屋根工事における野地板の木材別メリット・デメリット
更新日 : 2024年04月30日
更新日 : 2024年04月30日
屋根工事に限らずお住まいに使われる木材は様々です。このページでは屋根の野地板で多く使われているバラ板、構造用合板、耐火性野地板のメリットデメリットから工事方法についてご紹介いたします。
※このページは約5分程度で読了できます。
野地板とはなんだろう
屋根リフォームをする上で、屋根材を交換する屋根葺き替え工事や屋根カバー工法をする場合、殆どの場合「野地板」というワードが出てくると思います。
屋根には部分ごとに名称がありますが、野地板は屋根材の下のルーフィング(防水紙)のさらに下に設置されている下地材です。通常時、外観からはまったく見えないので、屋根工事をする機会や、台風などで大きな破損があった場合などにあらわになったりします。野地板の「野」は目に見えない場所を指す言葉で、そこから野地板という名前の由来になっています。
野地板の役割は屋根材を設置するための下地で、支えに使う材の総称をいいます。野地板に使われる材には数種類があります。
野地板に使われる木材の種類とメリット・デメリット
日本では40年以上前の住宅で多く用いられていたのは杉の野地板で、一般的にはバラ板と言われています。幅が90mm~120mmで杉を板状に加工したものですが、サイズがバラバラであることからバラ板の名前の由来になったようです。
・メリット
このバラ板は全面に隙間なく設置するのではなく隙間を設けて設置するので、小屋裏に湿気が溜まりにくく乾燥しやすいのがメリットです。そのため材自体も最近主流の構造用合板よりも長持ちします。
・デメリット
野地板に隙間があるので、ルーフィングに傷みが出た場合にすぐに屋内まで雨漏りします。また、耐久性が低いため屋根の重量が増す屋根カバー工法が困難であったり、太陽光パネルを設置するための強度がないため野地板を交換する必要がでることがあります。
合板ですので複数の木板を張り合わせて一枚の板にしているもので、野地合板とも呼ばれます。合板で見た目的にコンパネというコンクリートの基礎(型枠)に使われる合板がありますが、構造用合板とは材や強度に違いがあるので野地板には構造用合板が使われます。
・メリット
サイズは様々ですが、基準となるサイズは910mm x 1280mmで厚みは12mm、バラ板と違いサイズが決まっているので施工がしやすく強度も高いです。また、雨漏りも起こしにくいです。
・デメリット
バラ板よりも通気性が悪いことや、材自体の耐用年数がやや短い傾向にあります。しかし、最近は透湿性の高いルーフィング(防水紙)が使われていることや、小屋裏換気も十分考慮されているため通気性が悪くカビや匂いが気になることはほぼありません。
建築基準法で準防火地域や防火地域、屋根不燃区域の建物ではこの耐火野地合板を使うことが義務付けられています。名前の通り耐火性が高く、火災時に30分以上耐えられる「屋根耐火30分」の耐火性能を有しており、ニチハのセンチュリー耐火野地板については発売から40年以上の歴史があり多く使われています。
耐火野地板は大きく2種類あり、木毛セメント板と、木片セメント板があります。
・メリット
耐火性能が高いことだけでなく、軽量で断熱性、遮音性に優れています。構造用合板同様に一枚の板が広いため施工しやすく雨漏りの危険も少ないです。
・デメリット
これまで紹介した野地板の中で一番性能が良い材ですが、唯一のデメリットは価格が高いことです。構造用野地板と比較して倍以上のコストがかかるため、建築基準法での必要性がない場合は構造用野地板で十分でしょう。
構造用野地板を設置している様子
※画像はニチハ株式会社の耐火野地板まげのじくん(国土交通大臣認定30分耐火構造)
野地板の交換時期は大体30年ほど
野地板は通常雨水に晒されることがないですが、それでも大体30年以上経ってくると傷みが出始めるため専門業者に点検を依頼することをお勧めします。
また、過去に雨漏りをしていた経緯がある場合は、それよりも短い期間で傷みが進行する可能性もあります。街の屋根やさんでは屋根に実際に上って状態を確認しますが、屋根の上に乗って沈み込む場合は野地板が傷んでいる証拠です。
雨漏りと野地板の関連性
