トタン屋根とは?種類・特徴・メンテナンス方法と費用相場を徹底解説
更新日 : 2025年02月12日
更新日 : 2025年02月12日

住宅の屋根や庇(ひさし)、さらには倉庫や車庫など、幅広い用途で採用されている「トタン屋根」。コストパフォーマンスに優れ、施工が比較的容易であることから、古くから多くの建物に使用されてきました。
瓦屋根は非常に長持ちする屋根材で、半世紀以上もの耐用年数が期待できます。しかし、トタン屋根は定期的なメンテナンスが欠かせません。
「トタン屋根の補修にはどれくらいの費用がかかるのか?」
「錆びたり傷んだりしたら、新しい屋根材に張り替えた方がいいのか?」
といった疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、トタン屋根の種類や特徴、メリット・デメリットに加え、メンテナンスの方法や費用相場について詳しく解説します。

トタン屋根とは、鉄板に亜鉛メッキを施した薄型の金属屋根材の一種です。
軽量で施工が容易なため、日本の高度経済成長期には、住宅・工場・倉庫など幅広い建物で採用され、全国的に普及しました。

瓦屋根と比較すると、トタン屋根ははるかに軽く、建物への負担が少ないため、耐震性にも優れています。
当時はコストの低さが評価される一方で、地震の多い日本では「軽くて揺れに強い屋根材」が求められていたことも、トタン屋根の広がりに影響を与えた要因の一つでしょう。
しかし、現在ではトタンよりも耐久性が高く、サビに強いガルバリウム鋼板が主流となっているため、新築住宅でトタン屋根が採用されるケースはほとんどなくなりました。
それでも、築年数の古い住宅や、居住スペースではない物置・車庫・倉庫などでは、引き続きトタン屋根が使用されています。
トタン屋根の寿命は、適切なメンテナンスを行うかどうかで大きく変わります。
本記事では、トタン屋根の種類や維持管理のポイントについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください!


トタン屋根は、主に3つのタイプに分類され、それぞれ異なる特性を持ち、使用される場面も異なります。
瓦棒葺きトタン屋根

瓦棒葺きは、屋根の骨組みとなる「芯木(しんぎ)」と呼ばれる棒状の木材を一定の間隔で配置し、その間に折り曲げたトタンを固定する工法です。
屋根の頂点から軒先に向かって縦方向に葺くため、雨水がスムーズに流れやすいのが特徴です。
また、比較的勾配の緩やかな屋根にも対応できるため、住宅のほか、倉庫や簡易的な建物にも使用されます。
波板トタン屋根

波板トタンは、その名の通り波状に加工されたトタン屋根材のことを指します。
金属板を波打たせることで、薄い鉄板でも強度を確保できるのが大きな特徴です。
そのため、比較的コストを抑えながら耐久性を向上させることが可能で、主に倉庫・納屋・仮設建物などに多く使われています。
折板(せっぱん)トタン屋根

折板トタン屋根は、トタン板を大きな台形状に折り曲げて成形し、強度を高めた屋根材です。
水はけが良く、勾配がほとんどない屋根でも施工可能なため、雨水が溜まりにくい構造になっています。
特に、広範囲にわたる施工が必要な大規模施設(工場・体育館・倉庫など)で採用されることが多いのが特徴です。

トタン屋根は、コストの低さや施工のしやすさといった利点を持つ屋根材ですが、採用を検討する際には、デメリットについてもしっかり理解しておくことが重要です。
まずは、トタン屋根が持つ主な特長や利点について詳しくご説明します。

他の屋根よりも価格が安い
屋根材の種類 | 1㎡あたりの施工価格目安 |
トタン屋根 | 約5,000~6,000円 |
金属屋根材 (スーパーガルテクト) |
約9,000~10,000円 |
トタン屋根は、他の屋根材と比較して圧倒的にコストが低いのが特徴です。
また、施工方法がシンプルで工期が短いため、設置費用も抑えられるのが大きな利点です。
例えば、トタン屋根の施工費用は1㎡あたり約5,000~6,000円程度。
同じ金属屋根材で人気の高い「スーパーガルテクト」(1㎡あたり9,000~10,000円)と比較すると、施工コストが大幅に抑えられることが分かります。
軽量で耐震性に優れる

