム・亜鉛・シリコン合金を鋼板にメッキしたものがガルバリウム鋼板です。トタンの4倍の錆びにくく、20~30年という耐用年数を誇ります。軽量なうえに「錆びに強い・耐用年数が長い」とコストパフォーマンスの良い素材です。
雨に強く排水性が高いから
金属製のガルバリウム鋼板は雨が浸透しません。さらに、雨が伝う向きに合わせて一枚の板金で仕上げることができ、継ぎ目がないので雨を排水しやすいという特徴もあります。「勾配が緩い」「工場のように屋根面積が大きい」など、排水性が心配なときでも選びやすい屋根材です。排水性の良さから雨漏りリスクも軽減できます。
屋根カバー工法事例
【事例1】錆びた波トタンをガルバリウム鋼板折板でカバー工事
坪数 約30坪 工事費用 172万円
こちらの工場は築30年で、雨漏りを起こしたことから修理のご相談をいただきました。
工事期間中も工場を稼働したいとのことで、カバー工法をご提案しました。工事完了までは2週間ほどでした。
トタンには錆がかなり目立ち、ところどころに部分補修をした跡がありました。雨漏りを解消しただけでなく、綺麗な白い折板屋根となり美観も向上しました。
波板の場合、換気口の周辺に隙間が生じます。そのため、雨が浸入しないように面戸と呼ばれる役物を設置しました。ケラバ(屋根の三角の端)や下屋根もしっかりと被せて仕上げました。
【事例2】台風によって捲れたスレート屋根にカバー工事
坪数 約60坪 工事費用 290万円
こちらは台風による被害です。大波スレート屋根の一部が剥がれてしまいました。
内部に入っていた断熱材が屋根材の剥がれによって露出しています。この状態で雨が降ると断熱材に雨水が浸み込んでしまいます。カビが発生するといけないので、まずは応急処置としてブルーシートで覆いました。
新しい屋根材として選んだのは大波スレートの形状に合う構造のリファインルーフという改修用屋根材です。通用口となる突起部分の壁にも破損が見られたので、併せてカバーしました。
【事例3】300坪の大型倉庫屋根をカバー工事で改修
坪数 約300坪 工事費用 924万円
こちらの大型倉庫では折板屋根の上に太陽光パネルを取り付けようと検討されていましたが、「設置する前にまずは屋根の点検をしよう」ということでご連絡いただきました。丁寧に調査すると、破損して雨漏りしているところがいくつも見つかりました。そこで、カバー工法での改修工事をご提案しました。
カバー工法の場合、既存屋根のボルトに部品を取り付ける必要があります。しかしながら、ボルトの錆が酷く取り付けが厳しい状態であったため、ネジ山を復活させるためにひとつずつ錆取りをしていきます。
次は、取付のための器具「ダンボ66」をレンチで一つずつ、しっかりと固定していきます。
屋根が二重になると雨や風のほか、小動物が入り込めるような隙間ができてしまいますので、隙間を塞ぐための面戸を屋根の端部に取り付けました。下地作業はこれで完了です。
大型倉庫の屋根は広く、新たにカバーする屋根材も大型です。屋根材は18mの長尺で、クレーンを使って屋根に荷揚げしていきます。
数人がかりでの取り付けとなります。ボルト穴の穴あけ、ボルト締めをその場で行います。
頂部、屋根先端部、ケラバ、隣の壁との取り合い部などから雨が入り込まないようにしっかりと雨仕舞します。板金やシーリングで丁寧に施工しました。
最後に大型の雨樋を取り付けて工事完了です。工事中は長い間メンテナンスをしなかったために屋根に関するご不安が大きかったとのことでしたが、仕上がりは予想以上だとお喜びいただけました。
※「高さ2メートル以上で作業を行う場合は作業床を設けなければならない」というルールが労働安全衛生法例で定められています。工場や倉庫などの屋根工事ではほとんどのケースで足場を組む必要がありますのでご了承ください。
