台風に負けない強い屋根はどれなのか、形状別、屋根材別に徹底検証
更新日 : 2021年05月13日
更新日 : 2021年05月13日
2019年の台風15号、台風19号で木更津市とその周辺、房総半島全体はとてつもないダメージを負いました。瓦屋根でその瓦がほぼ全部なくなってしまったお家、夜中にいきなり雨漏りが始まったお家、夜空が見えるようになってお家… 被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 被災しているのに業者が混み合っていて養生もできない、停電で電話もつながらない、ブルーシートも品切れ… このような時、誰もが台風に負けない強い屋根はないものかと考えたのではないでしょうか。このページでは台風に強い屋根を形状別、屋根材別に考察していきます。
※この記事は8分程度で読むことができます。
豪雨と暴風に耐え切れる屋根が強い屋根
台風の際に起こることと言えば決まっていますよね。豪雨と暴風です。つまりは豪雨に耐え、暴風を乗り切れる屋根が台風に負けない強い屋根ということです。屋根は形状によって雨漏りしやすいものもありますが、正しい施工とメンテナンスをされていれば、雨漏りすることはありません。また、基本的に雨に弱い屋根材なんてものは存在しませんから、暴風に耐えられる屋根材を探していければいいのです。
屋根材が飛散するのは風速何メートルから?
各種の屋根材は一般的にどの程度まで強風に耐えられるのでしょうか。
気象庁のホームページには「瞬間風速20~30m程度で屋根瓦・屋根葺材がはがれるものがある」と記載されています。さらには「瞬間風速40~50m程度で固定の不十分な金属屋根がめくれる。」と記載されています。と記載されています。
このことから相対的に固定されている金属屋根は瓦屋根やその他ののものよりも強いことが分かります。
令和元年、千葉県に上陸した令和元年房総半島台風(台風15号)はどの程度規模だったのか
気象庁によると、台風は風速15m/s以上の強風が吹いている範囲か、または吹く可能性がある範囲でその大きさが決まるそうで、その範囲は暴風域と呼ばれています。報道などでよく聞く「強い台風」や「非常に強い台風」というのは10分間平均風速で計測されています。
- 気象庁の定めている強さが特にない台風の風速は33m/s(64ノット)未満
- 気象庁が「強い」と呼ぶ台風の風速 33m/s(64ノット)以上~44m/s(85ノット)未満
- 気象庁が「非常に強い」と呼ぶ台風の風速44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満
- 気象庁が「猛烈な」と呼ぶ台風の風速54m/s(105ノット)以上
令和元年房総半島台風(台風15号)は関東の至近距離まで「非常に強い」勢力を保ったまま接近したそうで、これはとても珍しいケースと言われています。千葉市近辺へ上陸した時は中心気圧960hPa・最大風速40m/sと強い台風でしたが、瞬間最大風速では千葉で57.5 m/s、木更津で49.0 m/sを記録しています。瓦どころか、固定の不十分な金属屋根を捲るのに十分な力を蓄えていたのです。
基準風速と耐風等級
建築基準法では50年に一度程度、発生する暴風に対して損傷を生じない程度の建築や建設が求められており、これを「耐風等級1」として定めています。この1.2倍の強さ「耐風等級2」に当たります。
風の強さは地方によって大きく違いますから、地域ごとに求められる基準となる風速も変わってきます。ちなみに木更津市とその周辺の市区町村の基準風策は38m/sです。これは千葉県で最も風が強いとされる銚子市でも同じ数値ですから、強風に強い家造りはされていたはずなのです。
形状別、台風に強い屋根
屋根にはさまざまな形状のものがあります。その形状によっても強風に対する強さが違います。基本的に屋根の面の数が少ない形状のものほど面で受ける風量が増すため、強風に弱くなります。傾斜が1方向にしかなく、屋根が1面の片流れが最も風に弱い形状になります。
上部が切妻屋根、下部が寄棟屋根の入母屋や、2面で構成されるシンプルな切妻も比較的風に弱いとされています。