トタンは、非常に軽い金属屋根材のひとつです。
屋根が軽量であるほど建物の負担が少なくなり、地震時の揺れも軽減できるため、耐震性の面で大きな強みを持っています。
特に、重量のある瓦屋根と比較すると約10分の1の重さしかないため、耐震性に優れた屋根材のひとつと言えるでしょう。
雨漏りしにくい構造

トタン屋根は流れ方向に沿って1枚の板で施工されるため、継ぎ目が極端に少ないという特徴があります。
この構造により、雨水の侵入リスクが低減され、特に積雪の多い地域でも雪が隙間から入り込みにくいというメリットがあります。
ここまで、トタン屋根の利点を解説しましたが、現在のリフォーム業界では、トタンを金属屋根として採用するケースがほとんどありません。
その理由として、以下のデメリットが関係しています。

錆びやすい

トタン屋根は表面に施された亜鉛メッキが剥がれると、鉄部分が露出して錆が発生しやすいという欠点があります。
錆が進行すると穴が開き、雨漏りの原因となるため、定期的なメンテナンスが必須です。
「金属製の屋根なら錆びるのは仕方ないのでは?」 と思われるかもしれません。
しかし、近年主流となっているガルバリウム鋼板は、トタンよりも錆に対する耐性が圧倒的に高いため、リフォームではトタン屋根よりもガルバリウム鋼板が選ばれるケースがほとんどです。

断熱性の低さ

トタン屋根は金属製で熱伝導率が高いため、断熱性が非常に低いという欠点があります。
特に夏場は、直射日光を受けると屋根が高温になり、その熱が室内にダイレクトに伝わりやすくなります。
そのため室温が上昇しやすく、冷房効率が低下して電気代の増加につながるケースが多いです。
冬場も冷気が直接伝わるため、暖房効果が弱まりやすいため、住居用としては快適性に欠けるのが難点です。
雨音がかなり目立つ

トタン屋根は薄く、金属の特性上、音を吸収しにくいため、遮音性が低いのが特徴です。
特に雨が降ると、屋根に直接打ちつける音が室内に響きやすくなります。
強い雨や風の日には、音が気になって眠れない、生活音に影響が出るといったケースも珍しくありません。
防音対策として、屋根の内側に断熱材や防音シートを施工する方法もありますが、追加工事が必要になるため、初期コストがかさむ点に注意が必要です。
メンテナンス頻度の高さ

トタン屋根は耐久性の面で劣るため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
特に、錆が発生すると屋根材の強度が低下し、穴が開いて雨漏りの原因となるため、5~10年ごとの塗装メンテナンスが必須です。
このため、初期費用が安くても、長期的に見るとメンテナンスコストがかかりやすいのがデメリットです。
近年では、トタンの欠点を大幅に改良した「ガルバリウム鋼板」が主流となり、住宅用の屋根としてトタンを採用するケースはほとんどなくなりました。
しかし、倉庫・物置・車庫など、居住スペースではない建物では、コストの安さが大きなメリットとなるため、現在でも十分活用されています。
また、短期間での屋根補修が必要な場合や、仮設建物の屋根材としても依然として有用です。
トタン屋根の特性を理解し、適切な用途で活用することが重要です。

トタンの寿命や交換時期は何年くらい?

