コロニアル屋根の特徴やメンテナンスの注意点|「塗装リフォームは必要ない」は本当?
更新日 : 2025年02月13日
更新日 : 2025年02月13日

コロニアルは、日本の住宅において非常に広く使用されている屋根材です!
その為、対応できる施工業者が多い事もコロニアルの魅力ではあるのですが、「製造時期によっては問題を抱えている製品がある」という特徴も目立つ屋根材です。
業者選びの失敗は、無駄なメンテナンスをしてしまうリスクとなります!
そこで、この記事ではコロニアルの特徴・劣化症状や、リフォームやメンテナンス時に気を付けるべきポイントを詳しく解説し、どんな屋根材なのかを深掘りしてご紹介いたします!
また、リフォーム業者の視点から「コロニアルよりも金属屋根材をおすすめする理由」や「塗装リフォームの必要性」についてもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

コロニアルとは、住宅の屋根材として広く使われているスレート屋根の代表的な商品名です。
もともとは株式会社ケイミューが展開する「カラーベスト」シリーズの一種でした。
しかし、スレート屋根市場で圧倒的な普及率を誇ったことから、次第に「コロニアル」という名称がスレート屋根全般を指す言葉として定着される事となりました。

コロニアルはセメントを主成分としており、瓦屋根に比べて軽量であることから耐震性に優れているとされています。
特に阪神・淡路大震災以降はその軽さが評価され、新築住宅での採用が一気に拡大しました。
以降も「軽さ」と「コストの低さ」を兼ね備えた選択肢として支持され、日本の住宅市場において高いシェアを維持し続けています。
実際、屋根点検やリフォームのために街の屋根やさんが訪問すると、体感的には約7割の住宅がコロニアル屋根であると感じるほど多くの家で使用されている屋根材です。
コロニアル屋根材の種類
一言で「コロニアル屋根」といっても、その種類や特性は時期によって異なります。
実は、製造された年代によって、コロニアルの耐久性やメンテナンス時の注意点は変わってきます。
その為、ご自宅のコロニアル屋根がどの時代のものに該当するのかを把握しておくことが非常に重要となります!
アスベストが含有されている「ニューコロニアル」

コロニアルが市場に登場したのは、1979年のことです。
それ以前の屋根材といえば、耐久性に優れるものの高価で重量のある瓦屋根か、軽量ながら耐久性に難があったトタン屋根が主流でした。
そこへ「安価」「軽量」「施工のしやすさ」という三拍子が揃ったコロニアルが登場すると、新築やリフォームの現場で一気に普及。手軽さという点では、まるでファーストフードのような存在だったと言えるかもしれません。
こうして日本の住宅市場を席巻したコロニアルですが、その性能を支えていたのはセメントに混ぜられていたアスベストの存在でした。
【アスベストが屋根材に含まれていた理由】
現在、アスベストは健康被害の原因となることが明らかになり使用が禁止されていますが、それ以前は屋根材をはじめ、さまざまな建材に広く使われていました。
建築業界で重宝されていた理由は、低コストでありながら耐久性や耐火性に優れていたからです。
コロニアルの場合、セメントにアスベストを混ぜることで、割れにくく頑丈な屋根材へと仕上げることができました。
アスベストには耐久性を向上させる効果があり、しかも低コストだったためコロニアルの製造コストも自然と抑えられていました。
この時期に作られたアスベスト含有のコロニアルは、「石綿スレート」と呼ばれることもあります。
特に普及していたのが「ニューコロニアル」という商品で、1990年代前半まで製造されていました。
古いタイプではありますがアスベストの特性により寿命は40年ほどとされており、後発のコロニアルと比べても依然として長い耐用年数を誇っています。

革新的な素材だったアスベストですが、実は1970年代にはすでに健康被害が懸念され始め、徐々に規制が強化されていきました。
そして2004年には屋根材に1%以上のアスベストを含むことが禁止され、さらに2006年には0.1%以上の含有も規制、事実上の使用禁止となりました。
これにより、耐久性に優れていたニューコロニアルは完全に市場から姿を消すこととなります。
上記のことから、2006年以前に建てられた住宅のコロニアル屋根にはアスベストが含まれている可能性があります。

