ガルバリウム鋼板の屋根材・外壁材としてのメリット・デメリットとは?
更新日 : 2024年04月17日
更新日 : 2024年04月17日
ガルバリウム鋼板を利用した屋根や外壁のリフォームに興味をお持ちの方は多いかと思います。最近では屋根や外壁の建材としてガルバリウム鋼板がよく使われています。ただ、業者からの勧めもある一方で、そのメリットだけが強調されて本当に良い選択なのか迷われることもあるでしょう。
そこで今回は、ガルバリウム鋼板のメリットとデメリットについて詳しくご説明させて頂きます。屋根・外壁リフォームをご検討中の方やガルバリウム鋼板の屋根材や外壁材に興味がある方がおられましたら、ぜひご参考にしてください。
ガルバリウム鋼板は多くの方々に選ばれている理由は、屋根材として多くのメリットがあるからです。以下にそのメリットをご説明いたします。
耐錆性に優れている
軽量である為、耐震性に優れている
高い熱反射性
汚れが付着しにくい
ひび割れの不安が無い
施工性に優れている
緩勾配屋根においても使用可能
スタイリッシュな印象を与えるデザイン
耐錆性に優れている
ガルバリウム鋼板は、特に錆に強い特性があります。金属製の屋根や外壁材は、すぐに錆びることが心配される方も多いかもしれません。ガルバリウム鋼板も金属であるため、完全に錆びないとは言えませんが、その耐錆性から優れた建材として選ばれているのです。
ガルバリウム鋼板はめっき鋼板です。通常の鋼板(鉄の板)なら、時間が経つと錆びてしまいますが、アルミニウムと亜鉛のメッキにより、耐久性が飛躍的に向上しているのです。
ガルバリウム鋼板のめっき成分とは?
ガルバリウム鋼板は、亜鉛43.4%、アルミニウム55%、シリコン1.6%の合金がめっきされています。アルミニウムは錆びにくい性質であり、ステンレスと同様に空気中で酸化皮膜を形成します。酸化皮膜は金属が酸化反応を起こした際に金属表面に形成される酸化物の膜であり、この安定した膜によって錆や腐食を防ぐ役割があります。
また、亜鉛が含まれていることで、錆を防ぐ犠牲防食機能も備わっています。犠牲防食機能とは亜鉛メッキに傷がついて鉄が露出した場合でも、亜鉛が優先的に腐食されることによって鉄が腐食から守られる仕組みです。
上記の理由から、耐錆性においてガルバリウム鋼板は金属系外装材として非常に優れた建材と言えます。かつてトタンが金属の屋根材や外壁材として使われていましたが、それに比べてガルバリウム鋼板は錆びることが4倍も少ないと言われています。
軽量である為、耐震性に優れている
ガルバリウム鋼板は金属素材であり、非常に軽量で耐震性に優れた建材です。近年、地震への不安が高まる中、特に屋根材として注目を浴びています。
建物の屋根が重い場合、建物全体の重心も高くなります。その結果、地震の際には建物がより大きく揺れることになり、建物に大きな負荷がかかります。屋根材の重量による影響で、屋根が崩れる危険性や梁や柱への影響、さらには室内の家具などが倒壊する可能性があります。
ガルバリウム鋼板製の屋根材は、他の屋根材と比較して、
スレート屋根材の約5分の1
瓦屋根材の約10分の1
と、非常に軽量です。
また、屋根と同様に外壁についても同じことが言え、軽量である方が地震時の負担が少なくて済みます。
モルタル壁と比較して約10分の1
窯業系サイディングと比較して約4分の1
屋根と同様、外壁に使用する場合においても重量の観点から他の屋根材と比較して耐震性に優れている事が分かります。
カバー工法に適している
その優れた軽量性の為、ガルバリウム鋼板は、屋根・外壁のカバー工法をする際に良く使用されます。
カバー工法とは、既存の屋根や外壁をそのままにして上から新しい材料を被せて施工する方法です。軽量であるガルバリウム鋼板は、既存の屋根・外壁の上に被せても重量がそれほど重くならない利点があります。
高い熱反射性
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムの含有量が非常に高いめっき鋼板であり、アルミニウムの容積比は80%にも達します。その表面には独特の模様である「スパングル」が現れます。これにより、ガルバリウム鋼板は他のめっき鋼板と比較して約2倍の熱反射性を持っています。