工場や倉庫の屋根の修理費用について気になるのは「修繕費として経費に計上できるのか」ということでしょう。
修繕費として経費に計上できるのは、「固定資産の維持管理や原状回復のための費用」です。雨漏り修理、屋根の劣化による修理などであれば修繕費として計上できるでしょう。
ただし、「原状回復」という点には注意しなければなりません。屋根修理のとき、
「資産の使用可能期間を延ばすための工事」
「付加価値のある屋根材を選んでグレードアップ」
など、資産価値を高めた場合には資本的支出とみなされ減価償却をしなければなりません。
また、雨漏りが発生して屋根全体を修繕したケースにおいて、雨漏りが発生していた部分の修理費用「修繕費」、それ以外の部分の修理費用を「資本的支出」とすることもあります。 状況によって、どちらのパターンが当てはまるか税理士へ相談することをおすすめします。
「屋根材の耐用年数が過ぎた」
「雨漏りが起こっている」
「広い範囲で破損がある」
など、工場や倉庫の波スレート・金属屋根の劣化が目立つ場合はカバー工事をおすすめします。また、築年数が浅いケースや劣化がそれほど目立たないケースなどは、大掛かりな補修ではなくメンテナンスで対応可能です。
築年数が経過しておらず、劣化も軽微であれば屋根塗装が効果的です。屋根材にとって「水分」は大敵です。スレート屋根の場合は主原料がセメントですから何もしなければ水を吸います。金属屋根では錆が発生するでしょう。そうならないよう屋根材の表面を保護し、屋根を長持ちさせるのが「塗装」です。
塗料のグレードによって異なりますが、だいたい10~20年もすれば塗膜は衰えていきます。劣化のサインは色褪せや錆びの発生です。塗膜の劣化自体を防ぐことはできませんから、「塗装メンテナンスをする時期」に合わせて予算を計上し、定期的に塗装メンテナンスを行うことをおすすめします。
工場や倉庫の屋根が「強風で剥がれた」「屋根が古くなって雨漏りが起こった」などの状態になって怖いのは、工場内の機器や設備、資材、商品への影響です。雨漏り状況によっては大きな損害へとつながりかねないでしょう。
雨漏りや破損が起こったからといって応急処置をしても、根本的な問題は解決しません。すぐに別の場所に雨漏りが起こった、屋根材が剥がれてきた…など、被害が拡大すれば「安心して作業ができない」と従業員からの不満も出てくるでしょう。それが原因で仕事へのモチベーションが下がる可能性も否定できません。工場や倉庫の屋根トラブルは放置せず、早めに対応することが大事です。
今回の記事でお伝えしたように、おすすめしたいのはカバー工法での修繕です。生産ラインを止める必要がありませんし、工期も短く費用もおさえられます。 カバー工事が難しい場合でも葺き替え(張替え)を部分的に行うこともできます。街の屋根やさんでは、点検・お見積もりは無料でお受けしています。状況を拝見させていただき、予算やご希望に合わせたベストなご提案をします。
まとめ
- ●工場屋根や倉庫の屋根の修理方法として多く選ばれているのがカバー工法です
- ●既存の屋根の上に新しい屋根を被せるカバー工法は、重ね葺きとも呼ばれます
- ●工場や倉庫でカバー工法が人気な理由
-
- ・解体、処分費があまりかからず工事費用をおさえることが可能
- ・アスベスト含有屋根材が使われていても除去・解体費用がかからない
- ・解体作業が発生しないカバー工事は工期が短い
- ・工場を稼働させたままでも工事可能
- ・二重の屋根になって、防音性や断熱性が向上する
- ●屋根の状態によっては葺き替え(張替え)が必要なケースもあります
街の屋根やさんは千葉県以外にも東京都、神奈川県などでも屋根工事を承っております。日本全国に展開中ですので、貴方の地域の街の屋根さんをお選びください。