スレート屋根工事に必要?アスベスト調査・報告について詳しく解説!
更新日 : 2024年06月03日
更新日 : 2024年06月03日
スレート屋根の葺き替え・カバー工法・塗装メンテナンスをご検討中の方、リフォームにてアスベスト含有の可能性がある建材を扱う場合、事前の調査や報告が必要になる事をご存知でしょうか?
2022年4月からアスベストの事前調査及び、それを都道府県に報告することが義務付けられています。アスベストはスレート屋根だけでなく、軒天や外壁、室内の建材にも含まれている可能性がある為、注意が必要です。
「アスベスト調査」とは一体何でしょうか?また、必ず調査と報告を行わなければならないのでしょうか?そういった疑問にお答えするために、今回はアスベストの事前調査と報告の義務について、詳しくご説明いたします。
アスベストの事前調査とは、住宅などの建物に使用されている素材にアスベストが含まれているかどうかを調べる事を言います。
アスベストは、建築資材や断熱材として幅広く使われていましたが、その後になって健康被害が報告され、アスベストが原因となる肺がんや中皮腫などの疾患が問題視される事態となりました。
そのため住宅を解体したり、リフォームする際に部分的な建材の撤去をする場合は、必ず事前に調査を行い、都道府県または大気汚染防止法で定められた地方自治体に報告する必要があります。
アスベストが含まれている建築物では、アスベストが飛散してしまうことで周囲の人々の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。アスベストは非常に危険な物質であり、人体の健康に影響を及ぼすことからデリケートな問題とされています。
アスベストの事前調査は、建築工事の元請け業者によって実施されます。調査の手法は、建物の状態を目視確認し、サンプルを採取してアスベストの有無を検証する方法が一般的です。
調査結果に基づいてアスベストの除去・処理をする必要がある場合、適切な方法で行うことが求められます。
※石綿ありとみなして、必要なばく露・飛散防止対策を講じて工事を行う場合は分析調査は不要です。
※厚生労働省:石綿総合情報ポータルサイト・リーフレットより引用
では、アスベストはどの様な物質なのでしょうか?
アスベストは、石綿(いしわた・せきめん)とも呼ばれ、自然由来の鉱物繊維です。この素材は建築物の建材や工業製品に幅広く活用されており、高い耐熱性と耐久性を持っています。また、薬品にも強く絶縁効果も優れています。
その特性から様々な場所で使用され、防音材や断熱材、保温材としても広く使われてきました。
様々な場所で活用されていたアスベストですが、後に発がん性物質が含まれている事が判明します。その為、平成18年9月1日以降アスベストの製造・使用が禁止され、アスベスト含有の建材を使用する事は無くなりました。
しかし、アスベストは様々な場所で活用されてきたことから、現在でもアスベストを含有している建材を使用した住宅・建築物が多く存在しています。
そうした建物の解体・リフォームによる部分解体等で、アスベストの正しい処理を徹底する為に事前調査・報告義務が制定されました。
※環境再生保全機構より引用
次に、アスベストの事前調査・報告が必要な具体的な工事内容をご説明いたします。
建材の種類・工事の種類を確認していきましょう。
建材の種類
アスベストが含有している可能性がある建材の例
※下記にご紹介する建材以外にも存在します。詳しくはご相談下さい。
まず、屋根材に注目してみましょう。
屋根材の中では、住宅屋根用スレート(平板・波板)・繊維強化セメント瓦などにアスベストが含有している場合があります。また、アスベストが含有していないと思われる建材に関しましても、事前調査・報告は必要です。
外壁材では、窯業系サイディングや軒天に使用されているけい酸カルシウム板第一種・第二種(ケイカルボード)、フレキシブルボードなどが一般的な住宅で使われている建材です。
フレキシブルボードは、「フレキ板」とも呼ばれる繊維強化セメント板の一種で、セメントと補強繊維を原料に高圧プレスで成型した不燃材です。ビルドインガレージなどの壁や、軒の天井材に使用されることが多いです。
