過去の災害から教訓を学ぶというのは非常に意味があることです。台風の影響で街が大火に包まれたといったら信じられるでしょうか。台風というと多くの方は豪雨と強風をイメージすると思います。ところが雨の前線がまだ届いていない地域では強風が吹いているだけだったりします。63年前(1954年)、9月26日に起こった岩内大火の様子をお伝えしたいと思います。
9月26日午後、勢力と速度を上げ、北海道に迫りつつあった台風15号。この台風に対して多くの住人は避難を開始。後の火元となるアパートも住人が避難し、火のついたままの火鉢が残されることとなった。午後8時15分頃、そのアパートから出火。台風への警戒で市街を巡回していた消防車が駆けつけ、消火に当たるが風速24~40メートルの中では噴出する水は霧状となるばかりで炎へは届かない。最終的に6台のポンプ車が消火に当たるものの、さまざまな建物へ次々と引火した。
風向きが南向きだったため、港へと到達すれば自然鎮火すると楽観視されていたが台風の接近に伴い、南西、西へ変化。火は重要建築物が集まる東側へと向かうこととなる。港湾の漁船にも延焼は達し、漂着した地点でも火事を起こす結果となった。さらに風向きが東へと変わり、市街地の8割が焼け野原となる未曾有の災害となった。
避難する際は火の元、電気を確実に止めていかなくてはなりません。阪神・神戸大震災では停電から復旧する際に多くの火災が起こりました。この火災の多くは住人が避難する際にブレーカーを落としていかなかったために漏電が起こったことが原因とされています。自然災害の跡にはこうした災害が起こりがちです。災害時には身の安全を確保したら、必ず火と電気、ガスなども安全も必ず確保するようにしてください。