トタン屋根の寿命は、一般的に15~20年程度とされています。
しかし、これは設置されている環境やメンテナンス状況によって大きく変わるため、一律の基準では判断できません。

気候の影響を大きく受けるため、台風や強風による飛来物が当たることで表面に傷がつき、そこから錆が発生して劣化が進むケースもあります。塗膜が剥がれると、鉄部分が露出し、腐食の進行が加速するため、塗装の状態を定期的に確認することが重要です。
特に瓦棒葺きタイプのトタン屋根では、内部に組み込まれている心木(しんぎ)が腐食することで、トタンを固定する釘が効かなくなり、屋根材が捲れたり飛散するリスクが高まります。 強風の影響を受けやすい地域では、この問題が発生しやすいため、早めの点検と補修が求められます。
屋根の劣化は少しずつ進行するため、定期的な点検を行い、劣化の兆候を早期に発見することが重要です!
トタン屋根は比較的安価な屋根材ですが、適切な管理を行わないと早期の劣化や雨漏りにつながる可能性があるため、定期的なメンテナンスが長持ちさせる鍵となります。
以下でご紹介するような症状が見られた場合は、補修や交換の検討が必要になります。業者に数年ごとに点検を依頼し、現在の状態を把握することで、適切なメンテナンス計画を立てやすくなりますよ。
トタン屋根の劣化症状
色褪せ

チョーキング

錆び

穴あき


トタン屋根は経年劣化しやすいため、状態に応じた適切な補修やリフォームを選択することが重要です。
主な修理・改修方法とそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう!
1. 屋根塗装
トタン屋根の最も一般的なメンテナンス方法は屋根塗装です。
まず、表面に発生した錆をケレン作業(研磨処理)で除去し、その後に防錆塗料を塗布し、最終的に仕上げ塗装を行います。
この方法は、色褪せや軽微な錆が発生している場合に有効で、屋根の美観を回復するとともに、塗膜の保護効果によって耐久性を向上させることができます。

▼費用相場
30坪程度の住宅でトタン屋根の塗装を行う場合、費用の目安はおよそ40万円からとなります。
この価格には、足場の設置費用、高圧洗浄、錆を除去する下地処理、そして塗装作業にかかる費用が含まれています。
2. 部分的な修理
トタン屋根の破損や剥がれが限定的な場合は、部分的な修理を行うことで補修可能です。
小規模なダメージであれば、コーキング材を用いたシーリング処理などの簡易補修で対応できます。
錆が広がる前に修理を行うことで、コストを抑えることができるのもメリットです。


▼費用相場
1カ所の補修費用はおおよそ3万円程度が一般的な相場となります。
ただし、作業を行う場所が高所にある場合は足場の設置が必要となり、別途15万~25万円程度の費用が発生する可能性があるため、事前に確認しておくことが重要です。
3. 葺き替え工事
トタン屋根の劣化が進行し、大規模な錆や穴あきが発生している場合は、葺き替え工事が必要になります。
葺き替えとは、既存のトタン屋根を撤去し、新しい屋根材に交換する工事のことを指します。
業者によっては「張り替え」と表現することもありますが、基本的に同じ施工内容です。
近年では、新たにトタン屋根を設置するのではなく、より耐久性・耐食性に優れたガルバリウム鋼板による立平葺き(たてひらぶき)にリフォームするケースが増えています。
ガルバリウム鋼板はトタンよりも錆に強く、長寿命なため、メンテナンスの手間を減らすことができます。

▼費用相場
30坪程度の住宅でトタン屋根を葺き替える場合、工事費用の目安は約100万円からとなります。
物置や倉庫のような簡易的な建物であれば足場の設置が不要なケースも多く、より低コストで施工可能です。
トタン屋根のリフォームを検討する際は、耐久性の向上や長期的なメンテナンス性を考慮し、葺き替え工事を選択するのが望ましいと言えます。
4. カバー工法(重ね葺き)
カバー工法は、既存のトタン屋根を撤去せず、その上から新しい屋根材を重ねて施工する方法です。
トタン屋根の場合は、下地(野地板)ごと新しくする必要があるため、葺き替えと比べてもコスト面で大きな差が出にくいのが特徴です。
また、劣化したトタンをそのまま下地として使用することになるため、今後長期間使用する予定の建物にはあまり推奨されません。
耐久性を重視する場合は、葺き替え工事を選択する方がメリットが大きいと言えます。