夏になると、屋根は日差しを受けて非常に暑くなります。しかし、ガルバリウム鋼板を使うことで屋根表面の温度上昇を抑えることができ、それによって室内の温度上昇も軽減できます。これにより、省エネルギー効果が期待できる素材と言えるでしょう。
※日鉄鋼板株式会社:ガルバリウム鋼板カタログ参照
汚れが付着しにくい
ガルバリウム鋼板は金属製の為、湿気・雨水などから水分を吸収することがありません。そのため、他の屋根材・外壁材と比較して苔やカビなどの汚れがつきにくい素材です。
一般的にスレート屋根は経年劣化により塗膜が薄くなり、それによって苔やカビが発生してしまいます。同様に、昔から使われてきたモルタル壁や一般的な窯業系サイディングなどの外壁材も塗膜の劣化とともに苔やカビが付着してしまい、根が張ってきてしまいます。これはスレートやモルタルが水分を吸収してしまうために起こる現象です。建物の北側の外壁にコケが発生しやすいのは、日当たりが悪く湿気が多いことが理由です。
ガルバリウム鋼板自体は水を吸収しませんが、塗膜が劣化すると軽微な苔やカビが生えることがあります。そのため、耐久性や防汚性を考慮して、低汚染塗料やフッ素塗膜の製品を使用されることをおすすめします。
ひび割れの不安がない
ガルバリウム鋼板は、ひび割れの不安がない事も大きな魅力です。
反対にモルタル壁はクラックと呼ばれるひび割れがしやすい外壁材といえます。
また、一般的な窯業系サイディングも成分がセメントであるため、地震や外部衝撃によってひび割れが生じることがよくあります。
このような外壁のひび割れは、地震が起こった際に破損して落下する危険性があるだけでなく、建物の美観も損なわれる要因となります。
屋根材や外壁材が破損する主な原因として、凍害が挙げられます。特に瓦はこの問題がよく見られ、吸収した水分が凍って膨張し、割れてしまうことがあります。
ガルバリウム鋼板製の屋根材・外壁材は、耐久性に優れた金属製品であり、凍害や衝撃によるひび割れの心配がほとんどありません。
施工性に優れている
ガルバリウム鋼板製の屋根材や外壁材は軽量で加工が容易であり、施工がしやすい建材です。比較的短時間での張替えを可能にし、補修作業も他の建材に比べて比較的簡単に行えるため、人件費削減によるコスト削減にもつながります。
また、大規模な台風や地震などの自然災害が発生した場合、屋根・外壁が窯業系サイディングで構成されていると、葺き替え・張替えにはかなりの時間がかかります。それに対して、ガルバリウム鋼板製の屋根材や外壁材を使用している場合は、施工が簡単であるため、比較的迅速に修復が可能です。ガルバリウム鋼板は被災者の負担を軽減する事が可能であり、リサイクルも出来る事から人と地球に優しい建材と言えるでしょう。
緩勾配屋根においても使用可能
ガルバリウム鋼板の屋根材は、緩やかな勾配の屋根にも使用可能です。
最近、シンプルな形状のお住まいが増えておりますがその中でもデザイン性を考慮して屋根勾配を可能な限り緩やかにしているお住まいが多い傾向です。
ガルバリウム鋼板を使用した金属屋根の場合、屋根の勾配に沿った形で縦に葺く立平葺き工法であれば1寸勾配から施工が可能です。立平葺きのガルバリウム鋼板屋根は、勾配が緩やかでも雨水が溜まることなく雨漏りのリスクを軽減し、頑丈な屋根となります。
また、ガルバリウム鋼板の屋根材は1枚のスパンが長いため、縦に重ねて葺くことで継ぎ目が少なくなります。これも雨漏りのリスクを減らす一因となります。緩勾配の屋根をご検討されている場合、1寸勾配から施工可能なガルバリウム鋼板の屋根材をおすすめします。
スタイリッシュな印象を与えるデザイン
最近の住宅では、シンプルでスタイリッシュな印象を与えるデザインが人気です。
シンプルモダンなデザインテイストは、都会的な雰囲気と共に自然の美しい風景にも調和する非常に柔軟性に優れたテイストです。
ガルバリウム鋼板は、シンプルで洗練されたデザインを表現するのに最適な建材と言えます。平滑なフォルムで凹凸が少なく、シンプルに仕上げたい場所には抜群のデザイン性を発揮します。また、その耐久性もあって長期間使用しても劣化しにくく、中古住宅として売却する際にも資産価値の維持が期待できます。