また、聞き馴染みがあまりない建材ですが、スラグ石膏板やパルプセメント板、押出成形セメント板、ロックウール吸音天井板などの建材にも含有されている可能性があります。押出成形セメント板は、建築物の耐力を伴わない非耐力外壁および間仕切り壁などに使われています。
こうした建材は専門性が高い為、分かりにくく専門業者へご相談されることをおすすめ致します。
屋外の建材に限らず、屋内の建材にもアスベストが含有している可能性があります。
例えば、一昔前に建てられた住宅に良く見られるのが、キッチンの天井に使用されている化粧石膏ボードです。白いボードに虫食いの様な穴が開いた特徴的なデザインで、ビル・オフィスの天井にも良く使用されています。
アスベストは不燃性に優れている為、火を扱う台所には良く適しており、昔は防火のためにアスベストが含有している製品が良く使われたのでしょう。
アスベストの含有率は、製造年代によって異なります。しかし、一般的にアスベスト含有率は、製造された年代が古い程高い傾向にあります。
※国土交通省:目で見るアスベスト建材(第2版)より引用
工事の種類
アスベスト調査・報告が必要である工事種類
例えば、スレート屋根・セメント瓦などアスベストが含有されている可能性がある屋根材を葺き替え・屋根カバー工法・屋根塗装を施工する場合、アスベスト含有の有無に関わらず調査は必須となります。
既存の屋根材がスレートであれば、例え解体を伴わない屋根カバー工法・塗装メンテナンスの施工であっても調査が必要です。
「解体しないのであれば調査はいらないのでは…?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、屋根カバー工法や屋根塗装メンテナンスを施工する際には、高圧洗浄機による洗浄作業が必要であり、威力が大きい高圧洗浄によって飛散してしまう可能性がある為、調査が必要となります。
また、調査・報告が必要なのは屋根工事のみに限りません。
例えば、外壁の張替え・外壁塗装・軒天の張替えや塗装など、アスベストが含有している可能性のある建材の場合、アスベスト含有の有無に関わらず調査・報告が必須となります。
前述させて頂きました様に、製造年代によっては外壁の窯業系サイディングや軒天のケイカルボードにもアスベストが含有されている可能性があります。
そのような状態ですと、建材にアスベストが含有しているかどうかをご自身で判断するのは難しいと思われます。その為、専門業者による事前調査によってアスベストが含有している建材の有無を確認すると同時に、ご自身でも認識しておくことが大切となります。
アスベストの事前調査・報告は、住宅などの建物の解体・改造補修する際に必要です。
しかし、その全てが対象になるという訳ではありません。
都道府県等へ報告が必要になる条件をご紹介致します。
1:建築物の解体作業を伴う建設工事であり、当該作業の対象となる床面積の合計が80㎡以上のもの
解体部の延べ床面積が80㎡以上の広さがある住宅・建築物の解体工事には報告義務があります。
2: 建築物の解体作業を伴う建設工事であり、 当該作業の請負代金の合計額が100万円以上のもの
住宅などの建築物の改造・補修等をする場合、その請負金額が税込100万円以上の場合、報告義務があります。
請負金額は、事前調査費用を含まない材料費を含めた作業全体の請負金額です。
また、請負契約が交わされていない場合であっても請け負った人に施工を依頼する場合、適正な請負金額の相当額で判断されます。
3:工作物の解体・改造、あるいは補修する作業を伴う建設工事であり、当該作業の請負代金の合計額が 税込 100万円以上のもの
ボイラーや煙突、焼却設備などの特定の工作物の解体・改修工事をする場合で、請負金額が100万円以上の場合、報告義務が発生します。
こちらに関しても2と同様に事前調査費用を含まない材料費を含めた作業全体の請負金額で、請負契約が交わされていない場合であっても相当額で判断されます。
つまり、上記の条件以外の工事であれば、調査後の報告義務はありません。
実際に工事をご検討される中で判断が難しい場合は、自治体の生活安全課へ問い合わせるか、専門業者へ相談しましょう。