▼アスベストの関連ページ
重大な欠陥を抱えている「コロニアルNEO」

コロニアルNEOは、アスベストを含まないコロニアル屋根の代表的な商品です。
各メーカーはアスベスト規制を見越し、1990年代後半からノンアスベストの屋根材開発を進めていました。その中で、コロニアルNEOは2001年から2008年までの短期間のみ販売されていた商品です。
わずか7年で市場から姿を消した背景には、深刻な問題がありました。
それは、耐久性の大幅な低下です。
アスベストの使用禁止は避けられない状況でしたが、耐久性を補う代替素材や技術が確立しないまま販売されたため、コロニアルNEOは「極端に脆い」という致命的な欠点を抱えてしまいました。
具体的には築10年ほどで屋根全体にひび割れや欠けが発生しやすくなり、40年以上も使用できたニューコロニアルと比べると性能の落差は歴然です。

コロニアルNEOに限らず、この時期に各メーカーが販売していたノンアスベストのコロニアル屋根材は同様の耐久性の問題を抱えていました。
そのため、当時新築やリフォームを行った住宅では、現在になって屋根の不具合に悩まされるケースが非常に多くなっています。
また、ニューコロニアルと販売時期が重なっていることから、2001年〜2008年に施工されたコロニアル屋根は「コロニアルNEO」である可能性がありますので注意が必要です。

▼ノンアスベストの関連ページ
評価の途中とも言える「現在のコロニアル」

アスベストの使用に関する規制は依然として変更されていないため、現在市販されているコロニアルはすべてノンアスベスト製の屋根材です。
とはいえ、各メーカーは過去に販売した問題のあるコロニアルを踏まえ、耐久性を高めた新しいタイプのコロニアルを開発しました。
その中でも特に普及しているのが、カラーベストシリーズの「コロニアルグラッサ」や「コロニアルクァッド」といった屋根材です。
これらはコロニアルNEOの後継として、2008年以降に登場し、現在も販売が続いています。

耐久性は確実にコロニアルNEOを上回っており、カタログ上ではその寿命はおおよそ30年とされています。
ただし、初期の製造から15年程度しか経過していないため、耐用年数に関してはまだ評価の途中段階と言えます。
それでも現時点では極端な脆さや特有の劣化症状が目立つことはなく、新築の屋根においてはコストを抑えた施工が可能な選択肢として広く利用されています。
アスベストを含まない状態で30年の耐用年数を実現した技術力は、まさにメーカーの実力を物語っています。


コロニアルの耐久性はアスベストの有無によって異なりますが、それに伴いメンテナンスや屋根リフォーム時の注意点も変わってきます。
アスベスト含有コロニアルの注意ポイント

かつて人気を博していたアスベスト含有のニューコロニアルは、現在では施工から30年~40年以上が経過しています。
そのため、屋根材としての寿命が近づいており、塗装でのメンテナンスではなく屋根リフォームを業者から提案されるケースが増えているのではないでしょうか。
アスベストを含むコロニアルをリフォームで屋根葺き替えする際には、いくつかの注意点があります。
まず、アスベストには健康リスクがあるため、コロニアルの撤去や処分には特別な対応が求められます。
屋根葺き替えの際に劣化したコロニアルを取り外すことになりますが、アスベストの危険性を考慮し、解体や撤去時には飛散を防ぐための厳重な対策を講じなければなりません。
その結果、コロニアルの撤去作業や処分費用は他の屋根材よりも高額になるため、葺き替え工事を進める前にこの点を念頭に置いておく必要があります。
撤去・廃材処分費が発生しない「屋根カバー工法」


既存のコロニアルを剥がさず新しい屋根材をその上から重ねる屋根カバー工法であれば、葺き替えで発生する高額な撤去・処分費用を抑えることができます。
そのため、屋根カバー工法も有力なリフォームの選択肢となります。
葺き替え工事とカバー工法のどちらが最適かは、プロの施工業者のアドバイスを受ける事が大切です。予算やリフォーム後に家を手放す予定があるかどうかなどを伝え、相談してみましょう。
アスベスト非含有コロニアルの注意ポイント

