必見!太陽光パネルを設置した屋根を塗装する際の注意点
近年、自家発電で電気料金の節約や売電が可能な太陽光パネルを屋根に設置している住宅が増えてきました。イニシャルコストはかかるものの、運用期間次第では回収も見込め、さらに副収入にも期待が持てるためです。環境に優しくエコロジーであるということも後押ししているでしょう。今後、更に太陽光パネルを設置した住宅が増加することが考えられます。しかし、お住まいでは太陽光パネルを設置した時には考えもしなかったメンテナンスを行っていく必要もでてきます。そこで、このページでは『太陽光パネル設置住宅で屋根塗装が可能なのか』、『太陽光パネルを取り外さずに屋根塗装を行う際の注意点』などをご紹介いたします。
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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太陽光パネルの設置が増加する理由
近年は二酸化炭素の排出量を減らしたり、電気そのものの使用量を減らしたりと環境への負荷を最小限に抑える「エコ住宅」が注目されています。IHコンロやエコキュートの普及に伴い、オール電化住宅も増加しました。そこで電気を買うのではなく、ご自宅で発電できる太陽光パネルを屋根に取り付けたお住まいも多く見受けられるようになりました。
住宅用の太陽光パネルは最近普及され始めたと思われがちですが、日本では実は四半世紀前の1993年に販売が開始されています。
翌2012年には10kW以上の太陽光発電はすべての電力を買い取る全量買取制度も開始され、経済性として大きく注目を浴びることになり一気に普及も進みました。この頃はよく私の家にも「屋根の上に太陽光発電を載せませんか」と訪問業者がやってきたものです。
2014年には国による補助金制度廃止、2016年には売電価格全面自由化と設置に対する補助や経済的なメリットは薄れてきましたが、それでも太陽光パネルを設置されている住宅は増えています。
太陽光パネルの設置に伴う国による補助金制度は廃止されてしまいましたが、地方自治体ではそれに替わる補助金を出しているところも少なくありません。また、太陽光パネルの低価格化も続いています。売電での魅力は低下してしまいましたが、自宅で消費することによって電気代を大きく節約することが可能です。蓄電の技術が進めばさらに電気代も節約できるでしょう。また、また国が進めているZEHでも太陽光発電システムの使用が想定されています。つまり、現在は注文住宅でも、建売住宅でも、太陽光発電の設置は必須となってきているのです。
インターネットで調べていると太陽光パネルの「2019年問題」というワードが見受けられます。これは売電が開始された2009年から10年経過することで固定価格での売電が出来なくなるという事を指しているのですが、固定価格買取制度は設置した年より適用されますので2019年に太陽光パネルを設置したとしても買取制度を利用することが出来ます。
※ZEH ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、使うエネルギーより創るエネルギーの方が大きい住宅のこと。国による補助金が受けられる。新築、リフォームを問わない。
太陽光発電を巡る流れと政策の時系列
1993年 住宅用の太陽光パネルの販売開始 系統連系技術ガイドライン策定1994年 政府による家庭用太陽光発電モニター事業 (補助金制度) 開始
1998年 これまで最大4~5KWまでだった補助対象を最大10KWまでに拡大
2006年 低価格化に伴い、補助金制度の廃止(途中、内容の変更は複数回あり)
2009年 住宅用太陽光発電導入支援対策費として補助金復活 売電価格が24円/kWhから2倍の48円/kWhへ
2011年 東日本大震災による電力不足により太陽光発電に注目が集まる
2012年 10kW以上の太陽光発電システムはすべての電力を買い取る全量買取制度開始
2014年 補助金制度廃止
2016年 売電価格全面自由化 国によるZEH支援事業(補助金制度)開始
太陽光パネル設置前の場合
太陽光パネルを設置している状態で
全体の屋根塗装を行う場合
どうしても塗装で綺麗に仕上げたい場合は太陽光パネルの脱着が必要です。この場合は足場仮設と屋根塗装費用に加え、太陽光パネルの脱着費用が必要になりますので最も補修費用が高くなってしまいます。
太陽光パネルを脱着せずに 屋根塗装を行う場合
太陽光パネルの取り扱い方法を知りましょう
太陽光パネルを取り外さずに塗装メンテナンスを行う事は出来ます。しかしその前に太陽光パネルの特徴や注意点を知っておくことが大切です。塗装後に太陽光パネルに関わるトラブルが起きないように前もって確認しておきましょう。実際に太陽光パネルを脱着せずに屋根塗装を行う場合の気になる点・注意点をご紹介したいと思います。1.塗装工事をすることで太陽光パネルの保証は切れちゃうの?
