市原市のお客様から「庇が見事に2色に変色していてとても不安」というご相談を受けました。庇、霧除けとも呼ばれるところには金属が用いられることがほとんどです。色褪せなどで変色するのは理解できるのですが、2色に変色しているとはどういうことなんでしょうか。大変なことになっていなければよいのですが…
お客様の庇は銅製でした。軒側は焦げ茶、外側が薄緑色に変色しています。この薄緑色は緑青と呼ばれるもので、銅の錆ですが、心配はいりません。不導態皮膜と呼ばれるもので、一度できてしまうとこれ以上、酸化することはないのです。銅が屋根材として用いられた場合、その耐用年数は40年とも50年とも言われています。しかし、見事に2色に分かれていますね。庇を塗装したようにも見えます。
こうなったのには理由があります。焦げ茶の部分は軒の下にあります。つまり雨に濡れにくい場所です。緑青の部分は外側、雨に濡れる部分です。雨に濡れる部分だけ緑青化が進み、濡れない部分は緑青化している最中なので、このような色になってしまったのでしょう。問題はありません。
緑青の部分が一部、茶色になっています。これはもらい錆です。位置的にちょうど、雨樋を固定している金具の真下です。雨樋が歪んでおり、うまく排水できずに雨水がしたたり落ちている証拠です。違う金属同士が触れ合うと、そこから急激に錆が進行することがあります。このような状態になっても不導態皮膜は再生し、錆の進行を防ぎますが、再生された分だけ確実に銅は消費されていますから、やがては穴が開くことになります。今のところ、銅板はそれほど傷んでいませんから、雨樋の交換をお勧めします。