これまで様々なメリットをご紹介させて頂きましたが、ガルバリウム鋼板にももちろんデメリットが存在します。以下にご紹介させて頂きます。
導入費用が比較的高額
へこみが発生する場合がある
傷に注意が必要
低い断熱性
デザインがシンプルすぎる
導入費用が比較的高額
ガルバリウム鋼板製の建材のデメリットとして、導入コストが高くなることが挙げられます。ガルバリウム鋼板などの金属建材は、一般的な建材であるスレートや窯業系サイディングなどと比較して導入にかかる費用がやや高額です。
ただし、その分メンテナンスサイクルが長くなるため、手間や費用を節約でき、結果的にメンテナンスの総コストが抑えられると考えられます。
つまり、初期の導入費用は高めに感じるかもしれませんが、長期的な視点では高額な印象ではないという事です。
スレート屋根材との比較
製品によって価格は異なりますが、スレート屋根材の場合1㎡あたり約5,000~8,000円の一方、ガルバリウム鋼板屋根材は1㎡あたり約6,000~10,000円です。
ただし、ガルバリウム鋼板屋根材はスレートに比べて耐用年数が長く、再塗装が推奨されるまでの期間も延びるため、メンテナンスが容易です。
へこみが発生する場合がある
ガルバリウム鋼板は、薄い金属製の建材ですので、衝撃に弱く凹みやすい性質があります。一度凹んでしまった箇所を元に戻すことは非常に難しく、実際にはほぼ不可能と言っても過言ではありません。
この材料のメリットとしては、「ひび割れしにくい」という点を挙げることができますが、その一方で凹みや歪みを防ぐためには、物をぶつけたり自転車や車などでを当てたりすることを避けるように注意が必要です。例えば、ガレージの周辺や自転車置き場、庭に面した外壁などは障害物がある可能性が高いので、特に慎重になる必要があります。
また、屋根の場合は飛来物が落下する事で、凹みや変形が生じてしまう可能性があります。ですが、凹んでいるのみであれば機能に問題はありません。
凹みを特に気にされる方は、厚さが0.35mm以上の製品を選ぶと安心できるでしょう。
傷に注意が必要
屋根の場合、台風・今日になどによる飛来物の衝突・落下などが原因によって傷が付いてしまい、そこから錆が発生してしまう可能性があります。特に、台風が去った後は大きな傷や剥がれ・捲れが発生していないか点検される事をおすすめいたします。
外壁に関しても同様に、物をぶつけない様に注意する事と合わせて台風後などに点検を実施し、傷を発見したら補修をすぐに依頼する事が重要です。
軽微の傷であれば塗装による補修が可能ですので、錆が広がってしまう前に傷を塞ぐ事が大切です。
低い断熱性
金属製の製品は他の素材で作られた建材と比べると、熱を伝えやすい性質を持っています。 それゆえ、ガルバリウム鋼板の屋根材も断熱性が低く、この問題を解決するために工夫が必要となります。
屋根や外壁にガルバリウム鋼板製の物をすすめられたけど、屋内が暑くならないか心配という声をよくお聞きします。
具体的な対策としては、屋根材・外壁材ともに断熱材一体型の製品を使用する事が挙げられます。
断熱材が直接裏に貼り付けられているため、断熱性にムラがなく、均一な断熱効果が得られます。屋根材の場合は、スーパーガルテクト(アイジー工業)や横暖ルーフ(ニチハ)などがあります。また、外壁材については主要な製品の多くが断熱材一体型となっています。
建物の断熱施工状況の確認してもらい、対策を講じてもらう事で暑さはほとんどにおいて気にならないでしょう。
他に挙げられる対策として、白系で明るめのお色の遮熱塗料によって塗装をすることや、小屋裏へ発泡タイプの断熱材を設置する方法もございます。
また、屋根・外壁どちらにしても2重に施工するカバー工法であればあまり問題にはならないでしょう。
デザインがシンプルすぎる
ガルバリウム鋼板製の屋根や外壁の素材はシンプルすぎて高級感や重厚感に欠けると感じる方もいます。外壁に関しては、窯業系サイディングなどは多種多様で、デザインや色の選択肢も豊富です。また、タイル調や石積調などを好む方には少し安っぽく感じられることもあるかもしれません。瓦屋根を長年使ってきた方々でも、少し物足りなさを感じることがあるようです。