通常は屋根のリフォームは屋根業者、塗装工事は塗装業者に依頼するかと思います。しかし屋根に太陽光パネルが設置されており、別の業者に屋根塗装を依頼したことによって太陽光パネルの保証が切れてしまったら?と不安を感じられる方もいらっしゃると思います。
太陽光パネルの保証には「システム保証(約10~15年)」と「出力保証(約10~25年)」がありますが、太陽光パネルを塗装するわけではないため本来は問題ないでしょう。しかし塗装業者が破損させたという理由で保証が切れることも充分に考えられるのです。
2.塗装業者が太陽光パネルに乗っているのだけど大丈夫?
太陽光パネルが屋根に設置されている場合、必然的に作業スペースが限られます。塗装の為には太陽光パネルの上に乗っていても仕方ない…と思いがちですが、太陽光パネルには大きな重量がかかる事を想定し作られてはいません。人が乗るだけでセルと呼ばれる太陽電池の素子にクラックが入り、太陽光パネルの内部にも損傷を与えかねません。太陽光パネルの注意点を知らない塗装業者は多く存在しますので、あらかじめどのように塗装工事を行うのかを確認しておきましょう。
3.太陽光パネルに鳥糞が付いているから高圧洗浄で落としてもらえますか?
塗装工事を行う際には必ず屋根材に付着した汚れや苔を取り除く為に高圧洗浄を行います。太陽光パネルにも鳥の糞が付着している事があり性能を低下させている事も考えられます。
この機会に高圧洗浄でまとめて流したいところですが、高圧洗浄に使用しているのは水道水です。雨水であれば付着するはずのない水道水に含まれたカルキが太陽光パネル表面にこびりついてしまうと、清掃も困難になり発電性能も低下してしまいます。
例えば屋根材は直下の防水紙の耐用年数を考慮し20~30年、太陽光パネルの法定耐用年数は17年ですがこれはあくまで減価償却期間ですので、優に20~30年程度は使用することが出来るでしょう。
屋根塗装が雨漏りを防ぐ訳ではありません
屋根に太陽光パネルを取り付けているお住まいでの屋根塗装工事は、パネル脱着の機会に行うのがベストです。しかし仕上がりの差違や注意点を理解した上で太陽光パネルを取り付けたまま屋根塗装工事を行うことも可能です。太陽光パネルの脱着費用と塗装面積が小さくなることで施工費用を最小限に抑えることも出来ます。しかし太陽光パネルはデリケートですので、取扱い方法を知らない塗装業者に依頼してしまうと思わぬトラブルが発生する可能性は充分にあります。
太陽光パネル設置住宅の屋根塗装工事
屋根塗装工事
使用塗料:下塗り(ベスコロフィラーHG)、中塗り・上塗り(ファインパーフェクトベスト)
点検時の様子
しかし雨水や太陽光に晒されることで間違いなく経年劣化を起こします。見てわかる通り苔やカビの付着は少ないものの、色褪せと屋根材が吸水したと思われる雨染みが見られました。太陽光パネルの設置面も雨水が流れますのでもちろん傷んでしまいますが、露出している面よりも劣化スピードは遅いでしょう。側面から見ると太陽光パネルと屋根材の間にはそれほど空間がありませんので、手を入れての塗装には限界があります。全体的に綺麗に仕上げたい場合は、太陽光パネルを取り外さなければなりません。
今回は太陽光パネルを取り付けたまま屋根塗装工事を行いました。高圧洗浄でスレート屋根材に付着した埃等を洗い流していきますが、出来る限り太陽光パネルに水道水をかけないよう屋根材を中心に洗浄し、乾燥後に下塗りで下地と塗膜の密着性向上、傷んだ屋根材の補強を図ります。
その後中塗り・上塗りで太陽光パネルに塗料が付着しないよう養生をし、ハケやローラーが届く場所までしっかり仕上げていきます。
太陽光パネルを設置した屋根を塗装する際の注意点のまとめ
●太陽光パネル設置住宅は今後も更に増加することが見込まれます。●太陽光パネルの設置前、設置済、撤去後の状態によって屋根塗装工事上の注意点が異なります。
●高圧洗浄にはカルキが含まれた水道水を使用しますので、太陽光パネルを洗浄すると性能が低下する恐れがあります。
●2回目の屋根塗装工事をご検討中の方は、屋根材や太陽光パネルの耐用年数も考慮した上で施工しましょう。
●太陽光パネルの取り扱い方法を把握している塗装業者に工事を依頼しましょう。
●注意点を把握した上で太陽光パネル設置住宅に安価な屋根塗装工事を行う事が出来ます。
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