アスベストの事前調査・報告は、発注者(お客様)では無く、全て工事を請け負う業者によって行われるため、安心できると思います。
しかし、事前調査の際に調査に使用する設計図書や必要な情報をご提供して頂く可能性がございます。また、滅多にないことですが、外部の専門業者へ調査依頼が必要である場合、別途費用の負担が必要になる事がある為、注意しましょう。
事前調査によって建築物にアスベストを確認した場合
事前調査によってアスベストの含有を確認した場合、アスベストを周囲に飛散させない等、飛散防止措置に沿って法令で定められた作業基準を順守し、適切な施工をさせて頂きます。
また、万一断熱材などがアスベストレベルの高い建材であった場合、解体・改造・補修工事などを行う際に、工事発注者(お客様)から都道府県に届ける事が必要となります。
通常のスレート屋根材や窯業系サイディングであれば必要ありませんが、届け出の必要性の有無は工事業者に確認されることをおすすめ致します。
お客様による報告書の保管
アスベストの事前調査の結果は、解体工事面積・改修工事の請負金額に関係なく解体工事期間中に工事現場に掲示されることが義務付けられています。
掲示する項目は、大気汚染防止法、及び石綿障害予防規則によって定められています。
※上記画像はアスベスト事前調査結果掲示の一例です。
※日本建設業連合会HPより引用
また、工事業者は建物の解体・改造・補修工事の完了後、アスベスト除去作業が終了したことをお客様に報告する必要があります。
お客様は、報告書を管理・保管しておく必要がありますので、注意が必要です。
2023年10月1日から、住宅を含む建築物のアスベスト事前調査は、厚生労働大臣が定める以下の資格所有者でなければ行う事は出来ません。
一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)
※(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録されている者も「同等以上の能力を有する者」として認可されます。
専門業者へ工事を依頼する上で最も重要な事は、上記の様な有資格者が正確に調査してくれる業者を選定して依頼する事です。
依頼をする前に有資格者の有無や、業者の信頼性をしっかりと確認しましょう。
※国土交通省:目で見るアスベスト建材(第2版)より画像引用
平成18年以前のお住まい・建物にはアスベストが含有している建材が使われている可能性がある為、注意が必要です。建物の外部に使われるスレート屋根・セメント瓦・窯業系サイディング・軒天のケイカルボードに限らず、建物内部のキッチンの天井・床の建材にも含有されている場合があります。
特にお住まいのリフォームを考えている方にとってアスベスト調査は決して他人事ではなく、非常に重要な調査となります。
アスベスト含有建材について適切な措置を行わなかった場合、3月以下の懲役又は30万円以下の罰金が定められています。
しかし、「罰則が定められているから仕方なく…」では無く、ご家族・ご近所のかたの健康や安全を守る為にも、リフォーム工事前のアスベスト調査・報告を必ず施工業者へ依頼しましょう。
街の屋根やさんでは、定められた基準に則り正しい調査・報告を実施しています。
現在、リフォームや工事をご検討されている中でアスベストに関してご不安・ご心配事があるという方がおられましたら、ぜひお気軽にご相談下さい。
スレート屋根工事に必要?アスベスト調査・報告について詳しく解説!まとめ
- ・2022年4月より建物をリフォームする際にはアスベスト含有調査・報告が必須となりました
- ・スレート・セメント瓦などの工事やリフォームをご検討中の方は注意が必要です
- ・基本的に調査・報告は工事請負業者が行う為、ご安心ください。
- ・罰則があるから..という考えでは無く、安心・安全の為、正しい調査・報告を実施してくれる業者を選定しましょう
- ・街の屋根やさんでは定められた基準を順守した調査・報告をしております
街の屋根やさんは千葉県以外にも東京都、神奈川県などでも屋根工事を承っております。日本全国に展開中ですので、貴方の地域の街の屋根さんをお選びください。