「軽いから家に負担がかからない」、「丈夫で耐用年数も長い」、現在、屋根リフォームにおいても、新築においても、最も注目を集めているのが金属屋根材です。金属屋根材を屋根葺き替えに使用すれば、屋根を大幅に軽量化できますから、耐震性をアップすることができます。
【動画で確認「金属屋根材徹底比較」】
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【動画で確認「金属屋根材徹底比較」】
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屋根の上に屋根を被せる屋根カバー工法の場合も軽量な金属屋根材なら安心です。 金属屋根材は浅草寺などで使われているチタン瓦、守口市の市民体育館のコールテン鋼、関西国際空港のスーパーステンレス、アルミとさまざまなものがありますが、これらは全て高価です。 ここでは一般的なお住まいや建物に使われることの多いトタン、ガルバリウム、エスジーエル(次世代ガルバリウム)を比較します。
トタン、ガルバリウム、エスジーエル、共通のメリット・デメリット
トタン、ガルバリウム、エスジーエル、それぞれの特徴と耐用年数
トタンも、ガルバリウムも、エスジーエル(次世代ガルバリウム)も、さらに挙げればブリキも共通点があります。これらはすべて鋼板、板状に加工された鋼にめっきを施したものです。
めっきをする目的は錆や腐食から鋼板を守るためで、このめっきの成分が次の塗り替えまでの期間と屋根材としての耐用年数を決定していると言っても過言ではありません。
一番耐用年数が長いのはやはり最新のエスジーエルで、次にガルバリウム、トタンと続きます。めっき鋼板における耐用年数は錆にくさと比例しており、やはり防錆性でもエスジーエルがナンバーワンで、次にガルバリウム、トタンと続きます。
金属屋根比較 早見表
最も歴史がある屋根材だが、 現在では使われることは少なくなりました。 国内では1906年に官営八幡製鉄所で作られたのが最初で、それから屋根材として普及しました。
●耐 用 年 数 ・・・・・・ 10~20年超程度 ●屋根塗装の目安 ・・・・・・ 7年 (メーカーの塗膜保証の詳細なし 穴あき保証は10年がほとんど) ●耐用年数までの塗り替え回数 ・ 2回 ●耐用年数まで使用した時のメンテナンスコスト 7年目と14年目に屋根塗装し、20数年間使用 ※遮熱塗料(シリコン)使用 総費用約39万6000円(19万8000円×2回) 1年間当たりのコスト1万9800円 シリコンよりもグレードが低いウレタン塗料を使用しても良いのですが、価格差があまりないのでシリコン塗料がお勧めです。
現在、最も普及している屋根材だが、販売されている製品は徐々にエスジーエル(次世代ガルバリウム)置き換えられつつあります。 1972年にアメリカ合衆国のベスレヘム・スチールが開発しました。
●耐 用 年 数 ・・・・・・20~30年超 ●屋根塗装の目安 ・・・・・・10年 (メーカーの塗膜保証は10年・穴あき保証は20年がほとんど) ●耐用年数までの塗り替え回数 ・ 2回 ●耐用年数まで使用した時のメンテナンスコスト 10年目と20年目に屋根塗装し、30年間使用 ※遮熱塗料(シリコン)使用 総費用約39万6000円(19万8000円×2回) 1年間当たりのコスト1万3266円 ※屋根面積60㎡の場合 エスジーエルやガルバリウムには工場出荷時に遮熱塗料を塗られていることがほとんどです。屋根塗装前の快適生活を失わないためにも遮熱塗料での塗り替えをお勧めします。ガルバリウムの耐用年数ならばシリコン塗料がベストなのではないでしょうか。
これまでのガルバリウムのめっき成分に変更を加えたもの。GLと略されるガルバリウムにの頭にSuperior(上質な)・Special(特別な)・Super(超越した)を意味するSを付けてSGLと呼ばれています。 めっき成分にマグネシウムが加えられていることが最大の特徴。
●耐 用 年 数 ・・・・・・ 30~50年 ●屋根塗装の目安 ・・・・・・ 15年 (メーカーの塗膜保証は15~20年・穴あき保証は25年がほとんど) ●耐用年数までの塗り替え回数 ・ 2~3回 ●耐用年数まで使用した時のメンテナンスコスト 15年目と30年目に屋根塗装し、45年間使用 ※遮熱塗料(フッ素)使用 総費用約49万6000円(24万8000円×2回) 1年間当たりのコスト1万1022円 ※屋根面積60㎡の場合 ガルバリウムの3倍の耐久性を誇ると言われるエスジーエル、長い耐用年数に合わせて屋根塗装の塗料もフッ素を使用するのが最適でしょう
屋根葺き替え、屋根カバー工法、鋼板別の屋根リフォームの価格 エスジーエルとガルバリウム、耐用年数は大きく違っても価格差はほとんどありません
つまり、屋根葺き替えでも、屋根カバー工法でも、価格はエスジーエル≒ガルバリウムなのです!