屋根が4面で構成される寄棟、ピラミッド型の方形が最も風に強い形状と言われています。理想を言えば、どの方向からの風が吹いても、屋根の特定の面や一部分に力が集中してかかることのないドーム形がいいのでしょうが、一般的ではありませんし、コストも恐ろしいものとなるでしょう。傾斜のない陸屋根は風の影響を受けにくいのですが、大きな折板屋根などは軽く、面積も大きいため、風の影響を強く受けてしまいます。風に対する強度は施工や工法によるところも大きいので、必ずしも寄棟が切妻よりも強いわけではないことも知っておいてください。
屋根材別、台風に強い屋根
一般的に戸建て住宅に使われる屋根材は瓦、スレート、金属、アスファルトシングルとさまざまなものがあります。これらのうち、強風に強い屋根はどれなのでしょうか。それぞれの特徴から考えていきましょう。
固定されていない一般的な瓦は飛散するが釘やビスで固定される防災互は強い
瓦屋根の場合、棟や軒先などの特定の部位以外、屋根材が固定されていないことがほとんどで、桟木という部分に引っ掛けられているだけなのです。ずれたりしてもすぐ直せますし、下地の点検も容易で何かと利便性は高いのですが、固定されていないので強風でずれたり、飛散することがあります。気象庁によりますと風速25m程度から飛散する可能性があるそうです。このような瓦屋根は台風に強いとは言えません。
一方で現在では防災瓦という台風と地震に強いものも登場しています。瓦同士が噛み合うロック構造と瓦1枚1枚を釘やビスで固定するため、飛散や落下も起こりにくくなっています。こちらの瓦は風速46m耐える耐風性能を持っています。
意外と割れやすいスレート
台風時のスレート屋根のトラブルというと、棟に取り付けられている棟板金が飛散するケースが非常に多いのですが、2019年の台風15号や台風19号では木更津市周辺で剥がれて落下してきたというケースもかなりのご相談をいただきました。
横方向にひびが入り、割れてしまう横割れは施工時の踏み割れや釘の打ち込みが原因だと言われています。スレートが新品の施工時は誤って踏んで後に割れに繋がるような事態になっても、まず気付くことはありません。この時はまだ傷は微細だからです。その後、降雨による吸水と乾燥による収縮、主原料であるセメントの中性化によって脆くなり、割れてしまうのです。
屋根塗装を定期的に行わないと降雨の度に吸水が起こり、セメントの中性化がより進み、脆くなります。踏み割れなどが起こっていなくても、強風で欠けることもあるようです。
瓦棒屋根や折板屋根、立平葺きは面積が大きいので強風には不利
棟から軒まで継ぎ目なしのシームレス、1枚の板金で葺ける瓦棒や立平葺きは非常に雨漏りしにくい屋根として知られています。折板屋根は工場や倉庫といった規模の大きな建物でよく見かけます。 実はこれらの屋根は台風に関しては不利な面があることをご存知でしょうか。 金属屋根はいずれも軽いことが特徴です。そして、瓦棒や立平葺き、折板屋根は雨水の浸入箇所となるような継ぎ目を少なくするため、屋根材1枚1枚のサイズが大きいのです。大きいとなれば、それだけ風を受ける面積が大きく、しかも軽いとなれば強風の影響を大きく受けます。 過去には台風で飛ばされた折板屋根が数キロ先で見つかったというニュースもありました。 同じ金属屋根材でもスーパーガルテクトや横暖ルーフ、エコグラーニなどピースを組み立てていくものは1つ1つの面積も小さいので風の影響も少なくなります。しかもしっかりとビスで固定されているため、強風にも負けません。これらの金属屋根材は屋根材同士を噛み合わせて固定させるロック工法で固定されるため、エコグラーニなどは60m/sの暴風に耐えられると発表されています。
メンテナンスを怠ると弱くなりやすいアスファルトシングル
アスファルトシングルはグラスファイバーなどの繊維をシート状にして、表面を砂粒でコーティングしている屋根材です。そのため、曲面にも貼れる柔軟性があり、防水性も高いことが特徴です。
釘で止めてセメントと呼ばれる接着剤で接着するという工法で屋根に固定されています。上端は釘による物理的な固定ですが、下端は接着剤という化学的な固定なので、接着力が落ちてくると、下端から剥がれてきます。そのままにしておくと、風に吹かれた際にさらに剥がれ、やがては千切れて飛散します。他の屋根材よりもこまめに点検し、剥がれを見つけたらすぐに補修してあげれば、飛散することも少なくなります。
