ガルバリウム鋼板屋根の遮熱性・断熱性、屋根材として問題は?
更新日 : 2022年04月01日
更新日 : 2022年04月01日
屋根の傷みや汚れが目立ってきた、雨漏りなどの問題が起きてしまった、などの理由から屋根リフォームを考えている方にとって、新しい屋根材は何がいいのか?というのは気になるポイントのひとつですね。従来からある屋根材として瓦やスレートなどがありますが、近年はガルバリウム鋼板製の屋根が人気を集めています。屋根リフォームを前提に調べていている中で知った、業者に勧められたという方も多いでしょう。 ガルバリウム鋼板は軽量で住宅本体への負荷が減らせる上に、施工がしやすく、耐久性が高いといった多くのメリットがあります。しかし一方で、金属素材なので夏場に屋根から熱が伝わって室内が暑くならないか不安を感じる方も少なくないようです。 ガルバリウム鋼板を使った屋根リフォームに関心があるが迷っている、そんな方のために、この記事ではガルバリウム鋼板の概要やメリットとデメリット等をご紹介しながら疑問・不安を解消していきます。
ガルバリウム鋼板とは、金属(鋼)の板にアルミニウムと亜鉛・シリコンを混ぜた合金をメッキし、その上に塗膜を施したものです。空気に触れると酸化して錆びやすい性質を持つ鋼板ですが、アルミニウムや亜鉛でメッキ加工して、空気に直接触れないようにすることで錆びにくくしています。屋根材としての寿命も長く、そして何よりもガルバリウム鋼板を採用することで屋根全体が軽量化できることから、屋根リフォームでガルバリウム鋼板を使用するケースが増えてきています。
ガルバリウム鋼板は金属ですから、従来の金属屋根材として主流だったトタンを思い浮かべる方も多いでしょうが、ガルバリウム鋼板はトタンよりも錆びにくい素材です。
トタン屋根材
トタンとは、表面に亜鉛メッキを施した薄い鉄板のことです。表面が空気に触れて酸化するとメッキ層に穴が空くので、亜鉛が溶けだしてできた穴をふさぐ働きをします。亜鉛があるうちはこの修復過程が繰り返されるので傷みにくいのですが、長年外気にさらされてダメージが増えると、修復のために溶け出す亜鉛がどんどん消化されついにはなくなってしまいます。そうなるとトタン板自体がどんどん劣化していくという特徴があります。
ガルバリウム鋼板屋根材
対してガルバリウム鋼板は、鉄板にメッキ加工してある点は共通していますが、亜鉛だけでなくアルミニウムを加えてメッキ加工している点がトタンとは異なります。メッキ層に空いた穴を亜鉛が修復していくステップまでは同じですが、亜鉛がなくなった後はアルミニウムが穴を埋める働きをすることで修復できる期間が長くなり、トタンよりも耐久性が高くなるのです。
トタンの4倍錆びにくく、屋根材として25~30年の耐用年数が期待できるとなればご安心いただけると思います。ガルバリウム鋼板屋根をしっかり長持ちさせるためには、色あせや塗膜の剥がれがあれば塗り替え、また棟や屋根の端である軒・ケラバなどに使われる役物(水切り板金)の劣化にも注意して点検・メンテナンスをしてくださいね。
屋根は建物において重要な部位。屋根の状態が住宅の寿命に影響を与えることもありますから、屋根リフォームの検討に際してガルバリウム鋼板のことをよく知っておきたいですよね。
まずは屋根リフォームにガルバリウム鋼板をおすすめしたい理由をお伝えします。
ガルバリウム鋼板のメリット
耐久性が高い
ガルバリウム鋼板は、先ほども触れたように耐久性が高いというのがメリットのひとつです。風雨には強いものの錆びやすい鋼板の弱点を亜鉛+アルミニウム+シリコンのメッキ加工でカバーしていくため、耐用年数はトタンよりも長く25~30年と言われます。メッキの亜鉛やアルミニウムがむき出しのままだと劣化スピードが早くなるので、それを抑えるために塗装メンテナンスを行うとより長持ちさせることができます。
軽量で耐震性アップ
屋根材として使うことで住宅の耐震性が高くなるのも、ガルバリウム鋼板の大きなメリットです。ガルバリウム鋼板屋根の1㎡当たりの重量は瓦の約1/10、スレートの約1/3と言われていますので、屋根リフォームで瓦やスレートからガルバリウム鋼板にすると住宅全体にかかる屋根の重さはかなり軽くなります。
屋根が軽くなると住宅の重心位置が下に下がりますから、地震が来た時の揺れ幅を抑えることができます。揺れ幅が少なくなればそれだけ倒壊のリスクも減らせますね。 地震が多い日本は、今や全国どこに住んでいても地震の被害を受ける可能性があります。屋根リフォームによって屋根が新しくなると同時に住宅の耐震性が上がれば、まさに一石二鳥と言えるでしょう。
