皆様は瓦屋根のラバーロック工法という改修方法をご存知でしょうか。瓦と瓦をシーリング(コーキング)で接着し、強風時や地震時に動き難くしてしまうというものです。瓦と瓦をシーリング(コーキング)で接着し、連結しますから物理的に重くなり、動きにくくなるというのは事実です。強風時によく瓦がずれるというケースにはそれなりに効果はありますが、地震にはそれほどの強さはありません。瓦同士は接着されていますが、そもそも建物本体に固定されているわけではありませんので、大きな地震には歯が立たないのです。
私がラバーロック工法を最初に見たのは幼少の頃です。近所に茶色の瓦屋根のお家があり、瓦と瓦の隙間が白くなっていたのです。その頃はラバーロック工法ということは知りませんでしたが、変な屋根だとは思いました(屋根やさんになるとも思ってはいませんでした)。数十年も前のことです。その後、その周辺のお家の瓦屋根も瓦と瓦の隙間が白くなっているところが増えていたのです。「この辺では瓦屋根に木工用ボンド(だと思っていた)を塗るのが流行っているのか」と変なことを考えていました。
その後、数十km離れた街に引っ越したのですが、こちらでもやはり同じように瓦と瓦の隙間が白くなっている建物が見られたのです。もちろん、瓦と瓦の隙間が白くなっている建物の方が多いですが…
現在でも、このラバーロック工法を訪問販売している業者がいるんですね。直接、出会ったことはないのですが、たまにお客様からご相談のお電話が掛かってくるので彼らとそこから派生した人達は健在なのでしょう。瓦は割れない限り、何度でも再利用できます。ところがラバーロック工法をしてしまうと、それが難しくなります。また、瓦をはずして防水紙などの下地を点検するといったこともできなくなります。ラバーロック工法を進められたら、こういったデメリットを思い出して判断してください。