エスジーエルとガルバリウムの違いはめっき成分のマグネシウムの有無だけです。工程的には両方とも鋼板にめっきをするというものなので、ほぼ変わりません。
アイジー工業 ガルテクトシリーズ
度重なる原材料の高騰、輸送コストの上昇、それらを経営努力によって乗り切ってきたアイジー工業、しかし今回ばかりは社内での吸収が困難となり、2017年6月1日出荷分より商品の値上げがされることになりました。ガルテクト、スーパーガルテクトの旧価格から1割強の値上げ、 一気に上がった感じは否めませんが、価格改定まではには原材料と輸送コストが何度も上昇している ので、これは仕方ないと思います。
板の状態ならトタンもほぼ同じ価格です
現在、トタンは鋼板として流通していますが、スーパーガルテクトや横暖ルーフのように屋根材として加工されたものは製造されていません。
トタンも、ガルバリウムも、ほぼ同じ値段なので、トタン屋根を屋根リフォームする場合、ガルバリウムかエスジーエルを使用するのが現実的な選択となります。
金属屋根材ならエスジーエルを選ぶのが最もお得です
ガルバリウムよりも耐用年数も長く、メーカー保証も長いエスジーエル。金属屋根材で屋根リフォームを考えているのなら、今のところエスジーエルが最もお得と言い切れます。 2017年6月現在、エスジーエルを採用している金属屋根材は3つあります。
アイジー工業のスーパーガルテクトシリーズはガルバリウムだった ガルテクトをエスジーエル(次世代ガルバリウム)にモデルチェンジしたもの です。 ニチハの横暖ルーフシリーズもこれまでガルバリウムだった 横暖ルーフシリーズをエスジーエル(次世代ガルバリウム)にモデルチェンジしたもの です。 両メーカーとも好評だった旧製品をモデルチェンジしたものですから、安心して選ぶことができるのではないでしょうか。
ケイミューは屋根材の最大手メーカーですが、金属屋根材は初の製品となります。 これらエスジーエル(次世代ガルバリウム)の屋根材のうち、 スーパーガルテクトシリーズと横暖ルーフシリーズには断熱材と一体型になっていますが、スマートメタルにはついていません。 価格はスマートメタルが一番安いのですが、場合によっては断熱材の購入も視野に入れる必要が出てきます。
断熱材は遮音の役割も担っており、スーパーガルテクトシリーズと横暖ルーフシリーズでは旧製品から瓦屋根並みの静けさが特徴でした。 「雨が降るとうるさい」ということは全くなかったのです。断熱材と一体でない屋根材でも、その下に断熱機能と遮音性を持った透湿シートなど張り付けて静けさを実現することは可能ですが、 その分の材料費と工事日が上乗せされます。屋根リフォームの際には現在のお住まいの状態を考えて、最適なものを選ぶようにしましょう。
エスジーエルはなぜ強い? その強さの秘密を徹底解剖
屋根材だけじゃなく、 建材の優劣はその耐久性と耐久性を保つためのメンテナンスのしやすさ で決定されます。 また、重量も大きなポイントです。軽量であれば、それを支える躯体なども簡素にできるため、その分、コストを減らせます。 耐久性が高く、軽いエスジーエルの屋根材は最も優秀な建材 と言えるでしょう。
めっき成分が錆を防ぐ仕組みは犠牲防食と不動態皮膜によって成り立っています。 通常、どの屋根材も塗装されていますから、塗膜が剥がれたり、傷つかない限りは錆びる心配はありません。 ただ、屋根の端や棟の部分はどうしても屋根材のサイズにぴったりというわけにはいかないので、切削による加工が必要になります。