デザイン性
ガルバリウム鋼板は金属ですが、多くは塗装され、製品によっては独特の質感や模様を持つものもあり、シンプルながらモダンな雰囲気を出すことができます。暗い色を選べば落ち着いた雰囲気にもなりますし、屋根の質感や色が変わると外観の印象も大きく変わりますから、外観をイメージチェンジしたいという場合は外壁の色とのバランスを見ながら今とは違う色を選ぶといった方法もいいでしょう。
<事例1>爽やかなグリーンのガルバリウム鋼板にて屋根カバー工法
築25年、ひび割れや色あせが見られたスレート屋根へカバー工事です。カバー工法は現在の屋根を残したまま上から防水紙を敷き、新しい屋根材を葺いていく方法。屋根を重ねるので軽量なガルバリウム鋼板が向いています。優しいグリーンの鋼板を使用したことで金属の冷たい印象はなくお住まい全体が爽やかに仕上がりました。
<事例2>高級感のあるスタイリッシュな屋根に!瓦屋根からガルバリウム屋根へ葺き替え
台風の後に雨漏りが発生してしまったという和瓦の屋根。築30年が経っていて下地が古く、また今後の耐震性も考えてガルバリウム鋼板製のスーパーガルテクトで葺き替えとなりました。日光で輝くスタイリッシュな屋根に生まれ変わり「これまでと同じ家とは思えないくらい」とお喜びいただけました。
金属の屋根は暑いと聞くけれど…
ガルバリウム鋼板は熱を通しやすい材料である金属のため、遮熱性・断熱性が低く、夏の室内が熱くなると聞いてご不安に思う方も多いでしょう。確かに日射の熱を受けるとガルバリウム鋼板自体は熱くなりますから、そのままでは屋根裏に熱がこもりやすくなります。その影響で住宅全体の温度が上がってしまうのです。冬場も屋根裏に冷気が侵入しやすくなりますから、寒さを感じやすくなったり、結露の発生が心配されます。
「夏場エアコンをつけているのになかなか涼しくならない」といったことになりかねませんので、ガルバリウム鋼板を使って屋根リフォームをする場合は遮熱性・断熱性を考慮する必要があります。
せっかく屋根リフォームしたのに住みづらくなってしまっては後悔してしまいますよね。現在瓦屋根やスレート屋根の住宅に住んでいる方にとっては、「夏暑くて冬寒いのでは困る…」という不安からガルバリウム鋼板での屋根リフォームに抵抗があるかもしれません。 しかしガルバリウム鋼板のそうしたデメリットを解消するために、ガルバリウム鋼板を採用している屋根材メーカーは各社さまざまな工夫を取り入れた製品を販売しています。 ガルバリウム鋼板はとても魅力的な屋根材ですから、デメリットを解消する方法を知っていただき、安心してガルバリウム鋼板を使った屋根リフォームをご検討いただければと私たちは考えています。
屋根材選びでガルバリウム鋼板の暑さ・寒さを解消
ガルバリウム鋼板の遮熱性・断熱性が低いと、室温が外気温に影響されて暑くなったり寒くなったりして住み心地が悪くなってしまいます。 ガルバリウム鋼板そのものは金属で、どうしても周辺の気温に影響を受けやすいため、ガルバリウム鋼板の断熱性を上げる目的で鋼板の裏面に硬質ウレタンフォームなどの断熱材をセットした製品が各メーカーから販売されています。
こうした製品を使って屋根リフォームを行えば、屋根からの室温への影響はかなり抑えられ、室内の快適性を高められるでしょう。断熱性や遮熱性の高いガルバリウム鋼板屋根材として、私たちも自信を持っておすすめしています。
ニチハ「横暖ルーフ」
表面に遮熱塗料を塗布したガルバリウム鋼板、中心に硬質ウレタンフォームの断熱材、その裏に太陽光の輻射熱を反射するアルミラミネートを一体成型した製品がニチハ株式会社の横暖ルーフです。この三層構造によって遮熱性と断熱性を同時に高めていて、メーカーのシミュレーションでは一般的な金属屋根素材と比べて野地板裏面の温度に約25度もの差が出ることが実証されました。まさに「夏涼しく冬暖かい」屋根と言えます。
<施工例>ニチハ横暖ルーフで葺き替え、耐震性への不安を安心に
建坪 33坪 工事費用 180万円
地震時の揺れが気になり耐震対策のご相談をいただきました。屋根の軽量化のため葺き替えです。瓦撤去後、下地を増し張り補強、横暖ルーフ(ブラウン)を使用いたしました。複雑な形状の屋根でも施工しやすいのがガルバリウム鋼板です。元々洋風の瓦でしたが、違和感なく仕上がりました。
アイジー工業「スーパーガルテクト」
