越屋根のメリット・デメリットや屋根リフォームのポイントをご紹介
更新日 : 2021年05月13日
更新日 : 2021年05月13日
屋根には色々な種類がありますが、越屋根はその一つです。屋根の上にもう一つ屋根を乗せたその景観はとても立派で建物自体も大きく見えます。景観の良さだけでなく機能性にも優れていることから昔から採用されているこの越屋根ですが、このページでは越屋根のリフォームのポイントやメリット、デメリットについてご紹介いたします。
屋根の形状は様々ですが、越屋根と言われてすぐにピンとくる方は少ないでしょう。屋根の上にさらに小さな屋根をのせたのが越屋根といいます。一般的に多いのが切妻タイプの屋根の上にさらに小さな切妻屋根が乗っているケースです。小さな屋根を設けることでできる立ち上がり部分に採光窓を設置できるので、そこから多くの光を取り込めることや、屋根がゴージャスになり、その存在感のある景観が好まれてこの屋根を選ぶ方も多いです。
入母屋に並んで越屋根は伝統的な屋根であり、歴史的建造物にも使われている他、和風建築や古民家の屋根にも多く取り入れられています。
越屋根の立ち上がり部で採光窓がとれることで、お部屋に多くの光を取り入れることができます。同じような用途で天窓もありますが、天窓の場合は屋根の一部が窓になるため経年劣化によってコーキング部が劣化し雨漏りすることや、建物が古くなってくると使われていた天窓もすでに生産がされていないケースもあり、補修が簡単にできないこともあります。越屋根の場合は立ち上がり部の壁面に窓を設置するため、直接雨水が当たりにくく、そこからの雨漏りもそこまで心配がありません。
また、採光窓の役割以外に換気の役割も果たします。高いところに換気窓をつける方が換気効率がいいことから夏場、部屋の熱気や湿気をそこから逃がすことができるので快適に過ごせます。
他にも屋根の高さがあるので、お部屋の天井を広くとれて広々とした空間を演出することができることもメリットです。
見た目の通り、屋根の形状が複雑なので建設時やメンテナンスにコストがかかります。また、お住まい全般にいえることですが、造りが複雑になるほどどうしても雨漏りのリスクは高まりますので、越屋根は一般的な切妻屋根などよりも雨漏りの可能性が高くなります。
また、屋根の平らな部分が少ないため太陽光パネルの設置にも不向きです。
越屋根の屋根リフォームについて
越屋根の屋根リフォームといっても、一般的な屋根工事とそれほど相違なく行うことができます。屋根材の交換が必要になる屋根葺き替え工事や屋根カバー工法、屋根塗装なども対応できます。
また、越屋根部分も同様に屋根葺き替え工事やカバー工法が可能です。
比較的和風建築に多いタイプの越屋根ですが、実は工場の屋根にも使われていることがあります。その場合は瓦ではなく金属屋根材が使われており、これは一般住宅でも同様のことが言えます。瓦の越屋根を金属屋根材に変えることで和風なイメージからモダンな印象にイメージチェンジすることも可能です。
ご注意いただきたいこととして、どうしても屋根の形状が複雑なことから作業工数が多くなってしまったり、必要な部材も増えることから費用は割高になってしまいます。また、屋根の部分だけでなく、立ち上がり部も同様にメンテナンスが必要になります。今後のメンテナンスコストを考えてあまり費用を掛けたくない方は切妻屋根や寄棟などのタイプの方がいいかもしれません。
左写真は越屋根の屋根葺き替え工事の様子です。既存の屋根材を撤去して野地板の上から防水紙を設置しています。また、右写真は通気口を新設した様子になります。
越屋根で使われる屋根材
屋根のタイプによって適した屋根材とそうでない場合があります。
越屋根で一番多く使われるのは瓦です。越屋根は歴史のある建物ということから、瓦屋根にも適した屋根形状と言えます。続いて多いのはトタンやガルバリウム鋼板を使った金属屋根材です。
他には一般的な住宅ではありませんが、古民家の場合は茅葺の場合もあります。この茅葺屋根に設けられた越屋根の下にはかまどや囲炉裏があり、越屋根の換気口から煙を外に逃がしていました。
逆にあまり使われない屋根材はスレートやセメント瓦です。
越屋根の使われている建物の紹介
・競進社模範蚕室
埼玉県本庄市にある有形文化財です。養蚕(ようさん)専用の蚕室で、建物内には炉が設置されていることから、その吸気、排気のため天井に通気口を設けやすい越屋根が採用されたようです。内部は数個の部屋に分かれており、各部屋ごとに越屋根がついているので屋根には複数の越屋根があります。
・杉山家住宅
大阪府富田林寺内町にある有形文化財です。昔から大阪で栄えたこの町は多くの商家があり、その建物が今でものこっています。もともと茅葺の家だったものが瓦を使って町屋に改造したのは江戸時代末期といわれています。建物には大きな竈があったことから越屋根部分から排気していたようです。この辺りの古民家には越屋根が多く採用されているのはこのためです。
・旧大家倉庫
北海道小樽市登録歴史的建造物として登録されています。この辺りは運河によって栄えており、商人が運んできた物品を保管するために建てられたそうです。建てられたのは明治時代で、当時は倉庫の大きなは財力を示すステイタスであったこともあり、越屋根が採用されたそうです。
まとめ
越屋根は歴史のある屋根の形状ですが、現代においても採光性や換気性の高さからお住まいにも使われています。やはり魅力はその存在感のある屋根のボリュームです。建設時の費用やメンテナンスコストがかかることから、比較的珍しい屋根のタイプですが私達街の屋根やさんでは越屋根の工事も多く手掛けております。
古くなった越屋根は雨漏りのリスクも高まりますので、現在特に問題を感じていないとしても10年以上点検をしていない場合は専門店のチェックを受けるようにしましょう。私達街の屋根やさんでは越屋根のお住まいも無料で点検させていただきます。また、もし工事が必要な問題が発生した場合は無料で工事のご提案やお見積りの作成を行いますので、お気軽にご相談ください。
※屋根工事についての初回点検から工事までの流れはこちらのページをご参照ください。