野地板と雨漏りの間には密接な関連があります。野地板が適切に機能していない場合、屋根材の下への水の侵入を防ぐことができず、結果として内部への雨水漏れを引き起こす可能性があります。雨漏りの一般的な兆候には、屋内の天井や壁の水染み、カビの発生、異常な湿度の上昇が含まれます。
雨漏り対策としては、まず野地板と屋根材の接続部分の検査から始めるべきです。これには、野地板の全体的な検査に加えて、屋根材の状態、防水シートの完整性も評価する必要があります。問題が発見された場合、速やかに修理または交換を行うことが最善です。
野地板の材や状態によって屋根カバー工法ができないケースもあります
屋根カバー工法は既存の屋根の上に新しい屋根を作る工法です。屋根材の撤去が不要であることや廃材が少ないので工期の短縮や工事費用を削減できます。とてもメリットの多い工法ですが屋根が二重になるので重量が以前より増えることがデメリットで、その重さに耐えられない杉(バラ板)の野地板の場合は工事ができません。また、野地板が経年劣化している場合などは交換が必要なので、屋根カバー工事ではなく野地板から屋根を作り直す屋根葺き替え工事が必要です。
野地板交換とセットで必要な屋根葺き替え工事・屋根葺き直し工事
普段は屋根材、さらにはルーフィングの下に設置されていることから、容易に野地板だけの工事はできません。野地板を交換するには一旦屋根材を撤去しなければならないため、それに伴う屋根葺き替え工事が必要です。
屋根葺き替え工事は屋根材を新しいものに交換するのですが、陶器瓦で割れや欠けなどの無い場合は一旦屋根材を外してから再度同じ瓦を使って葺く屋根葺き直し工事も可能です。
屋根カバー工法で既存の屋根の上から 屋根葺き替え工事で屋根材を設置している様子
ルーフィングを設置している様子
屋根葺き替え工事で野地板の増し張りを行った施工事例
屋根葺き替え工事をご依頼いただいた舞浜市のM様
屋根葺き替え工事Before/After





屋根葺き替え工事は、普段お手入れが難しい既存の野地板・防水紙のメンテナンスを行うことが可能な工法です。大規模な工事になる分、カバー工事と比べても工期は長く、費用も高くなってしまいますが、長期に渡り雨漏りの不安が無くなります!
屋根からの雨漏りの多くは野地板や防水紙の劣化、不具合が原因から起こることが多いです。雨漏りでお困りの方や、築年数がある程度経過しており野地板や屋根材が寿命を迎えている状態のお住まいにおススメです。
野地板と太陽光パネルの関係
近年、お家の屋根に太陽光パネルを設置しているお住まいをよく見かけるようになりました。エコであることから太陽光パネルの設置を検討されている方も多いのではないでしょうか。そこで、太陽光パネルの設置と野地板の関係についてお話します。
まず「野地板の厚み」です。野地板の厚みが12mmない場合は、強度の面から野地板を新しく交換した上で、太陽光パネルを設置することをおすすめします。上記でお話したように、築40年を超えるお家は杉を使った野地板が多く使用されていたので、チェックする必要があります。また、「垂木の位置」も太陽光パネルの設置に関係します。垂木とは、野地板の下にある屋根を支える骨組みのようなものです。屋根全体を支えるので、とても丈夫です。
太陽光パネルを取り扱っているメーカーには設置基準があり、パネルを「野地板」に固定するか「垂木」に固定するかに分けられます。垂木は屋根全体を支えるため、頑丈に作られているため、垂木に固定する方が、丈夫かと考えられますが、お住まいの垂木の感覚と太陽光パネルの幅が合わない場合は、野地板への固定を設置基準にしているメーカーを選ぶのが良いと思います。
まとめ
野地板と一言でいっても様々な材があり、用途や法令によって選ぶ必要がありますが殆どの場合は構造用野地板で問題ありません。注意が必要なのはやはり築年数が40年以上経っており、バラ板の野地板が使われているお住まいです。経年劣化ももちろんですが、屋根の耐久性も高くありませんので急な台風や地震の揺れによって被害を受けないように早めに点検と必要な工事を行うようにしましょう。実際にそれくらいの年数が経っているお住まいの場合は野地板だけでなく、屋根材や役物、外壁などにも異常が出ている可能性も大きいので、お気軽に街の屋根やさんの無料点検をご利用ください。
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