めっき部分や鋼板がむき出しとなってしまうのです。もちろん、雨水がかからないように棟板金をつけたり、役物で覆ったりするのですが、空気に触れることは事実です。 また、しっかりと屋根塗装によってメンテナンスしていても、飛来物によって塗膜が傷ついてめっき部分や鋼板がむき出しとなってしまうこともあります。ここで 錆を防ぐのが前述の犠牲防食と不動態皮膜です。
鋼板が錆びるよりも早く、めっき成分(主に亜鉛)が溶け出し、錆びること。 めっき成分の錆びた部分は酸化膜となり、傷ついた部分を覆うので化学的に中和した状態になるので、それ以上の錆の進行を抑える。
非常に安定した酸化膜のこと。酸などに晒されても溶け出すことがなく、その下の金属を腐食から守る作用がある。 強く安定した不動態皮膜を作る金属としてアルミニウムやステンレスの成分であるクロムが知られている。
※犠牲防食と不動態皮膜を分かりやすく表記しています。いずれ場合も実際の犠牲防食と不動態皮膜の形成と多少異なります。
錆を防ぐ強さ比較
いずれもむき出したとなった部分をめっき成分が溶け出し、覆うことは共通ですが、トタンでは亜鉛のシングル被膜、ガルバリウムではアルミニウムと亜鉛のダブル被膜、エスジーエル(次世代ガルバリウム)ではアルミニウムと亜鉛とマグネシウムのトリプル被膜になります。 酸化膜数の多さによってその後の錆にくさも変化するのです。 また、化学的な強固さもその金属によって違いがあります。 アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、3つの金属の中で最も強固な不動態皮膜を形成するのはアルミニウムです。
亜鉛とマグネシウムはそこまで強い被膜は形成できないようです。ただ、この強固さは溶け出すスピードと量に反比例します。ここも問題になるのです。
ガルバリウムとエスジーエル(次世代ガルバリウム)の錆に対する強さの差は めっき成分の溶け出し方の違いにあり
アルミニウムは不動態皮膜として非常に優秀です。ガルバリウムも、エスジーエル(次世代ガルバリウム)も、アルミニウムがむき出し部分を覆ってしまえば、その強さにさほどの違いはありません。それなのに錆に対する強さと耐用年数は大きく違います。
ガルバリウムの屋根材の補償対象となる海岸からの距離はほとんどのメーカーで5000m以上でした。エスジーエル(次世代ガルバリウム)では500m以上にまで短縮されています。 また、塗膜・赤錆保証はガルバリウムの場合、ほとんどのメーカーで10年となっていましたが、 エスジーエル(次世代ガルバリウム)では15年にまで延長されました。 さらに穴あき保証もガルバリウムでは20年だったものが エスジーエル(次世代ガルバリウム)では25年に延長されました。
これら耐用年数と補償内容の違いはずばりタイムラグにあります。 マグネシウムと亜鉛はすぐに溶けだし、鋼板を覆うのですが、アルミはちょっとずつと溶け出します。 すべてのめっき成分が完全な被膜を形成するには約1年かかると言われています。マグネシウムがすぐに溶け出すことによって、錆の進行を最低限にするのです。 また、 マグネシウムは亜鉛の被膜をより緻密にし、安定化させる働きも持っています。 この違いが耐用年数と保証内容の違いに反映されているのです。
めっき成分は万能ではないことを覚えておいてください
犠牲防食はその名の通り、 鋼板が錆びる代わりにめっき成分が犠牲となって溶け出すことによって錆を防ぐ仕組み です。 不動態皮膜もめっき成分が酸化することよって形成されます。鋼板のめっき成分には限りがあります。 犠牲防食も、不動態皮膜も、めっき成分が使われて、尽きてしまえば、あとは一気に錆びるだけなのです。 もちろん、塗装などで補充はできません。