一方で、シンプルでおしゃれな建材としてガルバリウム鋼板は評価されています。個人の好みはさまざまですが、スパンサイディングやラップサイディングなど、ガルバリウム鋼板のシンプルなデザインを好む方も増えてきています。
また、近年ではデザイン性が高く、高意匠な外壁材製品も販売されています。
一目では金属材質と分からない模様が施された金属サイディングや、瓦の様なデザインのガルバリウム鋼板製屋根材も存在しますので、ご相談下さい。
ガルバリウム鋼板屋根のリフォーム事例
ガルバリウム鋼板屋根材に葺き替えで耐震性を向上
連日続いていた地震にご不安を漢字、軽量な屋根材をご希望頂いた為、ガルバリウム鋼板屋根材「横暖ルーフα」にの葺き替えをご提案させて頂きました。
屋根の重さも既存の屋根の約10分の1になり、瓦の落下の心配も無くなりました。
勾配が緩く雨漏りが発生していたスレート屋根の修理
2.5寸と緩い勾配が原因により、スレート屋根に雨漏りが発生しておりました。
棟から軒まで1枚の板金で仕上げる縦葺きで施工させて頂いた上、下地に粘着式の防水紙を設置したことで、将来的な雨漏りリスクを大きく減らすことが出来ました。
ガルバリウム鋼板に関するお役立ち情報
ガルバリウム鋼板製の屋根は、既存の屋根が瓦屋根であった方にもお喜び頂いております。シンプルなデザインが和風住宅にも良くマッチします。
→瓦からガルバリウム鋼板屋根への葺き替えについて詳しくはこちら
スレート屋根からの葺き替え・カバー工事にもガルバリウム鋼板製屋根材がチョイスされています。軽量である為、建物の負担になりません。
→スレートからガルバリウム鋼板屋根へのカバー工法・葺き替えについてはこちら
ガルバリウム鋼板屋根を検討しているけど我が家でも横葺きにできる?相違点・選定方法を確認できます。
→ガルバリウム鋼板屋根の縦葺き・横葺きについて詳しくはこちら
ガルバリウム鋼板の屋根材を使用したリフォーム!屋根材の種類は?
→ガルバリウム鋼板製屋根材おすすめ5選はこちら
ガルバリウム鋼板は、ここ10年ほどで急速にシェアを広げている屋根材です。その為、新しい建材ということに不安を抱く方も多いかもしれませんが、実は日本でも40年以上前から使われており、確かな実績を誇っています。
ですが、どんな建材であっても、メリットと同時にデメリットも存在します。メリット・デメリットを含めた特性を良くご理解いただいた上で採用し、寿命を延ばすメンテナンスも行いましょう。
「こんな屋根材はありませんか?」
「ガルバリウム鋼板屋根材にはどのような種類がありますか?」
上記の様な疑問・ご質問がございましたら街の屋根やさんまでお問い合わせください。
点検からお見積りの作成まで無料にて実施させて頂きます。
しっかりとお住まいを点検させて頂いた上、ご希望・ご予算をご相談させて頂いた上で最適なご提案をさせて頂きます。
ガルバリウム鋼板の屋根材・外壁材としてのメリット・デメリットとは?まとめ
- ●ガルバリウム鋼板のメリット
- ・ガルバリウム鋼板はめっき鋼板で、トタンの4倍錆びにくいと言われます
- ・ガルバリウム鋼板は金属なので屋根材として最軽量の分類です
- ・熱反射性が高いので金属でも表面温度の上昇が抑えられます
- ・ガルバリウム鋼板は水を吸収しないので汚れも付きにくいです
- ・セメント系建材やモルタルような、ひび割れ・凍害の心配がありません
- ・軽量で加工しやすいため施工がしやすい建材です
- ・縦葺き(立平葺き)なら緩勾配の屋根でも雨漏りリスクを軽減できます
- ●ガルバリウム鋼板のデメリット
- ・導入費用(イニシャルコスト)が高めですがメンテナンスコストはかかりにくいと言えます
- ・ものがぶつかると凹むことがあります。少々の凹みであれば機能に問題はありません
- ・傷がついてめっきが剥がれるとそこから錆が広がります。早めの補修がベストです
- ・ガルバリウム鋼板は金属なので断熱性は低いです。しかし断熱材一体型の屋根材や外壁材が販売されています
- ・デザインがシンプルすぎて不満、という方もいらっしゃいます。デザイン性の高い製品も多数出ていますのでご相談ください
街の屋根やさんは千葉県以外にも東京都、神奈川県などでも屋根工事を承っております。日本全国に展開中ですので、貴方の地域の街の屋根さんをお選びください。