アスベストを含まないノンアスベストのコロニアルは、アスベストを含むコロニアル屋根材とは異なり撤去や処分にかかる追加費用は発生しません。
ただし、メンテナンスについては注意するポイントがあります。
初期のノンアスベスト屋根材は前述の通り劣化が早く、表面の剥離やひび割れが発生しやすくなります。
コロニアルの基本的なメンテナンス方法は塗装によって耐候性や防水性を回復させることですが、ノンアスベストのコロニアルには塗装が効果を発揮しません。
塗装を施してもその脆さは解消されないため、どうしても15年程度で劣化が進行します。
そのため、初期のノンアスベストのコロニアルには塗装を施すことは推奨されていません。
「別の業者に塗装を依頼したが、すぐに傷んでしまったので屋根を見てほしい」という依頼を受けて調査した結果、無意味にコロニアルNEOが塗装されていたケースもあります。
技術・経験豊富な業者であれば、コロニアルNEOなど特定のコロニアル屋根材への塗装が効果がないことを理解しています。
塗り替えではなく、屋根がさらに劣化する前にリフォームを進めるよう提案してくれるはずです。

業者によってはコロニアルNEOと判定できない事も…

どの様な工事にも言える事ですが、最も重要なのは信頼できる業者に調査や工事を依頼することです。
コロニアルNEOは特有の形状をしている事もあり、経験豊富な業者であれば屋根を調査した時点で耐久性に問題を抱えたノンアスベスト屋根材であることを簡単に見抜くことができます。
しかし、業者によっては「アスベストが含まれているか分からないので、アスベスト含有として葺き替え工事の見積もりを出します」と提案してくるケースも残念ながら存在します。
コロニアルNEOはアスベストを含んでいないため、処分や撤去に高額な費用を掛ける必要はありません。もしその業者にのみ調査を依頼して工事を進めていた場合、不必要な費用を負担することになっていたかもしれません。
そのため、コロニアル屋根のメンテナンスやリフォームを検討する際には、必ず複数の業者から相見積もりを取り、工事金額や提案内容を比較することが非常に重要です。

▼業者選びに役立つ関連ページ

かつては軽量で低コストという点から非常に人気を集めていたコロニアルですが、現在では金属屋根材が新築市場での屋根材シェアを占めるようになっています。
では、リフォーム現場においてコロニアルはどう評価されているのでしょうか?
数多くの屋根工事を手掛けてきたリフォーム業者が、コロニアルについての率直な評価をお伝えしたいと思います。
屋根リフォームを行うなら金属屋根がおすすめ

リフォーム業者である「街の屋根やさん」としては、コロニアルよりも金属屋根の方が屋根リフォームには適していると考えています。
金属屋根は耐候性や耐久性に優れ、メンテナンスの頻度も少なくて済むため、ランニングコストの面でも非常に優れた選択肢です。この点が大きな評価ポイントとなっています。
さらに、コロニアルのように衝撃で割れる心配がなく、軽量性で耐震性も高い事から現代の屋根に求められる性能に非常にマッチしています。
特にガルバリウム鋼板などの金属屋根材は、丈夫でありながらコロニアルよりも軽量で長期の耐用年数を誇ります。
リフォーム時にはコロニアルより高価になりますが、長期的には非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢と言えます。

コロニアルの評価が低い訳ではありません!
コロニアルは以前に比べ使用率は減少していますが、それでも耐久性に対するコストパフォーマンスの良さは他の屋根材にはない大きな魅力となっています。
新築時には安価で施工負担が少ないため、コロニアル屋根を選ぶことで建物全体の建築コストを抑えることができる点がよく評価されます。
ガルバリウム鋼板とコロニアルには、それぞれに特徴的な長所と短所があります。
リフォームをご検討する際には、両方の良い点と悪い点をしっかり理解した上で最適な屋根材を選ぶことが非常に大切です。
▼屋根材の比較に役立つ関連ページ

コロニアルの劣化が進行しているサイン

コロニアル屋根は、劣化の初期段階で表面の色褪せやコケの発生が見られるようになります。
特に北側の屋根面は日当たりが悪いためコケが目立ちやすく、コロニアルを保護している塗料の10年~15年を迎えるとこれらの症状が顕著になります。
また、表面の塗装が剥がれることで吸水しやすくなることで、コロニアルのひび割れや反りが進行しやすくなります。

こうした初期の劣化サインを放置すると、コロニアル本体の強度が低下しさまざまな不具合を引き起こす恐れがあります。
例えば、反った部分が風の影響で浮き上がり、叩きつけられることで破損する可能性もあります。
屋根全体に傷みが広がる前に、早期のメンテナンスが非常に重要です。

