この季節、「朝、起きたら一晩で屋根が苔だらけで一面黄色くなっていた。心配だからすぐに来てほしい」というご相談をたまに受けます。そのようなお住まいに到着し、屋根を点検してみると苔は生えているのですが、一面黄色ということはなく、うっすらと生えているということがほとんどです。ご連絡をくださったお客様も「起きたときは一面黄色だったのに」と大変、不思議がっています。
朝は一面、黄色だったのに数時間したら消えていたというものの正体はほとんどが花粉。それも花粉症の原因と言われているスギ花粉です。飛散が多い時期などはたまにこういったことが起こります。屋根の上からは飛んでいってしまっても、雨樋などに残っていることも多く、それを撮影した写真をお見せするとお客様も驚かれると同時にご納得してくれます。
東日本大震災で原発が被災した直後、こういった花粉が溜まっている状態を見て「放射能が降ってきた」と画像つきでネットで拡散されるケースが見られました。確かに生成されたウランなどは『イエローケーキ』と呼ばれ、花粉と色もそっくりなのですが、庭先や屋根にある黄色の粉状の物質は99パーセント以上の確率で花粉です。
この季節、花粉症の方からは忌み嫌われることとなる杉の木ですが、千葉県山武地方にはほとんど花粉を飛ばさない、花粉を飛ばす雄花が極端に少ない「サンブスギ」が存在します。挿し木によるクローン杉で何と通常の杉に較べて数パーセントしか花粉を出さないそうです。このサンブスギ、高級な建材としても知られ、家屋の他、船体にも用いられていたというから腐食しにくく、かなりの強度があることが分かります。このサンブスギを全国に広めようという活動も行われているようです。
サンブスギは千葉県山武地方だけでなく、県全体に分布しているのですが、それでも千葉県全体の杉林面積の約18%しかありません。というわけで、花粉症の私はまだまだ辛い日が続くのでした。