▼費用相場
約80万円~が相場となります。
トタン屋根のDIY修理は危険!専門業者に依頼すべき理由

屋根の補修やメンテナンスは、できるだけ費用を抑えたいと考える方も多く、「トタン屋根は施工が簡単だから、自分で修理できるのでは?」と思われることがあります。
しかし、実際にはトタン屋根のDIY修理には重大なリスクが伴います。
トタン屋根の補修作業は、高所での作業がほとんどです。屋根には勾配があるため、足元が不安定になりやすく、特に金属製の屋根は表面が滑りやすいため、適切な安全対策を施さなければ転落事故につながる危険性が非常に高くなります。
また、雨上がりや冬場の霜が残る時間帯は、さらに滑りやすくなるため、専門的な知識と装備がない状態で作業を行うのは極めて危険です。
DIYで屋根に登ることで、誤って塗膜を傷つけてしまったり、腐食している箇所を踏み抜いてしまうケースも考えられます。
特に、瓦棒葺きのトタン屋根では内部の心木が劣化していると、強い負荷がかかった際に破損し、修理どころか屋根の状態を悪化させてしまうこともあります。
また、正しい補修方法を知らずにコーキングや塗装を行うと、本来必要な施工ができず、逆に雨漏りを引き起こす原因になることもあるため注意が必要です。

幅広い施工が可能な業者を選びましょう
トタン屋根の補修やリフォームを行う際は、幅広い施工に対応できる専門業者に依頼することが大切です。
一般的に、「トタン屋根の施工は板金業者に依頼するのが良い」とされています。確かに、金属屋根の加工に精通した板金業者は、適切な補修を行えるため安心です。
しかし、トタン屋根のメンテナンスには屋根塗装や部分補修、シーリング工事など、リフォーム以外の選択肢もあります。
そのため、屋根塗装・葺き替え・カバー工法・部分補修など、さまざまな工事に対応できる業者を選ぶことが理想的です。
点検後に最適な方法を提案してくれる業者に依頼することで、不要な工事を回避し、コストを抑えながら適切な修理を行うことができます。

業者選びの際に注意すべきポイントとして、「契約を最優先にする業者」が挙げられます。
例えば、本来は塗装メンテナンスで十分な状態の屋根にもかかわらず、板金業者が葺き替え工事を強く勧めるケースや、塗装業者が屋根の根本的な問題を解決しないまま塗装を勧めるケースも見られます。
適切な施工を行うためには、相見積もりを取り、複数の業者から意見を聞くことも重要です。見積書の内容を比較し、施工内容や価格に違和感がないかを確認することで、適正な工事を依頼できるようになります。

私たち街の屋根やさんでは、トタン屋根の塗装・葺き替え・カバー工法・部分補修など、あらゆる工事に対応可能です。
現地調査を行い、屋根の状態に最も適した施工方法をご提案し、不要な工事を避けながら適切なメンテナンスを提供しています。
トタン屋根の補修やリフォームでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
●トタン屋根は軽量で耐震性に優れているが、現在ではガルバリウム鋼板が主流となっています●瓦棒葺き・波板・折板など、種類ごとに特徴が異なります
●施工コストが安く、雨漏りしにくい構造がメリットだが、錆びやすさや断熱性の低さがデメリットとなります
●修理やリフォームの方法には、塗装、部分補修、葺き替え、カバー工法があり、状態に応じた施工が必要です
●DIYでのトタン屋根のメンテナンスはおすすめできません。専門業者に依頼し、安全性と耐久性を確保できる施工をしてもらいましょう!
街の屋根やさんは千葉県以外にも東京都、神奈川県などでも屋根工事を承っております。日本全国に展開中ですので、貴方の地域の街の屋根さんをお選びください。