インターネットでコロニアルのメンテナンスについて調べていると、「コロニアル(スレート屋根)への塗装は不要」「コロニアルを塗り替える意味がない」といった情報をよく見かけますよね。
しかし結論として、街の屋根やさんではコロニアルへの塗装は必要だと考えています。
コロニアル屋根の塗装は不要と言われている理由

コロニアルへの塗装が不要だとする記事では、以下のような内容がよく見受けられます。

塗装の効果で絶対にコロニアルが長持ちするとは言えない

劣化によりコロニアルが割れても屋根機能に影響はない
まず、「塗装を施してもコロニアルが長持ちするわけではない」という情報についてですが、実際にはコロニアルの劣化が早まる原因の一つとして表面の塗膜の劣化が深く関係します。
塗膜が経年劣化で剥がれるとコロニアルは雨水や紫外線の影響を受けやすくなり、受けるダメージも大きくなります。
塗り替えを行い防水性や耐候性を回復させた屋根よりも早い段階で劣化が進み、寿命を縮めてしまいます。
同じ時期に建てられた住宅の屋根調査を行った際、塗装メンテナンスを施した屋根とそうでない屋根ではコロニアルの劣化具合に差があることを実感します。

防水紙(ルーフィング)への悪影響は避けられない

また、「コロニアルが割れてしまっても屋根の機能には問題がない」という見解についても疑問を感じます。
コロニアルは部分的に上下の屋根材が重なっているため、ひび割れが発生しても確かに屋根機能に与える影響は少ないでしょう。
しかし、塗装が劣化したままではコロニアルが雨水を吸収しやすくなり、反りや割れといった不具合が発生しやすくなります。
そうした状態は防水紙を傷める原因となり、その影響は無視できません。

防水紙は屋根からの雨漏りを防ぐための最も重要な下地材です。
劣化が進めば進むほど、屋根からの雨漏りリスクが高くなります。
コロニアルの塗装を行うことで雨漏りが直接解消されるわけではありませんが、防水紙の状態を維持する事には繋がります。
こうした観点からも、コロニアルには定期的な屋根塗装が必要と言えます!


棟板金交換工事

コロニアル屋根で雨漏りを防ぐためには、棟板金の状態にも注意を払う必要があります。
棟板金の耐用年数は約15年程度であるため、コロニアル屋根では必ず一度はメンテナンスを行うことが必要です。
棟板金の下地(貫板)は経年により腐食しやすく、これによって釘が緩むと棟板金が浮き上がり雨水が浸入しやすくなります。

棟板金は屋根の頂部に設置されており、特に風の影響を受けやすく雨漏りの原因となりやすい部分です。
また、不具合を放置すると強風時に棟板金が飛散する危険性もあります。
棟板金の下地材が腐食している場合、交換工事では耐水性の高い樹脂製の貫板を使用することが一般的です。

最終的には全体的なリフォームが必要です
コロニアル屋根は適切なメンテナンスを行うことで耐久性を延ばすことができますが、寿最終的にいつかは全体的なリフォームが必要となります。
劣化が進行して屋根材や防水紙が機能しなくなると、部分的な補修では対応できません。葺き替えやカバー工法によるリフォームを検討する必要があります。


まとめ
●リフォームにおすすめなのはコロニアルよりも金属屋根材です●軽量なコロニアル屋根は地震に強く、特に日本の住宅で人気を集めていました
●コロニアル屋根は製造時期によって特徴が大きく異なるため注意が必要です
●アスベストを含有したコロニアルは撤去・処分費用が高額になります
●ノンアスベスト製品の中でも初期に販売されたものは耐久性が低く、塗装による効果はありません
●適切なタイミングで塗装メンテナンスを行う事は、コロニアルの状態維持に繋がります
●予算・住宅の状態に応じて最適な屋根工事方法を選定する事は大切ですが、その為にも業者選定は非常に重要です
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2019年台風で長生郡長柄町刑部T様邸のコロニアル屋根に不具合
【施工内容】
その他の工事
【一言メッセージ】
親切に又、丁寧に対応して頂きました。
茂原市小林U様より築40年経過したコロニアル屋根の調査のご依頼
【施工内容】
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【一言メッセージ】
よく理解できました。
街の屋根やさんは千葉県以外にも東京都、神奈川県などでも屋根工事を承っております。日本全国に展開中ですので、貴方の地域の街の屋根さんをお選びください。