エスジーエル(次世代ガルバリウム)がいかに優れた屋根材であろうと、めっき成分が尽きる日はやってきます。その日をできるだけ遅らせて、 長持ちさせるために行うのが屋根塗装などのメンテナンスなのです。 環境と立地にもよりますが、しっかりとこまめに屋根塗装をしてあげれば、メーカーの想定している耐用年数よりも寿命を延ばすことだって可能なのです。
短期的に見ればトタンの方が錆びにくいという話もあります
トタンとガルバリウムを較べてみた場合、錆の初期段階ではトタンの方が広がりは遅かったという話もあります。これを見て、不思議に思う方もいるでしょう。ガルバリウムは品質にばらつきがあると言っている方もいるようです。実はこれ、 不思議でも品質にばらつきがあるわけでもなく、起こりえる可能性があること なのです。
もう一度、トタンのめっき成分を思い出してみましょう。ほぼ100%が亜鉛です。 一枚の鋼板にめっきできる量は重量ではなく体積で考えるとガルバリウムでもトタンでもほぼ同じです。 では、ここでガルバリウムのめっき成分を思い出してみましょう。アルミニウム (A 55%と亜鉛43.4%と珪素1.6%です。からくりに気付いたでしょうか。 「亜鉛はすぐに溶け出す」、「アルミニウムはちょっとずつ溶け出す」と言いました。再度、表記しますがトタンのめっきはほぼ100%が亜鉛です。ガルバリウムは43.4%です。
トタンの方が溶け出す量が物理的に多いので、錆が出た部分やむき出しになった部分を一気に覆ってしまえます。 単純に比較すると、ガルバリウムの亜鉛の量は半分以下ですから、錆が出た部分やむき出しになった部分も、その量でしか覆えないわけです。よって、 初期段階では錆が広がる前にトタンの方が優秀に見えるということも起こりえる のです。 もちろん、 長期的に見ればガルバリウムの方が優秀で、溶け出しやすいマグネシウムがめっきに含まれているエスジーエル(次世代ガルバリウム)は初期から長期に渡って優秀 ということになります。
軽い金属屋根ならば耐震性もアップしますので、地震の時も安心です 屋根が軽いとお家は地震に強くなる!
建物の屋根が軽い方が地震に強いと言われる理由は複数の物理法則が関係しています。ここではよりシンプルにするため、慣性の法則に限定して説明いたします。 慣性の法則は「静止している物体は力が加わらない限り静止し続ける。 運動している物体は力が加わらない限り運動し続ける。」というものです。
当たり前の話ですが、建物は特別なことが起こらない限り、静止し続けています。 地震が起こった場合も前述の慣性の法則によって静止し続けようとしますが、 地面に固定されている建物の基礎はそうもいかないので、揺れとともに動きます。 地面や基礎から最も遠く、高い位置にある屋根は慣性の法則にしたがってギリギリまで静止し続けますが、やがては揺れ始めます。 ギリギリまで静止し続けるということはそれだけお家も変形している ということです。
また重量がある方が動き出しにくく、変形量もそれだけ多くなります。 一旦、揺れ始め、動き出してしまえば、運動している物体は力が加わらない限り運動し続けますから、地震が治まってもなかなか揺れは収まりません。 重量がある方が揺れ続けるのです。重量物が動き続ければ、それだけお家にダメージが蓄積されていきます。 軽いものの方が動き出しやすく、揺れの収まりも早いのでそれだけダメージも少なくなります。屋根は軽い方が有利なのです。