屋根にトラブルが発生した時、「自分で直せたら…」、「DIYで何とかできたら…」と思うことは誰にでもあるのではないでしょうか。実際に修理出来たら、単純にカッコイイですよね。ご家族には「頼りになるお父さん」や「頼りになるお母さん」と映りますし、お子さんなどからの評価が上がることは間違いありません。しかし、屋根をDIYすることは絶対にヤメてください。言うまでもないことですが、実際に屋根の上にのぼり、転落して怪我をしたり、亡くなったりしている方はこれまでに多数いるのです。
DIYで屋根工事を行わない方がいい理由
高所なので単純に危険

落下防止の柵もない高所で作業するのは「とても危険」ということは誰でも知っていますが、本当にそのことを理解している方は少ないのではないでしょうか。それはほとんどの方が高所で作業したことがないからです。
2019年9月、千葉に上陸した台風15号(令和元年房総半島台風)では高所や梯子にのぼって作業した方が少なくとも3人が死亡、101人が重軽傷を負ったことがこれまでに分かっています。台風の影響で混み合っている業者、いつ降るか分からない雨、已むに已まれず、ご自分やご近所の方々と力を合わせてブルーシートをかけるなどの養生をしたのでしょうが、結果的にこれだけの死傷者が出てしまったのです。この後にやってきた台風19号と合わせれば、この数字が増えていてもおかしくありません。
厚生労働省調べでは平成26~30年は680人が墜落・転落で死亡

その道のプロであり、高所での安全に対する教育もしっかりと受けている建設業に従事する方でも高所からの墜落・転落といった事故が起こっています。厚生労働省の調べでは平成26~30年の5年間に680人の方が墜落・転落で死亡でなくなっているのです。1週間で数人の方が無くなっているのです。また、この5年間では26,819人が墜落・転落の死傷災害に遭遇しているのです。
専門家の方ですら死傷といった危険と隣り合わせなのですから、慣れてない方が屋根の上にのぼった結果、どのような結果になるかは火を見るより明らかです。死亡しなくても痛い目に遭いますし、後遺症が残ることも考えられます。平地で転んでも痛いし、怪我をする可能性があります。屋根の上で転べば墜落・転落する可能性が飛躍的に高まります。
1階の屋根でも死亡事故は発生する

屋根の上での作業としては屋根工事以外に雪国ではお馴染みの雪下ろしがあります。こちらも毎年のように死亡事故が発生していることからも分かるように大変、危険な作業です。雪下ろし中に転落して死亡した方の6割は1階の屋根での作業中だったというデータもあります。1階の屋根は3m程度の高さですが、落下すれば死亡に繋がることもあるのです。
雪下ろしを行っている方は毎年、それを繰り返してきた慣れている方です。滑りやすいことは分かっているし、充分に注意しているでしょう。また、地域の行政も雪下ろし中の事故を防止するため、シーズン直前には危険性を必ずアナウンスしているはずです。それでも事故は毎年、必ずといっていいほど発生するのです。
DIYは足場無しがほとんどだから危険だし、足場での作業は慣れが必要
DIYというと本格的な工具を備えている人もいると思いますが、高所を作業するための足場をお持ちの方はかなり少ないのではないでしょうか。足場を設置して作業するというのはもはやDIYの域を超えています。したがって、ちょっと高所なら踏み台や脚立で作業することになると思うのですが、かなり危険な行為です。上ばかりを見ていれば、踏み台や脚立から足を踏みはずしかねません。「足場代は高いからちょっと自分でのぼって修理しよう」という方は絶対にやめておいてください。まず、高所では自分が思ったように動けません。足場があったとしても、慣れないうちは恐怖心を伴いますし、かなり危険です。さすがに何十メートルもある高所にいきなりのぼって作業するとはないでしょうが、考えてもみてください。足場の幅はせいぜい40cm程度です。慣れて身体感覚が伴わない限り、踏み外す可能性もあります。足場があっても危険なのに、無しで作業するとしたら… 命に係わる事故が起こりかねないのは誰でも理解できると思います。
間違った施工をしてしまうこともある

一般的な屋根業者の常識として「屋根には適切な隙間がないと屋根材の下に入り込んだ雨水が排出できないので雨漏りに繋がる」というものがあります。一般的な考え方として「屋根に隙間があるから雨水が入ってきて雨漏りする、だからその部分を防ぐ」というものがあります。屋根の知識がない方が雨漏りを止めようとして、屋根のあらゆる隙間を埋めてしまい、余計に悪化させてしまうということがよくあります。街の屋根やさんでもそのようなケースをさんざん見てきました。
瓦の全周囲をコーキングで覆ってしまうラバーロック、スレート屋根塗装時に各屋根材の下端部分にタスペーサーなどで縁切りせずに塗料で埋められてしまうなどがその典型例です。
意外と難しい材料選び

アスファルトシングルという屋根材があります。こちらに塗装する場合、どのような塗料を選ぶべきでしょうか?
正解は水性の塗料です。アスファルトシングルは油性の接着剤などが使われているため、油性(溶剤系)の塗料を使用するとその成分が溶け出してしまい、不具合を起こします。したがって、画像のファインパーフェクトベストなどは使えません。
このように一般の方々が知ることのない業界の常識や屋根工事の知識にはさまざまなものがあり、全てを把握するのはかなり難しいでしょう。知らずにDIYしていたら、間違った施工になることは確実です。
餅は餅屋、屋根工事はは屋根専門店に頼むべき
椅子やテーブルなど、ちょっとした家具の塗り替えなどのDIYは大いにやってほしいと思います。下地調整や塗料などの知識も身に付きますし、お家をリフォームするのにもいろいろと役に立つでしょう。しかし、屋根のDIYは絶対にヤメてください。危険な上に失敗した場合のダメージが家具の塗り替えの失敗程度じゃ済まない可能性が高いからです。屋根のことはやはり屋根工事の専門店に頼むのが何かと間違いはありません。
屋根専門業者を選ぶポイント
屋根修理の費用は安いものではありません。そこで失敗しないために、専門業者選びが重要となります。業者選びで気を付けるポイントをご紹介します。
・地元密着で長く営業している会社か
地元であれば、何かあった際にすぐ駆けつけてくれます。また、中間マージンもかからないため、費用も安くなる可能性があります。
・お客様の声や施工事例が見える会社か
実際に工事を行ったお客様の声が見られると安心できると思います。また、施工事例も見られれば、実際にどのような手順で工事を行うのかイメージできます。
・屋根リフォームの専門会社か
お家を建ててくれた会社に修理をお願いすることは可能ですが、屋根専門ではない可能性があるため、屋根を専門にしている会社を選びましょう。
・保証はしっかりしているか
これは、言うまでもなく重要ですよね。万が一に備えて、保証がついている会社を選びましょう。
・徹底的に現地調査を行ってくれる会社か
どのような調査を行ってくれるのかも重要です。しっかり時間をかけて隅々まで見てくれる会社かどうか見極めることがポイントです。
このようなポイントを押さえて、後悔しないよう自分に合った業者を選びましょう。
自然災害は火災保険で直せるのだから、危険を犯すべきではない
ご自宅をご所有している方は火災保険のほか、共済などにご加入していると思います。火災保険と共済では保証に差がありますが、金額が降りることは事実です。したがって、わさわざ危険な思いをして自分で直さずに、そのお金でプロにしっかりとした工事をしてもらった方がいいに決まっています。お家のことが心配なのは分かりますがそういう時こそ、まずは自分の安全のことを考えるようにしてください。怪我をして痛い思いと後悔をするのは自分とそのご家族なのです。