J形瓦、F形瓦、S形瓦、瓦の形状について
更新日 : 2021年05月13日
更新日 : 2021年05月13日
ここでは、基本的な三種類の形状から、瓦屋根に見られる不具合や劣化症状、そのメンテナンス方法もご紹介したいと思います。瓦屋根の住宅にお住まいの方は必見です!

日本の瓦と言えばこれ、J型瓦
日本で最も普及している形状で、正面から断面を見ると、緩やかな波型をしているのが特徴です。この形状は最も水切れがよいとされており、雨天が多い日本の気候に適しています。J形のJとはJapaneseの頭文字で、和瓦であることを示しています。一般住宅の他に、寺院や神社、城郭といった日本建築の屋根にも多く使用されています。

南欧風のお家に多いS型瓦

緩い弓状のアーチにかまぼこのような半円を組み合わせた形状で、暖かみのある赤土色をしているものが多い。数色の瓦を混ぜ合わせながら葺く「混ぜ葺き」も人気です。南欧で用いられることが多い瓦で、洋風のお家にとても似合います。S形のSはSpanishの頭文字で、南欧であるスペイン由来であることを示しています。
平たいF形瓦
J型瓦やS型瓦は曲面で構成されているのに、こちらは直線が主体の平たい瓦です。こちらも由来はヨーロッパで、フレンチと呼ばれる平瓦が輸入されたことからF型と呼ばれるようになったと言われています。現在では平らのFlatからF型と呼ばれるという説も主流になってきています。

形状によって屋根に葺かれている瓦の枚数や施工価格は異なります
基本的な瓦の形状を3つご紹介しました。形状によって、屋根に葺かれている瓦の枚数や施工価格は異なります。そこで、形状ごとに、1坪に葺かれている瓦の枚数とおおよその価格をご紹介致します。瓦屋根のメンテナンスや補修工事を検討した際に、ご参考になれば幸いです。
屋根1坪当たりに葺かれた瓦の枚数
J形瓦...53枚程度
S形瓦...49枚程度
F形瓦...40枚程度
J形瓦...9,000~12,500円/㎡
S形瓦...5,000~13,000円/㎡
F形瓦...7,000~16,000円/㎡
使用する瓦の素材や屋根の形状、勾配(傾斜)によって、施工価格は異なりますので注意しましょう。「複雑な形状の屋根」「急勾配な屋根」ほど施工しづらく、施工価格も高額になります。
瓦屋根の劣化や不具合が生じやすい箇所と症状・メンテナンス方法について
瓦は耐久性が高く、メンテナンスフリーな屋根材とも言われています。しかし、メンテナンスフリーだからといって、お手入れが全く必要ない訳ではありません。経年とともに生じる劣化や不具合の症状、そのメンテナンス方法についてご紹介します。
1.漆喰の剥がれ・崩れ
瓦屋根の頂上には、棟瓦が設置されています。棟瓦は、漆喰や南蛮漆喰で土台を形成し、その上に熨斗(のし)瓦・冠瓦を積むことで構成されています。土台に使用されている漆喰は、経年とともに劣化しますので、定期的なメンテナンスが必要です。
剥がれや欠けなどの症状が見られましたら、漆喰詰め増し工事・詰め直し工事を行いましょう。漆喰の劣化が著しく、棟に蛇行・歪みが見られる場合には、棟瓦取り直し工事が必要です。


2.瓦のズレや外れ
普段、屋根を気にして見る方は少ないと思います。ふと見上げた際に、「瓦がズレている?」と感じることもあるでしょう。破損していない場合には、葺きなおすことで元通りになります。放置してしまうと、隙間から雨水が浸入し、瓦下に敷かれているルーフィング材(防水紙)を傷めてしまいます。ルーフィング材の劣化や破れは、雨漏りを引き起す原因になりますので注意しましょう。


3.瓦の破損(割れ・欠け)
飛来物や強風によって、瓦が破損してしまった場合には、早めに応急処置を行い、修繕することが大切です。対応が遅れてしまうと、雨漏りを引き起こしたり、二次災害を招く危険性があります。
応急処置であっても、高所での作業となりますので、専門の業者に依頼するようにしましょう。私たち街の屋根やさんでは、応急処置も承っておりますので、お気軽にご相談ください。


3.ルーフィング材(防水紙)の劣化
通常、瓦の下には、ルーフィング材(防水紙)と呼ばれるシートが敷かれています。ルーフィング材の役割は主に防水です。屋根材で防ぎきれなかった雨水が、建物の内部に浸入するのを防いでいます。
ルーフィング材は、屋根材の下に敷かれている為、劣化症状や不具合に気付かず、「気付いた時には既に、雨漏りが発生していた!」なんて事も、多くあります。ルーフィング材も経年劣化しますので、20~25年を目安に交換しましょう。


瓦の中には塗装メンテナンスが必要なものもあります!
素材によっては、定期的な塗装メンテナンスを必要とする瓦もあります。それは、セメント瓦やモニエル瓦です!セメント瓦・モニエル瓦は、セメントに繊維を混ぜ込み、成型されていますので、スレートに近い性質を持ちます。その為、塗装を行うことで、撥水機能を持たせ、表面を保護する必要があります。メンテナンスを怠ってしまうと、雨水が瓦に染み込みやすくなり、強度が落ちて脆くなっていきます。屋根を長持ちさせる為には、10年ごとの塗り替えを心掛けましょう(セメント・モニエル瓦の最適なメンテナンス方法)。
※セメント瓦・モニエル瓦は廃盤品なので、寿命を迎えた場合には、屋根葺き替え工事が必要になります。


(写真:セメント瓦を洗浄・塗装している様子)
まとめ
今回は、代表的な瓦の形状や、瓦屋根に見られる劣化症状・不具合、そのメンテナンス方法についてご紹介しました。瓦の形状によって、屋根の印象は勿論、住宅の雰囲気も大きく変わってきます。これから新築を検討されている方は、「どのような印象の住宅にしたいのか」を明確にしてから、瓦の形状や素材を選びましょう。
また、メンテナンスフリーな屋根材とも言われている瓦屋根であっても、劣化症状や不具合によって、雨漏りを引き起こしてしまう可能性もありますので、定期的なお手入れは欠かせません。瓦屋根の点検・メンテナンスを検討した際には是非、街の屋根やさんへご相談ください。
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