風に対する強さですが、リッジウェイの場合、釘4本で固定し、接着剤はセルフシーラント(屋根材に予め塗布してある接着剤のみの標準仕様で風速38m/sにも耐えられます。釘6本で固定し、屋根材1枚につきシングルセメント3箇所で接着した強風仕様では風速46m/sにも耐えられます。メンテナンスを怠らなければ、それほど弱い屋根材でもないのです。
結論1、屋根材が固定されている屋根は強い
当たり前ですが、屋根材が屋根に固定されていた方が強風の際に剥がれたり、飛散するケースが少ないのです。なお、固定の際にはどこでもよいわけではなく、垂木にしっかりと固定することが重要です。固定されていない瓦屋根の場合は強風時や地震の際に不安が残りますよね。今回、木更津市で被災された瓦屋根の方の多くは「屋根も古くなっているし、これを機に金属屋根に葺き替える」とおっしゃっていました。
また、当然ですが耐用年数が長い屋根材の方が被災する割合も少なくなります。そういう意味では防災互がお薦めなのですが、瓦屋根へと葺き替えられるのは現在のお家が瓦屋根の方のみです。屋根葺き替えの際に現在よりも重い屋根材を使用するのは耐震性の上でNGなのです。1㎡あたり5kg前後の金属屋根なら、どんな屋根にも対応可能です。また、必然的に屋根の重量増となってしまう屋根カバー工法にも最適です。
結論2、屋根材が強くても飛来物には勝てないが近隣に迷惑をかけないためにも飛散しにくい屋根にしましょう
私事で恐縮ですが、2019年の令和元年房総半島台風(台風15号)通過後、私の家の1階の屋根の上には瓦が落下しており、その所為で金属屋根に大穴が開いていました。もちろん、防水紙も破れていました。自宅の2階の屋根の瓦が落下してきたと思ったのですが、よく見るといぶし瓦です。私の家は釉薬瓦ですから、これは強風での飛来物で間違いありません。どうやら20m程度離れている家から飛んできたようです。
こういった飛来物に耐えられるような屋根材は今のところありません。全ての建築物の屋根材を屋根に固定されているものにすれば、こうした被害は少なくなるかもしれませんが、樹木などが飛んでくれば同じことです。しかし、これから先、屋根葺き替えを検討している方はぜひ、屋根材が屋根に固定されているものにしてください。ご近所やご近隣に迷惑をかける可能性がほぼなくなります。やはり屋根材を直接、屋根に固定する金属屋根がお薦めです。
最後に立地も超重要
高所や海の近くは風が強いことは誰でも知っています。それ以外に風の強い場所はといったら、想像がつくでしょうか。都内などのビル街では「ビル風」と呼ばれる強風が吹くことが知られています。これはビルによって流れを妨げられた風がビルとビルと間に吹き込むことによって発生します。木更津も近年、マンションなどが立ち並び、高い建物が増えてきましたが、そこまでの風が吹くことはないようですが、それに近い現象は起こっているはずです。例えば、山と山の間の谷のような場所は山によって流れを妨げられた風が山と山と間に吹き込むことによって強風になりえるでしょう。ビルに較べれば山の方が巨大ですから、その威力も相当なものだと考えられます。
近年では都市開発が進み、快適な幅の広い道路も増えました。こういった幅の広い道路はかつて山だったところを切り崩して建設されたりしています。そして幅の広い道路は交通の利便性から商業施設が立ち並びやすく、その近隣には一般的な住宅も立ち並ぶでしょう。これらは都会に較べれば低層ではあるものの、風の流れを妨げれることは充分に考えられます。ビル風と同じような現象が行ってもおかしくはないのです。
さらに幅が広い道路は安全性のため、直線的に造られます。つまりは風を妨げるものがないので必然的に強風が吹くような条件が揃っているのです。近隣の開発や建設によって風向きが変わり、以前よりも風当たりが強くなるというのはよくある話です。ここ数年でそう感じることが多くなったという方はお家の点検をこまめにしてあげてください。場合によってはメンテナンスを必要としているかもしれません。

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