RC造建物は雨漏りが最大の弱点!適切なメンテナンスで雨漏りを防ぎましょう
突然ですが皆さんのお住まいはどのような構造でしょうか?恐らく戸建てであればほとんどが木造ではないでしょうか?比較的安価な他、加工性も高くリフォームが容易に行えることから戸建てから3階建て程度のアパートに採用されています。
ではマンションや集合住宅とも呼ばれる建築物はどうでしょう?皆さんお住まいになられているマンション等の構造がどうなっているのか、強度はご存じでしょうか?木造以外というと真っ先に頭に思い浮かべるのはコンクリートだとは思いますが、コンクリート内部にある鉄筋の種類によっても構造種別は違うのです。木造よりもはるかに強度が高いコンクリート造ですが、雨漏りを起こしてしまうと非常に厄介な状態になります。そこで今回はまず構造の違いと、多く採用されているRC造で雨漏りを起こす原因、補修方法を徹底的にご紹介したいと思います。
建物構造の種類
まずは皆さんがお住まいになっている建物構造についてしっかり理解しておきましょう。
木造
日本でのスタンダードな構造です。上述した通り木材を主体にすることでコストパフォーマンス・加工性に優れています。柱で支える木造軸組工法(在来工法)と壁で支える2×4工法に分かれます。
RC(Reinforced Concrete)造
鉄筋コンクリート造と呼ばれる構造で、強度が必要な柱や梁に鉄筋で型枠を作りコンクリートを流しこんだ素材を使用した建築物です。 鉄筋もコンクリートも非常に重い為、確かな強度を保持するために5階以下の低層(1~3階)・中層(3~5階以下)建築物に使用されます。
SRC(Steel Reinforced Concrete)造
鉄筋を周りにコンクリート流し込むRC造とは少し違い、中央の鉄骨を支柱にすることでRC造よりも高い強度があります。 5階建て以上の高層(6階~)建築物にも施工が可能ですが、重量はRC造とは変わらないため、5階以上にはコンクリートを流し込まないこともあるようです。
S(Steel)造
RC造やSRC造の重量問題を解決するための構造ですが、鉄筋もコンクリートも使わず粘り強くしなやかな鉄骨を使用した建物構造です 非常に軽い仕上がりの為、タワーマンションといった超高層(高さ60m以上)建築物や商業施設、体育館など大きな面積の建築物に採用されます。
ここまでの説明で建物高さによって採用される構造が異なってくるということがわかるかと思います。もちろん採用頻度が多いということで「必ず〇階建てはこの構造で!」という訳ではありませんが、強度や重量を基準に建物構造が決まりますので、ある程度の把握は出来るかと思います。 最も確実なのは建物の資料です。賃貸・購入にかかわらず契約書には必ずRC造など建物構造が記載されていますので、これらを参考にどういった特徴があるのかを確認しましょう。
今回はアパートやマンションで最も多く採用されているRC造に焦点を当ててご紹介しますが、構造の違いはあるものの雨漏りを起こす箇所と原因はほとんど変わりませんので、オーナー様、管理会社様はぜひ補修・リフォームにお役立てください。
木材と比較すると圧倒的に強度が高いRC(鉄筋コンクリート)造ですが、雨漏りを起こす箇所と原因は基本的にどの建物も変わりません。簡単にピックアップしてみていきましょう。
屋根
RC造のほとんどは傾斜のある三角屋根ではなく、フラットな陸屋根が採用されています。強度に優れた建物に10年ごとにメンテナンスが欠かせない化粧スレートなどを使用する必要がない為です。
陸屋根は塗装ではなく防水ですので面積に合わせてアスファルト防水・シート防水・ウレタン防水で雨漏りを防いでいます。戸建て住宅で使われるFRP防水は耐久性に優れていますが柔軟性が悪く広い面積には向いていないため、RC造建物のような多くの方が生活するような大きな建築物には使用されません。
陸屋根の防水層が劣化してしまえば雨水は簡単に浸入し上階から雨漏りを起こし始めてしまいます。
外壁
外壁はコンクリート、タイルを貼っている建築物、集合住宅の場合はPC(プレキャストコンクリート)が多いかと思います。もちろんどの外壁材も強度は非常に高いのですが、目地の劣化・外壁材の剥落によって雨漏りを引き起こしてしまいます。RC造に陸屋根が多いという点も関係ありますが、軒のない陸屋根は外壁の劣化も早い傾向があります。上階では何ともないが、途中の階で雨漏りが起きた場合は外壁、ベランダもしくは漏水の可能性が高くなります。
※PC(プレキャストコンクリート)とは?