表面に遮熱性のあるフッ素樹脂/ポリエステル樹脂を塗装して大きな遮熱効果を持たせたのがアイジー工業株式会社のスーパーガルテクトです。熱エネルギーに変換されやすい赤外線、それを反射しやすい着色顔料を使っており、日射による温度上昇を抑えることができます。芯材にはポリイソシアヌレートフォームという優れた断熱材が充填されています。この独自構造による断熱効果は、屋根の野地板裏温度が一般的な住宅用スレート屋根と比べると約3~10度下がるというメーカーの実験結果を見ても明らかです。
<施工例>傷みが激しいスレートをスーパーガルテクトでカバー工事
建坪 30坪 工事費用 120万円
スレートを屋根塗装の予定でしたが予想以上に劣化が激しく、歩くだけで割れてしまう状態。カバー工法でのリフォームとなりました。スーパーガルテクトなら断熱材が入っているのはもちろん、屋根カバー工事で屋根材が二重になるので冬の寒さにも強くなります。元々あった換気棟も新しくし、熱気や湿気対策もばっちりです。
屋根の色にも注意
屋根の色を考慮することで遮熱性を高めることもできます。夏の日差しの中では、白い服よりも黒い服を着ている方が暑く感じますよね。 同じように、屋根であっても白色やシルバー色といった明るい色は遮熱性が高く、黒色や濃い茶色といった暗い色は遮熱性が低いという特性があります。
この特性を利用してなるべく明るめの色を選ぶことによって遮熱性を上げることができるのです。ただし、明るい色の屋根は日射を反射しやすいので、まぶしくて近隣の迷惑となりかねない場合もあります。加えて明るい色の屋根は汚れが目立ちやすいという特徴もありますので、汚れが気になるという場合は色の好みを優先するよりも少し明度を落とした色を選ぶのが無難と言えます。
また将来的に屋根を塗装メンテナンスする際にも明るめの色を選びましょう。遮熱性の高い塗料であれば効果はさらにアップです。
遮音性も高められます
嬉しいことに、ガルバリウム鋼板の断熱性を高めると遮音性についても併せてカバーできます。
金属は音を反響させやすい特徴がありますから、ガルバリウム鋼板自体には遮音性はありません。ですからガルバリウム鋼板をそのまま施工しただけでは雨音が反響しやすいのは確かです。
このデメリットを解消するために、前述した「横暖ルーフ」や「スーパーガルテクト」のような断熱材を一体化させた仕上げで68db程度の豪雨の音が約33dbに、「スーパーガルテクト」の場合は70db程度の豪雨の音が約31dbといずれもささやき声程度の音へと低減。
雨音の反響をしっかり抑えて、静かな室内での生活が実現できますよ。
屋根は住宅を風雨や日射から守り、その価値を維持する重要な部分です。リフォーム後何年にもわたって付き合うことになりますし、屋根リフォームは住宅のリフォーム工事の中でもかかる費用が大きい工事。屋根材の機能やデザイン、メンテナンス性、工事費用などをしっかり検討して進めたいですね。
ガルバリウム鋼板を使った屋根リフォームは、屋根の軽量化による耐震性アップやスタイリッシュな外観へのイメージチェンジなどさまざまなメリットがありますが、これまでと違う屋根材に変わったことで不便があったら、という不安も大きいと思います。
リフォームにおいて何を重要視したいのか、どのようなご希望があるのか、ぜひ、私たち「街の屋根やさん」にお聞かせください。
またどういったリフォーム方法や屋根材・防水紙などが最適なのかは住宅の状態によっても異なります。屋根の現状を正確に把握することは、ベストな屋根リフォームの提案や施工に欠かせません。
根リフォームをお考えでしたら、街の屋根やさんの無料点検をご利用ください。豊富な施工数で培った確かな技術と診断力で屋根とお家の現状をしっかりチェックし、その結果とご予算などのご要望を踏まえて、適切なリフォームの方法やおすすめの屋根材を提案いたします。ぜひお気軽にお問合せください。
ガルバリウム鋼板屋根の遮熱性・断熱性まとめ
●ガルバリウム鋼板とは、トタンの4倍錆びにくい、高耐久の金属素材です
●屋根材として25~30年の耐用年数が期待できます
●金属なので熱伝導率が高く、リフォームにあたって断熱性や遮熱性を心配される声も多くきかれます
●ガルバリウムの断熱性や遮熱性を高めるため、塗料や断熱材一体型等で対策された屋根材製品が販売されています
●遮熱性や断熱性対策のため断熱材が充填されたガルバリウム屋根材なら遮音性も期待できます
●屋根の暑さは色によっても変わります。なるべく明るめの色を選びましょう
街の屋根やさんは千葉県以外にも東京都、神奈川県などでも屋根工事を承っております。日本全国に展開中ですので、貴方の地域の街の屋根さんをお選びください。