屋根の防水機能は「ルーフィング」で決まる!?役割や種類とは
更新日 : 2024年04月24日
更新日 : 2024年04月24日
『ルーフィング』は、お家を建築する際に使用する建材ですが、防水と関係しており雨漏りを防ぐためにも非常に重要な役割を担っています。
この記事では、屋根の防水機能の要ともいえる建材の一つ『ルーフィング』についてお話してまいります!
ルーフィングって何?
ルーフィングは建材の一つですが、では、お家のどの部分に使用されている建材なのでしょうか。
ルーフィングとは、屋根に使用される「防水シート」のことです。防水紙ともいいます。
皆様は、屋根がどのように雨水から私達を守ってくれているのか考えたことはありますか?
皆様が「屋根」と聞いて思い浮かべるのは、屋根表面にある化粧スレートや瓦、ガルバリウムなどの「屋根材」を想像するかと思います。
もちろん、屋根材にも防水機能を備えており小雨の際は雨水の浸入を防いでくれますが、台風や大雨の際には屋根材だけで雨水の浸入を防ぐことができません。
そこで、重要になってくるのが、2次防水である『ルーフィング』なのです。
台風等で大雨が降り、屋根材の下に侵入した雨水は、ルーフィングの上を流れて雨樋で排水されます。
このように、屋根は「屋根材」と「ルーフィング」という二重の構造で防水機能が備わっているのです。
また、ルーフィングにもいくつか種類が存在します。
ルーフィングの種類とは一体どんなものがあるのでしょうか?
ルーフィングの種類
アスファルトルーフィングとは、フェルト状のシート紙にアスファルトを染み込ませた防水シートのことを指します。
一般的に使用されることが多いのがこのアスファルトルーフィングです。
耐用年数は約10年と耐久性は低いですが、費用は比較的抑えることが可能です。
改質ゴムアスファルトルーフィングは、改良されたアスファルトルーフィングです。
耐用年数が約20年と、通常のアスファルトルーフィングと比べると長くなっています。
また、自己接着性があり伸びや曲げに強く、木造住宅の防水シートとして使用されることが多いです。
アスファルトルーフィングよりも耐久性が良いため、アスファルトルーフィングと比べると費用は高くなっています。
透湿ルーフィングとは、湿気を通す機能が備わった防水シートのことを指します。
もちろん、防水機能も備えているため、湿気は通しますが水は通しません。
「湿気を通してしまうのは良くないのでは?」と考える方もいらっしゃるかと思いますが、実は湿気を通すことにより屋根の寿命は長くなります。
暖かい空気は上に昇るという性質があり、室内の熱気や冬場の暖房の空気は上にある屋根裏へと昇っていき、湿気として溜まってしまいます。
屋根裏には、「野地板」という屋根の下地材(木材)が存在します。木材は水分を20%以上含むと腐食が進行するため、木材に湿気は大敵です。
ルーフィングは、下地材である野地板の上にあるため、ルーフィングに湿気を通す機能が備わっていれば、野地板にある湿気を外へ逃がすことができるのです。
野地板を乾燥させることができれば、もちろん腐食の進行を妨げることもできるので、屋根の長寿命へと繋がっていくのです。
また、透湿ルーフィング自体の耐用年数も約50年と非常に長くなっています。
透湿ルーフィングは上記の通り高性能な防水シートのため、費用も高くなっており、一般的に使用されることは少なくなっています。
高分子系ルーフィングは、合成ゴムや塩化ビニルなどの高分子材料を主成分とするルーフィングシートです。これらの材料は伸縮性に富み、熱や寒さに強いため、様々な気候条件に適応します。また、高分子系ルーフィングは耐久性が非常に高く、特定の条件下では30年以上の長寿命を持つこともあります。その軽量性から取り扱いや施工が容易であり、環境負荷の低減にも寄与します。しかし、紫外線に弱い点が欠点であり、定期的な点検が必要です。
粘着式ルーフィングは、粘着層が施されているため、ネイルやステープルを使用せずに設置が可能です。これにより、施工時に屋根材を穿孔することなく、高い防水性と密着性を実現します。特に複雑な屋根形状や、風の強い地域において優れた性能を発揮します。粘着式ルーフィングは耐用年数が長く、約30年の寿命を持つものもありますが、価格は他のタイプに比べて高価です。
