日本瓦のサイズや大きさはJISで規定されているから流用が可能です
更新日 : 2023年11月12日
更新日 : 2023年11月12日
未だに令和元年房総半島台風と令和元年東日本台風の影響は色濃く残っており、瓦屋根を補修しようにも肝心の材料、瓦そのものが手に入らない状態が続いております。
困ったものです(-_-;)
激甚な2つの台風が過ぎ去った昨年の秋、屋根材をはじめとしたあらゆる建材が不足することは目に見えていました。
「このままブルーシートで養生したまま、何カ月も過ごさなくてはならない家も多いのか。さぞかしお客様は不安だろう」と思っていたら、意外なことから問題は解決しました。日本瓦のサイズはJIS規格で明確に決まっていたので流用することが可能だったのです。
※この記事は5分程度で読了できます(^^)v
日本瓦の標準的な大きさは約30㎝×30㎝!
専門職でもない限り、あまりまじまじと屋根を見つめることはないと思います。
それでも、和瓦(J形瓦)の家に住んでいるという方ならば、ちょっと他の家の瓦屋根が気になるのではないでしょうか(^▽^)/
「あそこの家は青緑瓦で外壁と色合いがマッチしていていい感じ」とか「同じ日本瓦でも色が明るいブラウンだと洋風の家にもマッチするのね」とかいろいろと近所のお家をウォッチしたことがある方は多いはずです。
ところで、その時に疑問に思わなかったことを疑問に感じたことはありませんか。
色が違っても、同じでも、自分の家と同じ形状の瓦なら、何となくその大きさの違いに気づくのではないでしょうか。自分の家と近所の家の瓦を見較べて、「大きさが違うなあ」と思ったことがある方は少ないはずです。
それもそのはず、粘土瓦の日本瓦(J形瓦)は大きさがJIS規格で明確に定められているからです。一般的な戸建ての場合、縦30.5㎝、横30.5㎝のJ形瓦がに使われています。
J形瓦の大きさはこれだけではなく、さまざまなものがあり、1坪(3.3㎡)に使われる枚数によって呼ばれ方が変わります。縦30.5㎝、横30.5㎝の標準的な和瓦の場合、1坪(3.3㎡)に53枚使われますので、「53枚版」と呼ばれます。
形状が一緒なら、サイズも一緒なのでこれまで他の家の屋根で使われていたという瓦を他の家に持っていって流用することも可能なのです\(^_^)/
これは本当に令和元年房総半島台風と令和元年東日本台風の時に助かりました。瓦屋根から金属屋根などに葺き替えてしまった方の瓦は不要となります。
そういった瓦をお客様の許可をいただいて再利用させていただいたこともありました(>_<)
J形瓦なら釉薬瓦もいぶし瓦も大きさは共通
同じJ形瓦であっても、日本瓦は製法によって二分されます。
陶器とほぼ同じ製法で作られた釉薬瓦と耐候性を上げるために燻されたいぶし瓦です。
どちらも同じ粘土瓦とだけあって、大きさは共通です。一般的な大きさのものは縦30.5㎝、横30.5㎝の53枚版となります。よって、釉薬瓦の屋根、いぶし瓦の屋根、どちらにも融通することができるわけですが、あまりお勧めはできません。
というのも、同じ粘土から造られている瓦と言えど、工法が違う場合、固さなども違うことが考えられるので、差し替えた部分の瓦が割れてしまう、その周辺の瓦が割れてしまうということも考えられるからです。
S形瓦やF形瓦も大きさはほぼ共通しているが流用は難しい
同じ粘土瓦でも洋瓦であるとS形瓦やF形瓦はどうなのでしょうか。
S形瓦はそもそも流通量が少ない上に各社で形状が違うことも多いので向いているとは言えないでしょう。
F形瓦で現在、流通しているものは防災瓦としての機能を備えているものも多く、側面の雨仕舞などに各社の工夫が見られます。
防災瓦としてのロック機能は各社で違いがありますから、そもそも噛み合わせることができません。流用して差し替えるのは難しいと言わざる得ないでしょう。
J形瓦・S形瓦・F形瓦のサイズ
日本瓦は1坪に53枚使用されるので53枚版と呼ばれるとお話しましたが、53枚版はさらに「53A」と「53B」に分けられます。
AとBの違いは、Bのほうが横長であることです。
日本で一番使用されている日本瓦である三州瓦は53A形、三州瓦の次に販売数の多い石州瓦は横長の53B形です(^▽^)/
・縦、横の長さ
53A : 縦横ともに30.5㎝
53B : 縦29.5㎝ 横31.5㎝
・働き長さ、働き幅
働き長さ、働き幅とは、瓦が屋根に葺かれている状態で瓦同士が重なり合っていない、露出している部分の瓦の長さ、幅を指します。
53A : 働き長さ23.5㎝ 働き幅26.5㎝
53B : 働き長さ22.5㎝ 働き幅27.5㎝
・谷の深さ(山の高さ)
53A、53Bともに3.5㎝以上
洋瓦のS形瓦やF形瓦のサイズも比較してみましょう。
ちなみにS形瓦は、瓦の形がS字、スパニッシュ瓦のSをとってS形瓦と呼ばれます。
S形瓦は1坪あたり49枚使用され、49Aと49Bに分けられます。
F形瓦は、フラットのFから名付けられており、1坪に40枚使用されます。
・縦、横の長さ
49A : 縦横ともに31㎝
49B : 縦33.5㎝ 横29㎝
40(F形瓦) : 縦35㎝ 横34.5㎝
・働き長さ、働き幅
49A : 縦横ともに26㎝
49B : 働き長さ27㎝ 働き幅25㎝
40(F形瓦) : 働き長さ28㎝ 働き幅30.5㎝
・谷の深さ(山の高さ)
49A : 5㎝以上
49B : 4㎝以上
40(F形瓦) : 3.5㎝以上
大きな屋根には大きな瓦、小さな屋根には小さな瓦が使われる
塀の笠木に瓦が使われているお家、たまに見かけますよね。
また、お家の門の屋根があり、そこに瓦が葺かれているものもあります。これらを観察してみると、かなり小さな瓦が使われていることが分かります。
また、凄く大きな建物になると形状は同じでも大きな瓦が使われていることもあります。
これは雨仕舞と関係があり、大きな屋根の場合、大きな瓦で葺いた方が瓦が少なく、繋ぎ目も少なくなるため、雨漏りしにくくなるからです。
塀の笠木やお家の門の屋根に小さな瓦を使うのはデザイン的にそちらの方がマッチするからで、大きな建物にはやはり大きな瓦が似合うそうです。さすがに歴史があるだけに深い屋根材ですね(^_-)-☆
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