瓦屋根がカバー工法でのリフォームが難しい理由とは?〜重量と形状の2つの障壁〜
更新日 : 2025年06月23日
更新日 : 2025年06月23日
屋根のリフォーム方法のひとつとして、既存の屋根の上から新しい屋根材を被せる「カバー工法(重ね葺き工法)」が注目されています。
葺き替えに比べて工期が短く、廃材処分も少ないことから、コストを抑えられる点がメリットです。
しかしながら、このカバー工法はすべての屋根に適しているわけではありません。
特に「瓦屋根」の場合には施工が難しく、基本的には推奨されていないのが現実です。
本記事では、その理由を「重量の問題」と「形状の問題」という2つの観点から解説します。
重量の問題:屋根が重すぎて建物に負担がかかる
瓦屋根の最大の特徴は「重さ」にあります。
一般的な陶器瓦は1㎡あたり約40〜60kgの重さがあり、屋根全体では数トンに及ぶこともあります。
日本家屋の多くは、この重さを前提に設計されており、瓦の自重とそれに伴う地震力に耐えられるように構造計算されています。
そこにさらに新しい屋根材(主に金属系など)を上から被せるカバー工法を行うと、屋根の重量は一層増加します。
これは建物全体にとって大きな負担となり、耐震性能の低下につながる恐れがあります。
特に築年数の古い木造住宅では、構造材や接合部が劣化している場合も多く、重さに耐えきれずに構造的な問題を引き起こすリスクも否定できません。
そのため、瓦屋根に対してカバー工法を適用することは、構造安全性の観点から避けるべきとされています。
形状の問題:瓦の凹凸が障壁になる
もうひとつの大きな理由が、瓦特有の「形状の複雑さ」です。
瓦は波打ったような凹凸のある形状をしており、これにより雨水の排水性や通気性を確保する機能を持っています。
しかしこの形状は、カバー工法においては大きな障害となります。
カバー工法で使用される金属屋根材や軽量スレート材は、基本的に平らな下地の上に施工することを前提としています。
そのため、凹凸のある瓦の上に直接新しい屋根材を被せると、密着性が悪くなり、浮きや隙間が生じやすくなるのです。
こうした隙間から雨水が侵入すれば、逆に雨漏りの原因になる恐れもあります。
また、屋根材がしっかりと固定されない場合、台風や強風によって剥がれたり破損したりするリスクも高まります。
見た目には施工できているように見えても、長期的な耐久性や安全性には大きな不安が残るのです。
このように、瓦屋根の凹凸形状は、カバー工法の施工条件と大きく異なっており、そのままの形でカバー工法を行うことは、構造的にも機能的にも難しいといえます。
瓦屋根におすすめのリフォーム方法とは?
瓦屋根のリフォームには、「葺き替え工事」が基本かつ最も効果的な方法とされています。
葺き替えとは既存の瓦をすべて撤去し、新しい屋根材に交換する工事です。
これにより、劣化した下地材(野地板や防水シート)も一緒に補修・交換できるため、屋根全体の耐久性を高めることが可能です。
また、瓦の代わりに軽量な金属屋根材(例:ガルバリウム鋼板)や、軽量瓦(セメント瓦やROOGAなど)を使用することで、耐震性能の向上も期待できます。
特に地震対策を重視する方にとっては、大きなメリットです。
コスト面ではカバー工法に比べてやや高くなりますが、建物の寿命を延ばす長期的な投資と考えれば、十分に価値のある工事といえるでしょう。
まとめ
以上のように、瓦屋根にカバー工法を適用することは、「重量の問題」と「形状の問題」という2つの大きなハードルがあります。
これらの理由から、瓦屋根のリフォームを検討する際は、既存の瓦を撤去して新しい屋根材に交換する「葺き替え工事」が一般的であり、かつ最も安全で確実な方法です。
屋根のリフォームは、見た目の改善だけでなく、住まいの寿命や安全性に直結する重要な工事です。
適切な工法を選ぶためにも、専門業者による現地調査と、信頼できる提案を受けることが何より大切です。

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