瓦屋根が地震に弱いとされる理由
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熊本・大分での震災の被害に遭われた方へ心よりお見舞いを申し上げます。また被災地の1日も早い復旧・復興をお祈り致します。
今回の震災では多くの方が熊本城の瓦が落下し、石垣が崩れていくようすを映像で見たのではないでしょうか。大変、痛ましい映像であるとともに「やはり
瓦って地震に弱いんだな」と思った方も多いでしょう。では、瓦屋根って地震に弱いのでしょうか。屋根屋としての立場から言わせてもらえば「弱くはないが不利な面も多い」というのが本当のところです。
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この世にある物体は全て慣性の力がはたらきます。停止している物体は外部の力が加わらなければ、そのまま停止しつづけますし、動いている物体に力が加わらなければそのまま動き続けます。地震などの揺れや強風などの力が加わらない限り、屋根の瓦はそのままそこに留まり続けます。地震などの揺れが加わっても、慣性の力で瓦はそこに留まり続けようとします。一般的に慣性の力は重ければ重いほど強くはたらきます。これが瓦が地震に不利な点です。
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地震の時は瓦屋根など落下の危険性のある場所には近づかないこと
避難する際はブレーカーを落とすこと
停電から復旧した際に通電して火事を招くことがある
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重いから慣性の力が強く、地震の揺れに追従しにくいのです。地震の揺れに追従して動き始めたと思ったら、今度は揺れが逆方向に動きますからまた追従できないことになります。しかも停止時に較べ、動いている時の方が慣性の力は強くはたらきますから、棟がその力に耐え切れず、崩れたり、瓦が外れたり、最悪の場合、落下してしまうわけです。前述のようなことが起こるのであれば、瓦を屋根に釘などで固定してしまえば良いのでないかという話になりますが、そのような仕組みを持った防災瓦というものがあります。瓦にフックがついており、瓦と瓦が噛み合うようにして設置できるだけでなく、釘で留めるのでかなり強い地震でもずれることはありません。ただし、今度は瓦の重みによる慣性の力を屋根が受け止めることになるため、それに耐えられる躯体が必要になります。軽い金属屋根などは慣性の力も少ないので、躯体の強度も瓦ほどは要求されません。瓦の重さを受け止められる強い躯体に軽い金属屋根を組み合わせれば、それだけ耐震強度も上がることになります。地震に強い瓦屋根の建物を作ることは不可能ではありませんが、同じ躯体なら金属屋根の方が有利なのです。
上記でも少しご紹介いたしました防災瓦についてご紹介していきたいと思います。
地震などの災害に強い防災瓦について
屋根の重量が嵩んでしまう瓦屋根は地震に弱いというイメージが多いかと思います。実際に震災以降瓦が落下し倒壊した家屋の映像なども見られた方が多いのではないでしょうか。そのため重量のある瓦屋根=地震に弱いというイメージを持っている方は多いです。確かに屋根の重量が嵩む瓦屋根は地震に対して不利ではありますが、現在ではそれを克服した防災瓦と言うものがあります。
互屋根は何枚もの瓦が並べられて屋根を構成しています。これらの瓦は棟などの特定の部位以外瓦桟という木に引っ掛けているだけであり瓦自体が固定されているという事はありません。しかし防災瓦は瓦同士を噛み合わせるようなロック構造になっており、瓦がずれたり外れたりしにくくなっているのです。また瓦1枚1枚を釘やビスで固定しているため台風時などの強風で飛散してしまったり落下してしまったりすることを防いでくれます。
防災瓦のポイント
①風速46mに耐えられる耐風性能
防災瓦は従来の物とは異なり瓦1枚1枚に釘やビスで固定しております。瓦同士で噛み合わせてロックしていることもあり非常に強固に瓦が固定されているのです。
防災瓦は基準風速に耐えるだけでなく、最大瞬間風速であればその1.5~1.8倍程度まで耐えることができるといわれています。
②大きな地震でも破損・脱落しない耐震性能
地震の縦揺れや横揺れを再現する三次元振動台にて耐震性能試験を実施した結果、震度7クラスの地震でも脱落や破損等はみられなかったそうです。これまで日本が経験した震度にも耐えられるという事になります。
瓦同士が噛み合うロック構造と瓦1枚1枚を釘やビスで固定する防災瓦は大震災にも強く、最近頻繁に地震が見られる日本でも安心することができます。
③瓦の軽さにも拘っている防災瓦
防災瓦はさまざまなメーカーから発売されており軽さに拘っている製品も数多く存在します。建物の造りが同じならやはり軽い屋根が地震時には揺れにくいためです。
一般的な瓦の重さは瓦のみで1㎡あたり約43kgですがそれに対し防災瓦は1割程度軽くなっており、約39kg程度となっています。(※製品によって差はあります)瓦1枚の重さを比較するとさほど軽くなっていないようにも感じるかもしれませんが、お家1軒分、40坪の屋根では軽自動車1台弱程度、約600kg程度の軽量化が可能なのです。そう考えると防災瓦は軽さも耐震性能に貢献しているのではないでしょうか。
防災瓦と一般的な瓦の価格差について
防災瓦と一般的な瓦はどの程度の価格差があるのかと疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。瓦単体の材料費で見て見るとほとんど差がないのが実情です。一般的な瓦も防災瓦も基本的には原料が同じですのでほぼコストは同じなのです。
実際に施工する場合、一般的な瓦の場合は釘やビスで固定する必要がありませんが、防災瓦はそれが必要となります。そのためそれだけ手間が増えてしまうため工事費は一般的な瓦よりも少し高くなってしまいます。安全安心を考えれば安いものかと思います。瓦による屋根葺き替え工事をご検討の方はぜひ防災瓦も検討してみてはいかがでしょうか。
防災瓦の弱点
一般的な瓦の場合、飛来物で瓦が割れてしまったりかけてしまった場合すぐに部分交換することが出来ます。またその下の防水紙なども瓦を外すことで容易に点検などをおこなえました。しかし、防災瓦は瓦1枚1枚をビスや釘で固定しされている他瓦同士を噛み合わせており固定しているため一般的な瓦のようにすぐに交換したりすることが難しいのです。
しかし、一般的な瓦のようにずれることがほぼないため落下したり脱落することのない防災瓦はメンテナンスの手間が極めて少ない屋根材ということでもあります。
お住まいの柱や耐力壁などの構造も耐震性に大きく関係します
瓦屋根に可否らず重量が嵩む屋根は地震に弱いです。しかし地震時の揺れや耐震性は屋根の重さだけでは決まらずお住まいの構造や地盤の強固さといった他の部分も大きいのです。
建物の屋根が重い場合、それを支える柱や耐力壁も強固なものが求められます。または支える為に柱や耐力壁を増やさなくてはいけません。同じ造りでも屋根が軽ければ地震時の揺れに耐える構造として使える部分が多くなりますが逆に同じ造りでも屋根が重ければ普段時の地震時にも屋根を支える構造として使われる部分が多くなり揺れに耐える構造として使える部分が少なくなるのです。
地盤だけでなく、建物だけに限るなら屋根の重さ以外にもその建物自体の造りにも大きく関係するのです。
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