不織布ルーフィングは、非常に強い耐久性と破れにくさを特徴とするルーフィング材料です。主に合成繊維から作られ、柔軟性がありながらも高い耐候性と防水性を提供します。そのため、不織布ルーフィングは特に激しい気候変動が予想される地域や、耐用年数を重視する場合に適しています。また、その柔軟性から施工が容易であり、様々な屋根形状に適応可能です。ただし、高い品質を反映する形で価格も比較的高めです。
遮熱ルーフィングは、特に熱帯または温暖な気候での使用に最適化されています。このルーフィングは通常、表面に反射性の高い材料を施しており、太陽の熱を反射して建物内部の温度上昇を抑えます。これにより、冷房コストの削減に寄与し、快適な室内環境を維持することができます。遮熱ルーフィングは耐久性も高く、特に太陽光が強い地域での使用において、その価値が認められています。ただし、施工には専門的な技術が必要であり、コストも高めです。
ルーフィングの寿命
屋根に使用されている建材の中でも特に重要な役割を担っているルーフィングですが、そのルーフィングが劣化し穴が開いてしまえばもちろん雨漏りが発生することもあります。
雨漏りが発生している場合には、ルーフィングに異常が発生している可能性が高いです。
ルーフィングの耐用年数は、その材質と環境条件によって大きく左右されます。一般的なアスファルトルーフィングの耐用年数は約10年であり、これは紫外線や温度変動による劣化が原因で短命であることが多いです。改質アスファルトや高分子系、特に粘着層付きや透湿防水ルーフィングなどの高性能素材は、20年から50年という長い耐用年数を誇ります。これらの素材は初期投資は高いものの、長期間にわたってその性能を維持し、頻繁な修理や交換の必要が少なく経済的です。
耐用年数が長いルーフィング材料の採用は、長期的に見て建物の保護に優れ、メンテナンスコストの削減に寄与します。一方で、耐用年数が短い材料を選択した場合、定期的な交換が必要となり、それに伴う追加費用や手間がかかります。したがって、建物の用途、屋根の形状、気候条件を考慮して、最適なルーフィング材料を選択することが賢明です。
総じて、ルーフィングの選定は単に価格だけでなく、耐用年数とメンテナンスの容易さを考慮に入れた総合的な判断が求められます。建物の寿命を延ばし、長期的なコスト効率を最大化するためには、高品質なルーフィングの選択が不可欠です。
ルーフィングにも寿命があり、短いもので約10年、長いもので約50年と種類により異なりますが、寿命を迎えれば劣化は確実に進行しますし、深刻化していきます。
しかしルーフィングは屋根材とは異なり、建築時や屋根の工事時でしか確認が難しい状況です。
ご自宅に使用されているルーフィングはどの種類で、耐用年数はどれくらいになるのか予め理解しておくと交換時期の目安がつきやすくなるかもしれません。
ルーフィング選びのチェックポイント
ルーフィング選びは、屋根の耐久性とメンテナンスの頻度を左右する重要な決断です。選定の際にはいくつかの要素を考慮に入れる必要があります。
ルーフィングの種類によって耐用年数が異なります。アスファルトルーフィングは価格が手頃ですが、耐用年数は比較的短く、気候の変動に弱い点を考慮する必要があります。一方で改質アスファルトルーフィングや高分子系ルーフィングは、より耐久性が高く、長期間の使用に適しています。
コストは大きな決定要因の一つです。安価なルーフィングは当初の出費は少ないものの、頻繁に交換が必要となる可能性があるため、長期的な維持費用が高くつくこともあります。耐用年数が長い材料は初期コストは高いものの、長期的にはコスト効率が良い場合が多いです。
地域による気候の違いはルーフィングの選択に大きく影響します。たとえば、積雪が多い地域や猛暑が厳しい地域では、それぞれの気候条件に最適化されたルーフィングを選ぶことが重要です。
ルーフィングは屋根材と密接に関連して機能します。選択するルーフィングは屋根材との互換性を持つ必要があり、特に屋根材よりも寿命が長いものを選ぶことが望ましいです。ルーフィングが屋根材より先に劣化すると、屋根全体の交換が必要になるためです。
ルーフィングはどうやって交換するの?
