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葺き土を使用した土葺き瓦屋根の改修は引掛け桟瓦葺きがお薦め、お家の寿命もアップ
更新日 : 2021年05月13日
更新日 : 2021年05月13日
このページは土葺き屋根から引っ掛け瓦桟への屋根葺き替え工事についてご紹介しています。約6分で読了が可能です。
土葺きとは
土葺きとは読んで字のごとく、土を使った屋根瓦の設置工法です。土葺き工法、または湿式工法などとも呼ばれており、「つちぶき」と呼ばれたり、「どぶき」と読まれたりとバリエーションがあります。
現在、新築ではこの土葺きは使われていません。この工法が主流だったのは明治から昭和の初めころまででした。瓦を水で練った土で固定するため、正確に、そして綺麗に設置するには技術が必要で、職人の腕によって仕上がりが左右されました。また現在では施工できる職人も少なくなってきています。
土葺きは大量の土を屋根に乗せるので、その重量に耐えうる躯体が必要であり、柱や梁なども最近の住宅よりも太くてしっかりした立派なもので造られていることが多いのです。
土葺きのメリット
土が屋根に乗っているのでその重さはかなりのものです。そのため建物自体もしっかり作られており安定しています。他にも台風などの強風でも瓦が飛びにくいことや、夏場、屋根からの熱によって部屋の温度上昇するのを土があることで防ぐことや、冬場には暖房効果も期待できるといったメリットもあります。また、瓦の隙間から浸水しても土があるのですぐに雨漏りしないことや雨音の防音効果もあります。
通気性が良いことや防火、このように土葺きには様々なメリットがあります。
土葺きのデメリット
土葺きは昔ながらの工法で最近は使われていないと先ほど述べましたが、それには理由があります。大量の土を使うことで屋根が重くなります。それによって様々なデメリットがあります。
【屋根が重いことによるデメリット】
・地震による揺れによるダメージが大きい
・屋根の重量による負荷が大きいためそれに耐えうる材で施工する必要がある
土葺きが使われなくなった理由に関東大震災があります。このとき倒壊した建物の多くが土葺きだったことで、この後に建て替える上で土葺きが使われることがなくなりました。また、これまで大きな地震がなかった関西方面でも阪神淡路大震災で土葺きの建物が被害を受けたこともあり土葺き工法のお住まいは少なくなっていったのです(
地震についての詳細ページはこちらをご覧ください)。
土葺きに変わる現在主流の引掛け桟瓦葺き
土で固定するのではなく桟木を設置しそこに瓦を引っ掛けて固定する工法が引掛け桟瓦葺きです。現在の瓦屋根はほとんどこの工法で施工されています。施工方法は、まずルーフィング(防水紙)を野地板に取り付け、桟木を取り付けてから瓦を葺いていきます。桟木に瓦の爪部分を引っ掛けて固定します。さらにズレを防止するために瓦を釘で固定することもあります。
現在の引掛け桟瓦葺きでも瓦の形状によっては葺き土が使われることもあります。瓦を設置する際に微妙な角度を調整したりするためです。葺き土というのは練った土のため雨水に弱く、晒されると土交じりの水となってどんどん流出していきます。そのため、瓦を支えきれなくなり、並びが乱れてしまうということも起こることが多かったのです。現在ではこの問題を解決するため、シルガードなど化学薬品を混ぜた南蛮漆喰などが使用されるようになってきました。シルガードなどの現代の南蛮漆喰は凍害にも強く、雨水に晒されても流出しないため、瓦屋根の耐用年数の長期化に貢献してくれます。
土葺きから屋根葺き替えをするメリット
土葺きのデメリットである土の重さ。土葺きから引掛け桟瓦葺きに変えることで土を使わなくなりますので、かなりの軽量化になります。それによって耐震性も上がりますし、釘で固定すれば飛散や落下することもありません。しかし瓦屋根よりももっと軽量な金属屋根材へ葺き替えることで耐震性はより向上します。もともと土葺きだった建物は躯体がしっかりしていることもあいまって建物自体の長寿命化にも繋がります。
土葺き屋根から引掛け桟瓦葺きへの屋根葺き替え施行事例
まずは瓦の撤去です。瓦を撤去していくと中には大量の土が設置されています。この土によって瓦が固定されているですが、経年劣化で痩せてきたり、雨水に晒されて流出したり、地震の揺れなどで瓦のずれが発生する場合があります。
棟部分も解体しますが、こちらにも土が使われております。引掛け桟瓦葺きにするにあたり、これらの土は撤去するため、土嚢袋などに詰めて地上まで下ろします。どうしても土埃が立つため、住宅密集地などでは大変気を使う作業です。
土を撤去し、野地板の傷んでいる箇所などは増し張りしてから防水紙を設置、さらには軒と水平となる桟木、横桟を取り付けてていきます。この桟に瓦を引っ掛けて瓦を固定します。
瓦を元に戻して土葺きから引掛け桟瓦葺きへの工事は完了となります。
一般的な屋根葺き替え工事と工程はほぼ一緒になりますが、大きく違うのは土の撤去・処分です。ここにどれだけ手間がかかるかによって工事費用が変わってきますので、事前の調査をしっかり行いお見積りを確認しましょう。
震度7にも耐えられるガイドライン工法
引掛け桟瓦葺きには、ガイドライン工法というものがあります。ガイドライン工法とは、台風や地震で瓦の飛散や落下を防ぐための「建築基準法が求める屋根の性能規定を満たすための工法」で、2001年に定められました。実際に、ガイドライン工法で施工された瓦屋根は震度7ほどの地震でも壊れなかったという実験結果もあり、東日本大震災の際には被害がほとんどありませんでした。ガイドライン工法が台風や地震に強い仕組みは、建物と屋根の頂点である棟を一体化させて、揺れに合わせて瓦屋根が動く構造にあります。土葺きは葺き土の重さに加え、建物と屋根がくっついていないため、揺れに弱いことがデメリットでした。これをくっつけることで、台風や揺れに強い屋根になります。
施工方法は、まず専用の金具で建物と棟を繋ぎます。棟に使用されるのし瓦同士を銅線でくっつけます。その後、建物と棟を固定した金具に木材を付け、一番上の瓦からビスを打ち込んで留めます。
このような手順で行われるガイドライン工法が現在では標準となります。
土葺きからの屋根葺き替え工事でお勧めの軽量な屋根材
土葺きから屋根葺き替え工事をする総評(まとめ)
土葺きは現在では築年数が50年以上経っているお住まいや蔵などでほとんど使われているお住まいがないのが現状です。施工できる職人も少なく、今後も安心して長くお住まいいただく上では土葺きから別の屋根へと葺き替え工事することをお勧めします。
今回ご紹介しました屋根材以外にも、街の屋根やさんでは軽量で長持ちな屋根材を多く取り扱っております。気になる方はお気軽にご相談ください。
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Q2.工事を検討したきっかけは何ですか?どんなことで悩まれていましたか?
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