現場で流し込むコンクリートは継ぎ目のない仕上がりですし、曲面であろうと簡単に施工できます。しかし天候に大きく左右される、乾燥時間が長い、施工技術に差が出るなど多くの課題があります。
そこで湿度や気温を調整している工場であらかじめコンクリートパネルを生産し現場に搬入することで、安定した品質・工期短縮が図れます。特に工期が厳しい公共事業等ではPCパネルが使用されることが多い為、集合住宅などの外壁を見てみると一定の間隔で段差があることがわかるかと思います。
ベランダ・バルコニー
RCなど建物構造にかかわらず、ベランダやバルコニーは雨水が吹き込みやすい場所です。当然下階に雨水が漏れないよう防水工事は施工されていますが陸屋根同様、防水層が劣化することで下階に雨漏りを起こす可能性が非常に高くなりますので定期的な清掃・防水メンテナンスが欠かせません。
サッシ
こちらも建物構造とは関係ありませんが、サッシの建付け不良やわずかな隙間から雨水が吹き込むことで雨漏りが発生する可能性があります。この場合建付け調整や市販されているパッキンでの処置が可能ですが、サッシ交換は躯体を傷めてしまいますのでカバー工法がベストです。
また外壁とサッシの取り合いに施工されているシーリング材の劣化も雨漏りの原因になります。1階であれば脚立等で補修することも可能ですが2階以上は足場仮設が必須、更に他のサッシ周りも劣化した状態になっている可能性が高い為、全面改修が理想的です。
水回り(キッチン・浴室・洗面)
集合住宅だからこそご自身だけの問題ではないのが水回りのシーリング劣化、配管の詰まり等で起きる漏水です。未然に防ぐことができるケースが多いですが下階の方にご迷惑をかけてしまいますので、より一層注意深くメンテナンスを行う必要があります。
これらを見ると強度が高いにも関わらずRCでも雨漏りのリスクは木造と変わらないことがわかりますよね?もちろん材質からRCが木造よりも雨漏りを起こしにくいは起こしにくいです。
しかし気温や天候が変動する中、人の手でつくる上で完璧なものは存在しません。部分的に固まらなかったコンクリート部分が内部にあれば、漏れ出てしまいわずかな隙間になります。施工期間が開きコンクリートを打設すれば密着性が悪くひび割れや剥離を起こす可能性もあるのです。
これらの問題をできる限りなくすよう適切な施工を行っていても、施工後クラックを起こす程度の可能性は十分にあるのです。
雨漏りの原因に漏水も紹介いたしましたが、内外にかかわらずRC造内部に水が入り込む可能性があります。それこそが強度に優れたRC造の弱点です。
そもそもRC造は圧縮力に強いが引っ張り力に弱いコンクリートと、圧縮力には弱いが引っ張り力には強い鉄筋を組み合わせることで成り立ちます。そしてその強度を数十年維持するためには鉄筋の錆を防ぐことが重要なのです。施工後はアルカリ性のコンクリートが鉄筋を覆うように保護しているため全く問題ありませんが、雨漏りを起こせば鉄筋が錆びてしまいます。
すると鉄筋の耐久性は低下するだけでなく水を含み膨張、膨張した鉄筋とコンクリートは徐々に離れひび割れや剥離を起こしてしまいます。ひび割れや剥離は雨水が入り込む要因ですので悪化の一途をたどります。
一度錆びてしまった鉄筋を補修するのは簡単ではありません。それこそ多くの方が生活するようにRC造を採用していることから、コンクリートを剥がして補修を…なんてことは不可能です。構造補修のために入居者に引っ越してもらうという事も現実的ではありません。ここまで厄介な問題を抱えないためには『RC造で雨漏りを起こさせない!』この一点に尽きます。
もし仮にRCで雨漏りを起こしてしまった際は、今後建物の耐久性にも関わる可能性がありますので早急に補修を行う必要があります。そのためには雨漏りの原因を突き止める必要がありますが、以下の流れで行っていきます。
現地調査
最上階の天井に雨染みがあれば陸屋根が怪しい、壁際に雨染みがあればサッシや外壁クラック、など雨漏りを起こした箇所からある程度雨漏りの原因を突き止められます。
・いつ(時期やタイミング)
・どこから(場所の確認)
・どの程度の量(劣化の程度)
があったのかをお伺いし調査を行います。劣化している場所と雨漏り箇所が一致すれば補修を行い、今後雨漏りを起こさないか継続的に見ていきます。
散水試験・赤外線調査
RC造は雨漏りから数日経つと乾燥してしまいますので、木造住宅のように野地板や梁の雨染みを頼りに調査を行うことができません。
雨漏りがどこで起こっているのかがわからない場合、補修範囲を特定させたい場合は散水試験で降雨を想定して雨水の通り道を確認します。
散水試験を行った結果、一向に雨漏りが確認できないこともあります。これはRC内部で雨水が別方向に進んでしまっている可能性があるためです。その際には赤外線調査で表面温度の違いから雨水の入り口・経路を確認し雨漏り補修を行います。
雨漏り補修工事
雨漏りの原因に合わせて適切な補修工事を行います。陸屋根やベランダ・バルコニーはそのまま補修が可能ですが、外壁・サッシの場合は足場仮設を行いますので同時に施工すべき場所はチェックしておきましょう。