上記でもお話しした通り、屋根工事時にしかルーフィングの確認をすることができません。また、ルーフィングの交換には屋根材の撤去が必要となります。ルーフィングの交換をするときに必要な工事をご紹介いたします。
現在の屋根材を撤去し、新しい屋根材に交換する工事です。屋根材を撤去するので、ルーフィングやその下の野地板、垂木の状態の確認や交換を行うことができます。屋根葺き替え工事は、屋根全体のメンテナンスができるので屋根カバー工事よりも耐久性が高くなりますが、大規模な工事のため工期が長い、費用がかかるといったデメリットもあります。屋根葺き替え工事では、屋根材よりも耐用年数の長いルーフィングを選ぶと安心です。
瓦屋根に行われる工事で、ルーフィングや野地板など下地のメンテナンスを行います。瓦を全て撤去し、ルーフィングや野地板、垂木の補修、交換を行います。その後、撤去した瓦を再び並べるという手順です。瓦を再利用するので、見た目を変えることなくルーフィングのメンテナンスができます。瓦屋根では、瓦よりも先にルーフィングの寿命がきてしまいますので、放置せずにメンテナンスすることが大切です。
ルーフィングの施工方法
ルーフィングは屋根の下側(軒先)から上に向かって敷いていきます。こうすることで、雨水がルーフィングの下に入り込むのを防ぎます。ちなみにスレートや金属の屋根材なども下から上に向かって設置して雨漏りを防いでいます。ルーフィングシートの重なる部分(重ね代)を10cm以上とって貼ります。また、谷部分や複雑な形の場所にはルーフィングシートを重ねて貼り雨漏りを防止します。
ルーフィングを固定する方法は2つあります。一つはタッカーで留める方法で、一般的な方法です。ホッチキスのようなタッカーで、ルーフィングの下の野地板に固定をします。野地板に対して直角に固定されていないと、固定部分に隙間ができ雨水が侵入してしまいますので、職人さんの腕の見せ所です。
もう一つの固定方法は、粘着層留めです。ルーフィングに粘着層が付いているもので、タッカーを使用せずシールのように貼っていく方法です。上記でご紹介した「改質ゴムアスファルルーフィング」に粘着層が付いています。タッカーを使用しないので、穴が開かず、防水性や耐久性が高いというメリットがあります。
防水紙のメンテナンスを含んだ屋根葺き直し工事の施工事例
袖ケ浦市にお住いのY様
Y様より、数年前から雨漏りが続いていて、最近では雨のたびに雨漏りが必ず起こるようになってしまったとのお問合せを頂いたのが今回の工事のきっかけでした。Y様、この度は工事のご依頼をいただき、誠にありがとうございました!
屋根の様子
点検に伺うと、天井に大きな雨染みの跡がいくつも見られました。つい最近漆喰の詰め直し工事を行ったとのことですが、それでも雨漏りが止まらずご相談いただいたそうです。
続いて屋根に上がり、屋根の上の状態などを見ていきます。
屋根に上がり瓦を持ち上げて下地の様子を見てみると、防水紙が破れてしまっていました。瓦の下は新築時から40年、お手入れをしていないとのことで、雨漏りの原因はこの防水紙の劣化にあるとわかりました。防水紙がこの様子では雨水の浸入を止めることはできません。
今回は、瓦全てを取り外して新しい防水紙を敷き、その上から再度瓦を葺き直す「屋根葺き直し工事」を行うこととなりました!
施工中の様子
既存の瓦、古い桟木や防水紙を全て撤去し清掃します。
瓦は葺き直しの際に再利用しますので、傷つかないようによけておきます。今回使用する防水紙は日新工業「カッパ2号改質アスファルトルーフィング」です!清掃を終えたら敷設していきます。
防水紙敷設後、新しい桟木を設置して瓦を葺き直していきます。瓦は再利用しておりますので、外見はそんなに変化はありませんが、防水紙を新しくしたことによって防水性が大幅に良くなりました。これで長期間雨漏りすることもないでしょう!
屋根葺き直し工事が完工!
無事に屋根葺き直し工事が完工いたしました!防水紙や桟木が強いものに変わりましたので、屋根からの雨漏りの不安などを解消することができました。
屋根は建物を一番守ってくれている部分ですが、見えない・見えづらいといったことからメンテナンスを後回しされてしまいがちです。屋根のメンテナンスをしっかりと行っていないと、後々お住いの色々な部分に影響が出てきてしまいます!
街の屋根やさんでは、点検・お見積りの作成は無料で承っておりますので、是非ご活用ください!
まとめ
ルーフィングとは、屋根に使用されている建材で、防水機能を備えているため非常に重要な役割を担っています。
ルーフィングの種類によって耐用年数や性能も異なります。使用するルーフィングの種類により屋根の寿命が決まるといっても過言ではありません。
屋根と聞くと屋根材に注目しがちですが、防水シートであるルーフィングの特徴も知識として身につけておくと良いかもしれません。
また、屋根材と同様、ルーフィングも寿命を迎えた場合には補修が必要になります。
雨漏りが発生している場合には、ルーフィングが劣化している可能性が高いです。
私達、街の屋根やさんでは、無料で点検も行っておりますので、屋根のことでお困りの際は何でもご相談ください。
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