棟瓦の劣化症状とその修理方法を屋根の専門家がご紹介します
更新日 : 2021年05月13日
更新日 : 2021年05月13日
屋根の最も高い部分を棟と呼びます。屋根面の繋ぎ目であり、若干の隙間ができますので、瓦や板金で覆われています。瓦屋根の場合、漆喰で土台を形成し、上から棟瓦を乗せて保護しているのですが、台風や強風・経年劣化によって破損したり、崩れてしまうことがあります。棟は雨漏りしやすい部分でもありますので、それらの症状が発生した際には、早急に修理しましょう。
今回は、棟瓦に見られる経年劣化症状と補修方法、破損してしまった場合の対応についてご紹介します。定期的に屋根の点検やメンテナンスを行い、台風通過後には、必ず屋根の点検を行いましょう。
1.棟瓦の役割
棟瓦は、瓦屋根の頂上部に位置する瓦を指します。雨漏りしやすい棟に瓦を設置することで、雨漏りを防止しているのです。そんな棟瓦には、熨斗(のし)瓦・冠瓦・鬼瓦が使用されており、それぞれに役目があります。
熨斗瓦
漆喰で形成された土台の上に積む、短冊形の瓦です。冠瓦だけでは雨水が浸入しやすく、間に熨斗瓦を積むことで、防水性を高めています。割れやすく、緩くカーブしていますので、積み上げるのに技術を要します。
冠瓦
棟瓦の最上部に位置する半円型の瓦です。熨斗瓦の上からふたをするよう積んであり、雨水の浸入を防いでいます。
鬼瓦
棟瓦の端に取り付けられた、板状の瓦を指します。魔除けの役割もあると言われている鬼瓦ですが、棟の端から雨水が浸入するのを防ぐ、重要な役割をしています。現在では、鬼の形相だけではなく、若葉や雲・七福神といった様々なデザインが使用されています。
2.棟瓦に見られる経年劣化症状とメンテナンス方法
瓦屋根は他の屋根材と比べて、劣化症状に気づきにくい為、メンテナンスを検討する機会も少なのではないでしょうか。瓦自体、劣化することはありませんが、棟の漆喰は経年とともに劣化します。
症状が軽ければ、工事も軽いもので済みますが、劣化が進行している場合には、棟瓦取り直し工事といった大掛かりな工事を行わなければなりません。棟の劣化症状には、様々なものがあり、それによって行うべきメンテナンス方法も変わってきますので、症状別にご紹介いたします。
漆喰のひび割れ・欠け
棟の土台に使用される漆喰の寿命は、7~10年程度と言われています。常に風雨と温度変化にさらされており、時には自然災害の影響も受けますので、次第にひび割れや欠けが生じてきます。少し欠けている程度なら、漆喰詰め直し工事でメンテナンスをすることができます。この状態の時にお手入れすれば、メンテナンス費用も抑えることができます。
漆喰詰め直し工事
1.既存の漆喰を除去
古くなった漆喰の上から新しい漆喰を詰めてもすぐに剥がれてしまいますので、全て撤去します。
2.新しい※漆喰を詰め直す
新しい漆喰を隙間なく塗っていきます。詰め直し後、表面を綺麗に均せば工事完了です!
棟瓦のズレ・歪み
劣化症状が進行し、棟瓦がズレたり蛇行している場合には、棟瓦取り直し工事を行う必要があります。棟瓦取り直し工事は棟瓦を一旦撤去し、土台から新しく形成し直す工事です。経年によって弱った土台を新しいものに変えますので、耐久性を蘇らせることができます。
棟瓦取り直し工事
1.棟瓦を一旦取り外し、劣化した漆喰(土台)を撤去
棟瓦は再び使用する為、別の場所へ移動させておきます。撤去の際には、泥やゴミが出ますので、綺麗に清掃しておきます。
2.※漆喰で土台作り
漆喰で土台を形成し、熨斗瓦を積み直していきます。このとき、冠瓦を固定する為の銅線も一緒に仕込んでおきます。
3.冠瓦を乗せ、銅線でしっかりと固定
銅線で固定することで丈夫な棟になり、地震や強風時の耐久性も上がります。銅線で固定後、周囲を綺麗に清掃し、工事完了です!
※漆喰
漆喰には、「南蛮漆喰」と呼ばれるものがあり、現在、瓦屋根の工事には、多く使用されています。南蛮漆喰は、通常の漆喰に油脂や粘土、土などを混ぜて作られたものです。通常の漆喰を使用する際には、葺き土(瓦が落ちないように下に敷く土)と併用するのですが、南蛮漆喰は、葺き土と漆喰の役割を兼ね備えている為、南蛮漆喰のみを使用して施工するケースが増えています。耐久性が高く、防水性に優れていますので、非常に人気です。
3.台風によって棟瓦が被災してしまった場合
台風などの自然災害によって、棟瓦が被害を受けてしまうこともあるでしょう。被害を受けてしまった場合、まずは素早く養生(応急処置)を行いましょう。ご自分で屋根にのぼろうとお考えになる方もいらっしゃると思いますが、危険ですので私たち街の屋根やさんにお任せください。養生~復旧工事まで責任を持って承ります。雨漏りが発生する前に、養生・補修工事を行いましょう。
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