調査の段階から足場が必要になるケースは調査を行わず全面改修に踏み切ることもありますが、あくまで築年数が経過していて雨漏りの原因が特定できないほど劣化箇所が多い場合や、一度の工事で全体をメンテナンスしておきたい商業施設等に限るかと思います。通常であればまずは雨漏りの原因特定を行い、一つずつ確実に補修を進め雨漏りが改善されたことを確認しておくことが大事です。
雨漏りを起こしてしまった際のRC調査から工事までの流れはご紹介しましたが、まず雨漏りを起こさせないための定期的なメンテナンスを行っておくことが最善です。築15年以上が経過しているRC造建物だと想定し部位別のメンテナンス方法をご紹介いたします。
陸屋根(屋上)、ベランダ・バルコニー
シート防水やウレタン防水の他、比較的耐用年数の長いアスファルト防水でもそろそろ劣化し雨漏りを起こしてもおかしくない時期です。
高圧洗浄で下地を綺麗にした後、伸縮目地がある場合は打ち替え補修を行います。15年以上経過していると下地が吸水している可能性もありますので、新たに施工する防水層が下地の影響を受けないよう、下地と完全密着させない通気緩衝工法(ウレタン塗膜防水)か機械的固定工法(シート防水)での施工がお薦めです。
外壁
コンクリートは強度が高いイメージから塗装の必要性がないと思われがちですが、吸水しない無機質素材ではありませんので徐々に劣化します。考え方は窯業系サイディングやモルタル同様、外壁塗装を行うことで劣化の進行速度を遅らせることができます。
ただ大規模な建物ですので塗装費用も戸建て住宅の比ではありません。雨漏り補修・雨漏り防止メンテナンスとしてはクラックや爆裂が発生した場所の補修です。RCの要でもある鉄筋まで露出している場合は、あらかじめ錆止め塗料を塗りこんでから表面の補修を行いましょう。
●RCの要でもある鉄筋まで露出している場合
タイルは目地から雨水が入り込むことでタイルの剥がれ・雨漏りを起こしますので、タイルの割れ・目地の打ち直しを定期的に行いましょう。目視では確認できなくてもタイルが浮いていることがありますので、打診棒を使って軽い音がしないかをチェックすることも大切です。
サッシ
ガラス周りのシーリング取替は屋内からできますので問題ありませんが、サッシ周りのシーリング補修は外壁と同時にメンテナンスしておきましょう。耐用年数が短いシーリング材が多いのですが補修の度に足場が必要となる場所ですので、できる限り高耐久なシーリング材を打設し隙間のない状態を維持しましょう。
その他
漏水を起こす可能性がある水回りのシーリングに隙間や亀裂はありませんか?
水回りはご自身でも簡単に補修できる場所ですが、密着性や効果が変わるのでシーリング材の種類にだけ注意しましょう。外壁には変性シリコンを使用することが多いですが、水回りは耐水性・耐熱性が高いシリコンシーリングです。
今回RC造建物で起こる雨漏りの危険性についてご紹介させていただきました。大事な事はRCで雨漏りが起こった時の対処法よりもまず、雨漏りを起こさないためにどうすべきかです。 RC造ということは建物規模が大きいですので点検・補修箇所も多くなります。毎回違う業者に点検を依頼していては見落としが発生してしまいます。
またいざ雨漏りが起きた時に1社目に依頼し改善せず、2社目に依頼しても改善せず…と繰り返していては適当な補修が増えるばかりで費用と時間の無駄遣いになってしまいます。そしてその分雨漏りの原因特定が難しくなるばかりです。 業者を選ぶ際はRC造の特徴を知り、雨漏りの原因特定ができるか、それらを見極めるには施工実績や適切な補修方法のご提案です。
私たち街の屋根やさんでは建物にとって無駄なメンテナンスは一切ご提案致しません。無料点検を行った上で劣化を見極め、本当に必要な補修工事をご提案させていただきます。 今後安心して任せられる業者を探している、雨漏りが起きており早急な対応が必要とお困りのオーナー様、管理会社様、お気軽に私たち街の屋根やさんへお問い合わせください。
RC造建物は雨漏りが最大の弱点!
適切なメンテナンスで雨漏りを防ぎましょうのまとめ
●RC造であっても雨漏りを起こす箇所と原因は木造住宅と変わりません。劣化してしまえばいつどこから雨漏りを起こしてもおかしくないという事です。
●鉄筋とコンクリートで成り立つRC造は雨漏りによる鉄筋の錆びこそ強度を低下させる最大の弱点ですので、雨漏りを起こさせない、雨漏りは早急に補修することが重要です。
●木造とは違い雨染みが残りにくく浸入経路が複雑化するRC造は目視点検の上、散水試験・赤外線調査で雨漏りの入り口を突き止め補修します。
●雨漏りを起こさせないようにするにはその箇所にあったメンテナンスが大切です。簡単に足場が仮設できない規模ですので耐久性に優れた補修を心がけましょう。
●大規模な建築物であればあるほど点検・補修箇所が多くなるため、信頼できる1業者での点検・補修がお薦めです。RC建物の管理や補修に関してお悩みの方は私たち街の屋根やさんにお任せください。
街の屋根やさんは千葉県以外にも東京都、神奈川県などでも屋根工事を承っております。日本全国に展開中ですので、貴方の地域の街の屋根さんをお選びください。